買うなら「ノアヴォク」か「セレナ」か「ステップワゴン」か? 人気Mクラスミニバンをシートもラゲッジも走りも装備も忖度なしで徹底的に比べてみた

2024.07.27 17:20
この記事をまとめると
■Mクラスボックス型ミニバンは国民的ファミリーカーといわれるほど定番だ
■Mクラスミニバンは3メーカーの車種が主となりしのぎを削る
■3モデルを走りや使い勝手などで徹底比較した
Mクラスミニバンを徹底比較!
  1996年に発売された初代ホンダ・ステップワゴンの登場以来、Mクラスボックス型ミニバンは国民的ファミリーカー、多人数乗用車の定番となっている。そのカテゴリーにはステップワゴン、ノア&ヴォクシー、セレナが揃い、現行型はノア&ヴォクシーの4代目が2022年1月、サイズアップしたステップワゴンの6代目が2022年5月、セレナの6代目が2022年12月に発売され、いずれも最新モデルとなっている。
  さて、この3車、どれが買いかといえば、使い方によって答えは変わる。エクステリアデザインの洗練度、質感、顔つきの迫力、押し出し感を望み、先進運転支援機能の充実度ならヴォクシーが最適だ。燃費性能最優先でもノア&ヴォクシーのハイブリッドが23.0km/Lを誇り他をリード。EV走行を粘り強く行うのもトヨタのハイブリッドの特徴である。
  運転初心者で、駐車や狭い道の走行がしやすいミニバンがほしい、というならセレナのハイウェイスターで、3ナンバーながら基本ボディは5ナンバーサイズ(同じ基本ボディを採用するガソリン車は5ナンバーだ)。または全長が4830mmに達するステップワゴンより大きくないノア&ヴォクシーだ。もっとも、全車3ナンバー、全長4830×全幅1750mmと大型化したステップワゴンも最小回転半径5.4mと比較的小まわりが利くので、慣れれば問題はないだろう。
  ミニバンの特等席となる2列目席の乗降性、豪華さ、居心地のよさで選ぶのであれば、ノア&ヴォクシーとステップワゴンの2列目キャプテンシート仕様である。スライドドア部分のステップ/フロア高はステップワゴンが390mmとフロアへの段差なし。ノア&ヴォクシーが380mmでこちらもフロアへの段差なし。一方、セレナのみ、1段目のステップは390mmながら、フロアはそこから95mm高い位置にある2段ステップとなるからだ(フロアそのものが高い)。
  また、セレナは全車8人乗り(2-3-3席)で、2列目席は前後にスライドするスマートマルチセンターシートによってベンチ、キャプテンの両方のシートレイアウトをもつものの、キャプテンシート化したときのかけ心地の贅沢さでは、完全なキャプテンシートのステップワゴン、ノア&ヴォクシーに敵わない。
  ちなみにステップワゴンのキャプテンシートは横スライドが可能で、やや横狭のベンチシートにもアレンジできる。ノア&ヴォクシーの先代2列目キャプテンシートは横スライドできたのだが、現行型ではストレート超ロングスライド機構を採用したため、横スライドはできなくなった(ベンチシート化不可/ほかにベンチシート仕様がある)。
  いま、アウトドアがまだまだブームとなっているが、このMクラスボックス型ミニバンでアウトドア、そして車中泊を楽しみたいなら、3車ともにシートのフラットアレンジで車内をお座敷化、ベッドルーム化することはできるのだが、お薦めはセレナだ。2/3列目席をフラットアレンジしたときのフラット度、段差の少なさで圧倒し、2150mmに達するベッドスペースは、マットレスなしでも快適に寝られるスペースが出現。バックドアのウインドウ部分だけ開閉できるデュアルバックドアの仕立ても、アウトドアで車内で過ごす際、換気面で有利。
  さらにノア&ヴォクシーのハイブリッドとセレナノア&ヴォクシーe-POWERモデルにはAC100V/1500Wコンセントが用意され、車内外で1500Wまでの家電品(コーヒーメーカーや湯沸かしポット、簡易電子レンジなどが使える)の使用、ノートPCの充電も可能になるからだ。ステップワゴンはハイブリッドのe:HEVモデルを選んでもAC100V/1500Wコンセントの用意はないのである。AC100V/1500Wコンセントはアウトドアだけでなく、災害時にも役立ってくれることも忘れてはいけない。AC100V/1500Wコンセントが欲しい……というならノア&ヴォクシーのハイブリッドかセレナのe-POWERということになる。
車内空間の使い勝手は?
