この記事をまとめると
■1966年に誕生したトヨタ・カローラ
■現行型で12代目となる
■今回はセダンモデルについて詳しく解説
日本で使いやすいボディサイズ
国内のみならず海外市場でも圧倒的な知名度を誇るカローラセダン。セダン離れが進む日本では数少ないコンパクトセダンとなっています。
12代目となる現行モデルは2019年に登場。ただし、セダンに先立ち5ドアハッチバックのカローラスポーツが2018年に販売を開始しました。
グローバル化によりカローラも仕向地向けに異なるボディを用意してきましたが、現行モデルはプラットフォームを集約。しかし、国内向けはグローバルモデルをベースにボディサイズを変更し、日本で使いやすいサイズにこだわっているのが大きな特徴といえるでしょう。
現行モデルは2022年10月3日に一部改良を実施。この改良でカローラセダンはカローラツーリング、カローラスポーツとともにパワーユニットを刷新するなど、大きな変更が加えられています。
海外仕様とは異なるプラットフォーム
12代目カローラはプリウスやC-HRに採用されているGA-Cプラットフォームを使用。ただし骨格構造を見直したことなどで剛性を高めています。
グローバルモデルも同様のプラットフォームを採用していますが、国内向けはセダン、ワゴン(ツーリング)ともにホイールベースを60mm短縮し2640mmに。全長もグローバルモデルと比べて100mm以上短くし(4495mm)、全幅も国内の道路環境に合わせて1745mmにした国内専用のボディとしました。
また、吸音材や遮音材を適切な位置に配置し、ノイズや水はけ音を削減するフェンダーライナーを装着したことで静粛性が大きく高められました。
MCで変更されたパワーユニット
デビュー時に用意されたパワーユニットは3種類。最高出力116馬力を発揮する1.2リッター直4ターボエンジン、1.8リッター直4のNAエンジン、さらに1.8リッター直4エンジン+モーターのハイブリッドをラインアップしました。
ただ、2022年の一部改良によりカローラセダン(およびカローラツーリング)には新たにM15A-FKS型1.5リッター直3ガソリンエンジンを用意。デビュー時にラインアップしていた1.2リッター、1.8リッターエンジンは廃止されています。
新たに搭載された1.5リッターエンジンの最高出力は120馬力。ロングストローク化やバルブ挟角の拡大などの高速燃焼技術と直噴技術を採用したことで、高い燃費性能と走行性能を両立するパワーユニットです。
また、この改良でハイブリッドユニットも変更されました。
新たに搭載されるハイブリッドユニットは、トヨタが「すべての電動モジュールを刷新した」と説明する1.8リッターハイブリッドシステムを採用。新型プリウスにも搭載されている第5世代のTHS II(トヨタハイブリッドシステム)が、カローラセダンにも搭載されたのです。
このユニットはギヤトレーンやデフユニットを小型化するなど、電動モジュールを刷新。最高出力98馬力の2ZR-FXE型1.8リッター直4エンジンにふたつのモーターを組み合わせ25.3(4WD)〜30.2km/L(WLTCモード)と、従来から燃費性能が大きく向上しました。
一気に垢抜けたエクステリアデザイン
現行モデルのデザインテーマは『シューティングロバスト』。聞き慣れないワードですが、スポーツクーペのデザインエッセンスを備えつつ、力強さを併せもつデザインを意味します。
そのテーマをもとに開発された現行モデルは、先代のイメージを一新する低重心かつダイナミックなデザインを採用。同じ長寿命モデルのクラウンほどではないですが、先代モデルから一気に垢抜けたスポーティでスタイリッシュなエクステリアとなりました。
一見、グローバルモデルと差がないように見える国内仕様の現行モデルですが、全長や全幅を縮小するためドアパネルなど、国内モデルには専用ボディを用意。グリルやヘッドライト、ボンネットこそグローバルモデルと共用ですが、そのほか、フロントフェンダーからリヤサイドボディは専用ボディが装備されています。
使い勝手にこだわったインテリア
水平基調で仕立てられたインパネなどエクステリアとは違い、インテリアはグローバルモデルとの違いはありません。
現行モデルは電動アシストパーキングブレーキを全車に採用。エアコンに空気清浄機能をもたせたことや上級グレードには7インチカラー液晶を配したメーターを採用するなど、上質なインテリアにこだわっています。
また、2022年の一部改良でインフォテイメントシステムに、コネクティッドナビに対応した8インチのディスプレイオーディオと、10.5インチのディスプレイオーディオを設定。併せて車内Wi-Fiをオプション設定しました。
セダンとして気になる後席の広さですが広大……とはいえないものの座り心地は上々。荷室容量はガソリン、ハイブリッドともに429リットルとコンパクトセダンながら大容量スペースを誇ります。
現行カローラシリーズ
現行モデルはセダン以外にも多彩なボディタイプを用意しています。
