松尾潔「声あげることを容認する空気を」兵庫県知事パワハラ疑惑めぐり

2024.07.22 13:00
2024.07.22 up提供:RKBラジオ
兵庫県の斎藤元彦知事による「パワハラ疑惑」を告発した県幹部の男性が死亡した問題について、音楽プロデューサー・松尾潔さんは7月22日に出演した『田畑竜介Grooooow Up』で「今こそ声をあげることを容認する空気を」とコメントした。
スピークアップカルチャーを根付かせるべき
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑、「疑惑」と一応言っておきますが、限りなくクロに近い音声データなど証拠がたくさん出てきました。斎藤知事に対する見方はもう世の中的にもメディア的にも固まってきている感じがあります。

斎藤知事は限りなく「詰んだ状態」だとジャッジがなされているような、今雪崩を打つような報道になっていませんか? このあたりのメディアの感じは正直気持ち悪くもあります。東京都知事選挙の報道の際、小池百合子さんの学歴詐称疑惑に関する報道も、ちょっと様子を伺うような感じでやっておいて、結局大差をつけてまた選ばれるとパタッと言わなくなったような。

今回は単に、斎藤知事や兵庫県のあり方を話したいわけではなく、皆さんにこれを奇貨として、意識を持ってほしいと思うことがあってこの話題を取り上げました。

今回の悲劇が起きた背景は、内部告発の難しさ、内部告発にかかる「圧」です。告発しようというそのモチベーションに、私情が入っていないことはないと思いますし、個人的な体験に根ざした当事者意識がそうさせていると思うので、公益通報かどうかを分かつ線は限りなくファジーだと思います。

ここでいう「告発」は、刑事訴訟法で定められている「告発」としての効果はないわけで、「それでも言う」のはやっぱり世の中を今より良くしたいという気持ちがあるかどうかというのは問われますよね。

こういうときに声を上げることは、もちろん大切なことだと思います。スピークアップカルチャー、スピークアップ文化という言葉がありますが、亡くなった方の死を無駄にしないためにも、我々は根付かせていくべきじゃないかと思います。少なくとも口をふさぐようなことはあってはなりません。
声を上げることを国全体で容認する空気を
繰り返しになりますが、ジャッジすることは厳しくしなきゃいけないと思うんですよね。特に公益性が高い話では問われることだし、ましてや地方自治体だとより厳格さが求められるのかもしれませんが、民間でも同じことが言えますよね。

公益通報者保護法が2022年6月に改正されましたが、まだ根付いていない企業が多いそうです。基本的に301人以上の労働者を抱えた事業者は内部通報に適切に対応するための整備義務=体制を整える義務が課されました。

一方、300人以下の場合は努力義務です。「いや、うちの会社300人もいないよ」という声も聞こえてきそうです。となると、やっぱり小さな組織では声を上げにくいのかとなってしまいますが、必要なのは「今ある法律が全て」と思わずに、より我々が声を上げてベターなものに改めていくことだと思うし、時代の足音として、まずは声を上げるということを国全体で容認するような空気を今このタイミングで作っていかないといけません。

鹿児島県警の問題のように、官公庁のことで声を上げると否応なく踏み込まれてしまうということが相次ぐと、ますます物騒な時代に向かっているのかなと思ってしまいます。委縮することなく声を上げていきましょう。
声を上げず見過ごすことで得られるものは大きくない
公益通報の通報先は大きく三つに分けられます。

一つは通報先として一番難しいところですが事業者の内部。次に監督官庁、警察や検察の取り締まり当局。そしてもう一つが、マスコミや消費者団体です。マスコミの中にはもちろん、RKBも含まれますし、このラジオ番組が通報先になるかもしれません。つまりそれくらい、遠い存在ではない、と考えてください。

声を上げてしまうと「あいつは義理人情を欠いている」とかいろいろ言われてしまいます。僕も去年の今頃そうでした。ですが、声を上げずに見過ごすことで得られるものなんて大したことないと思います。見過ごすことは伝統ではなく、悪しき慣習だと思います。我々が変えていきましょう。
田畑竜介 Grooooow Up放送局:RKBラジオ放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分出演者:田畑竜介、橋本由紀、松尾潔
出演番組をラジコで聴く
田畑 竜介橋本 由紀
※放送情報は変更となる場合があります。

あわせて読みたい

【社内外のブレーン】になる!新しいコンサルティングの形
antenna*
令和に「パワハラ首長」が続出する"まさかの背景"
東洋経済オンライン
〈甘かった百条委員会の追及〉兵庫パワハラ県知事、答弁拒否が許されない場で「コメントは差し控える」“公開処刑”によって自死に追い込まれた県幹部への処分は「適切だった」と主張変えず
集英社オンライン
【SPECIAL】“LE LABO” City Exclusive Collection
Lula JAPAN
泉房穂が聞いた斎藤兵庫県知事の仰天発言「知事になって特にやりたいことは別にない」「なぜ兵庫に住まないとあかんのですか」…本当に問題なのは知事ではなく、62年に及ぶ兵庫県の“官僚主義”と語る理由
集英社オンライン
俺は絶対謝らない⁉ 兵庫のおねだり知事が乱発、謝罪会見で絶対に使ってはいけない「NGワード」
FORZA STYLE
「花屋が作ったフレグランス」シリーズにキンモクセイの香り登場
PR TIMES Topics
松尾潔「公益通報のスタンダードを変える時期」兵庫県知事パワハラ疑惑
radiko news
兵庫県知事は「天網恢恢疎にして漏らさず」釈明に思う「徳のなさ」
radiko news
アデリアレトロ×壁紙屋本舗、コラボ昭和レトロな「はがせるウィンドウステッカー」
PR TIMES Topics
オリンピック「敗れた日本選手に怒る」ナショナリズムにあおられる知人
radiko news
五輪選手への誹謗中傷に松尾潔が警告「指先で人命奪う実例見ているはず」
radiko news
AIシステム「KAORIUM」を設置したPOP-UPショップを開催
PR TIMES Topics
斎藤元彦兵庫県知事は「辞めない初の首長」になるのか…泣きながらも「自分は悪くない」と開き直る本当の理由
PRESIDENT Online
松尾潔・東京都知事選は「‟ひとり街宣“の分水嶺となるかも」と期待
radiko news
田畑竜介がナビゲート「RKBドキュメンタリーの日」珠玉の3作品一挙放送
radiko news
「兵庫県知事」の言動に世間が覚えた違和感の正体
東洋経済オンライン
バンドネオン世界大会の優勝奏者・川波幸恵がラジオスタジオで生演奏
radiko news
なぜ「兵庫県知事のイス」にしがみつくのか…「おねだり」「パワハラ」と言われても斎藤元彦知事が辞職を拒むワケ
PRESIDENT Online