  ここでミニバンの特等席となる2列目席の頭上、膝まわり空間を身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で説明すると、全車ともにロングスライド機構を備え、ノア&ヴォクシーは頭上に23~260mm(スライド位置による)、膝まわりに最大600mm(ロングスライド時)、セレナは頭上に240mm、膝まわりに640mm(ロングスライド時)、ステップワゴンは頭上に260mm、膝まわりに600mm(ロングスライド時)となり、全車、SUVやセダンとは比較にならない広さを誇る。さらに、ノア&ヴォクシーとステップワゴンはキャプテンシートにオットマンまで用意されているから、かけ心地は至極贅沢で快適だ。
  わが家は3列目席もよく使う……というなら、居住スペースに限っていえば、頭上方向のゆとり(200mm)でノア&ヴォクシー、膝まわりの余裕ではステップワゴン(200mm~)とセレナ(120mm~)がややリード。着座性、立ち上がり性にかかわるヒール段差(フロアからシート座面までの高さ)は330~345mmの範囲で3車、ほぼ同等となる。
  ただし、総合的な3列目席の快適性では、ステップワゴンとセレナが優位。というのは、ノア&ヴォクシーの場合、3列目席はロードノイズ(雨の日は水しぶき音)の侵入が少ないとはいえず、静粛性面で気になるからだ(とくに右側席)。
  ラゲッジルームの使い勝手は、3列目席はほぼ格納している……使い方なら格納方法が床下収納のステップワゴンがいい(戻す際はけっこう力がいるが)。一方、ノア&ヴォクシーとセレナは左右跳ね上げ式。その上で力いらずで、跳ね上げられるのは、ワンタッチで跳ね上げられるノア&ヴォクシーが有利となる。
  よって、3列目席の格納頻度が多いならノア&ヴォクシーをお薦めする。そうそう、ボックス型ミニバンのウィークポイントとなるのが、ボディ後方に空間のない場所でのテールゲートの開閉。後方に約1mのスペースが必要になる。ところがセレナは後方突出量480mmのデュアルバックドアから荷物を取りですことができて便利なのである。ノア&ヴォクシーのパワーテールゲート装着車なら、開閉スイッチがボディサイド後方の低い位置にあり、開閉のしやすさは群を抜いている。
  最後に走行性能比較だが、3車ともにハイブリッドモデルなら動力性能に余裕があり、車内は静か(ステップワゴンはFF車の場合)。その静かさでもっとも優れているのは100%電動駆動のe-POWERのセレナで、ロードノイズの遮断に加え、エンジン始動時の透過音が、発電専用エンジンということもあり、エンジンを駆動で使うノア&ヴォクシー、ステップワゴンより静かなのである。
  とはいえ、ステップワゴンは全列ともにボックス型ミニバン特有の、路面によって発生する車内のこもり音の抑え込みが自慢であり、車内はいたって静かである。ノア&ヴォクシーはEV走行を粘り強く行ってくれるのだが、エンジン始動時になるとややノイジーになる。ちなみに3列目席の静かさまで重視するのであれば、ステップワゴンかセレナを推奨する。ノア&ヴォクシーの3列目席は、ロードノイズ、雨の日のタイヤが発する水しぶき音がやや大きめに侵入するからだ。
  高速道路の運転でストレスを大幅に低減してくれるACC(アダプティブクルーズコントロール)は、全車ともに全車速域対応だが、渋滞停止時のブレーキ保持時間(ステップワゴン約3秒、セレナ約30秒、ノア&ヴォクシー約3分)の長いノア&ヴォクシーの使いやすさがピカイチ。また、ノア&ヴォクシーの先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスに含まれる、一般道でも作動する前車との距離維持支援やカーブ手前減速支援を行うプロアクティブドライビングアシストや、渋滞時のみだが0-40km/hで作動するハンズオフ機能のありがたみも文句なしである。
  セレナのトップグレードであるルキシオンに搭載されるプロパイロット2.0は、全車速域でハンズオフが可能ながら、日産最上級ミニバンのエルグランドに迫る479万8200円の車両価格を考えると、ちょっとなぁ……ではないだろうか。
  というわけで、Mクラスボックス型ミニバン選びは、使い方、必要な機能・装備、シートアレンジ性を比較検討し、優先順位をつけて取捨選択し、ユーザー、ユーザー家族にとって最適な1台を選んでほしい。

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