セダンをベースに開発されたツーリングワゴン。先代はフィールダーと名付けられていましたが12代目から名称が変更されました。
12代目カローラとして最初に販売されたのが5ドアハッチバックのカローラスポーツ。セダンとは異なり全幅は1790mmと、グローバルモデルと同じワイドボディを採用しているのが特徴です。
また、歴代カローラで初となるSUVのカローラクロスもラインアップ。
国内での販売より先に東南アジアで先行し販売されていた同車は、日本で2021年9月から販売開始。海外モデルとは違う専用のフロントマスクを装備しています。
個性的だった歴代カローラセダンを振り返る
「80点主義」をテーマに開発されてきたカローラセダンですが、歴代モデルを振り返ると注目したいモデルや個性的なモデルも少なくありません。
すべてはこのモデルから始まった 初代(1966〜1970年)
現在までに続くカローラの礎を築いた初代は1966年に登場。当時、トヨタのエントリーカーだったパブリカよりひとクラス上の大衆車として開発されました。
長年、ライバルとして競い合っていた日産サニーが搭載していた1リッターエンジンより排気量をやや大きくした1077ccエンジンを搭載。「プラス100ccの余裕」をキャッチコピーにしたことなど、ライバルより上級なことを売りにしていました。
また、国産車初となる四輪ストラットサスペンションを採用するなど、機能面を重視していた割には40万円台後半とリーズナブルな価格で売り出したことで大ヒットとなりました。
シリーズ最多バリエーションを誇った最後のFR車 4代目(1979〜1983年)
初代、2代目、3代目と大きくイメージを変えた直線基調のエクステリアデザインを採用した4代目。セダン、2ドアクーペ&ハードトップ、3ドアリフトバック、さらにバンをモデルチェンジしラインアップに加えました。
デビュー当時は1.8リッター直4ガソリンエンジンを用意していましたが、デビューから2年後のマイナーチェンジで改良型1.5リッター直4エンジンを搭載したことで廃止。ただし、1982年には1.8リッター直4ディーゼルエンジンが追加されています。
4代目はスポーツモデルのレビン、またバンを除きカローラ最後のFRモデルとなりました。
シリーズ初となるFFレイアウトを採用 5代目(1983〜1987年)
シリーズ初となるFFプラットフォームを採用した5代目。国内向けとしては初となるドアミラーを採用するなど、歴代モデルのなかでも大きな変革を遂げたモデルとなりました。
FF化されたボディタイプはセダンと5ドアリフトバックを新たに追加。1.6リッターエンジンを搭載する上級仕様には、このクラスでは当時珍しい4速ATが組み合わされました。
また、1984年にはハッチバックモデルのカローラFXが追加されています。
ただし、2ドアのスポーツモデル、レビンは先代のプラットフォームを踏襲し、FRのまま開発されました。それがいまだに人気が高いAE(85&)86です。
5代目は新たな大衆車像を提案すべく、装備はもちろん機能面でも大きく進化したのが印象的でした。
ミニハイソカー路線もバブル崩壊で不人気に 7代目(1991〜1995年)
当時、バブル景気に湧いていた日本で高級化路線に舵を切った6代目カローラは歴代でもっとも売れたモデルとなりました。
7代目も先代に引き続き、豪華・高級路線を継承し登場。ハイソカーとして人気を得ていたマークIIなど上級モデルに匹敵するほどの装備も用意されていました。
パワーユニットは一部の商用モデルを除き、全グレードがDOHC化。1.6リッター直4エンジンは5バルブとなるなど、装備だけでなくメカニズムも上級モデルに迫る機能を装備しています。
ただ、時代はバルブ経済崩壊を迎えており、豪華さを誇った7代目は6代目ほどの人気を得ることはできませんでした。
保守的なスタイルから先進的デザインを採用 9代目(2000〜2006年)
8代目からプラットフォームを一新し、ボディサイズを拡大して登場したのが9代目です。
簡素化した外観が不評を買った先代の反省を活かし、見た目の質感を重視。ただ、リヤサスペンションをトーションビーム式(FF)としたことなど、見えない部分はコストダウンが図られました。
ボディタイプはセダンと、ワゴンのフィールダーを用意。トールワゴンのスパシオも2001年にモデルチェンジされています。
パワーユニットは1.3リッター、1.5リッター、1.8リッター直4ガソリンエンジンと2.2リッター直4ディーゼルエンジンをラインアップ。歴代モデルと比べて車格がやや上に位置づけられました。
まとめ
冒頭で述べたように、貴重なコンパクトセダンとなった現行カローラ。セダン離れが進んでいるとはいえ、世の中にはまだセダンを必要とするユーザーがけして少なくないなか、販売が続けられているのはさすがトヨタというべきでしょう。
また、グローバルモデルと同じプラットフォームを使用しつつも、小型化していることも同様。軽自動車や一部ミニバンを除くと国内専売車は少なくなりましたが、国内ユーザーが求めるニーズを組んで開発されたカローラセダンは貴重なモデルです。