整形外科医・歌島大輔がうちわを使ったセルフケアで「肩の痛み」を解決。誤った医療情報に警鐘を鳴らし、著書へ込めた想いを語る。

2024.07.02 09:30
#整形外科  #出版ストーリー #医療


整形外科医として、多くの患者の肩の痛みを診てきた歌島大輔。YouTubeなどのSNSで医学的根拠に基づいた情報発信を行う中で、誤った情報の氾濫に気づき、書籍を執筆したという。
歌島が仕事として手がけるのは、主に肩関節の手術と治療。でも、当たり前のように広まっている肩の痛みに関する誤った情報が、実は患者を正しい治療から遠ざけ、治療迷子にしてしまっている -。
そんな気づきをもとに、著書『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法 名医が教える痛みの正体と治し方』(Gakken)を2024年3月28日に上梓。肩の痛みに悩む人々が陥りがちな誤解を解き、正しい治療法への道筋を示している。特に反響があるのが「うちわ」を使ったセルフエクササイズを医学的根拠を持って提案している点だ。
この記事では、著者である歌島に書籍の内容や、執筆の経緯を振り返りながら、綴ってもらった。
患者さんが陥りがちな肩の痛みに関する誤解。正しい診断と治療の重要性
「五十肩」「腱板断裂」「肩こり」……。肩の痛みで悩んでいる人は、こうした病気の俗称や専門用語を耳にしたことがあるのではないでしょうか? でも、本当にこれらの病名が正しく病態を表しているのか?といえば、残念ながら違います。これらの病名から患者さんが抱くイメージはバラバラで、特に五十肩は「放っておけば自然と治る」と軽く見られています。しかし、五十肩の実際は激痛に悩まされたり、夜眠れないということも少なくありません。


こうした肩の痛みに関する一般的な認識と実際の患者さんの苦しみの間にあるギャップを痛感してきました。
私は整形外科医として、特に肩関節を専門に診療を行っています。年間350件以上の肩関節鏡手術を執刀し、多くの患者さんの痛みと向き合ってきました。そんな中で、肩の痛みに関する誤った情報が広まっていることに危機感を覚えるようになりました。
フリーランス整形外科医としての新たな道。病院の知名度ではなく、医師個人のキャリアへ
私が整形外科医としてのキャリアをスタートさせたのは、大学病院での研修を終えてからです。そこから多くの病院で、多くの優秀な指導医や同僚から学び、診療してきました。
しかし、家庭の事情で、通常の勤務医としてのキャリアを歩むことが難しくなりました。そこで選んだのが、フリーランス整形外科医という道でした。


この選択は、結果として私に新たな視点をもたらしました。病院の知名度やブランドではなく、歌島という医師個人に対して、患者さんが興味を持ってもらう必要が出てきたのです。
フリーランス医師としてのSNSデビュー。誤った医療情報の蔓延とその影響
フリーランスとして活動する中で、私は自分の専門である肩の治療に関する情報をYouTubeなどのSNSで発信し始めました。当初は単純に、自分の知識や価値を多くの人に届けたいという思いからでした。
しかし、情報発信を続けるうちに、ある事実に気づきました。SNS上には医学的根拠のない情報が溢れているのです。これらの誤った情報が、多くの人々を「治療迷子」にしているという現実を目の当たりにしました。
例えば、明らかに手術が必要な腱板断裂の患者さんに「この〇〇治療をすれば腱板が治ります」と断言してしまう医師や治療家さんもたくさんいるのです。
「正しい情報を広めることが私にできる最大の貢献」医師としての責任と使命感
この発見は、私に大きな危機感をもたらしました。医学的根拠に基づいた正しい情報を届けなければ、これからも多くの人が適切な治療を受けられずに苦しむことになる。そう強く感じたのです。
同時に、自分にはその役割を果たす使命があるのではないか、という思いも芽生えました。整形外科医として、そして情報発信者として、正しい情報を広めることが私にできる最大の貢献だと考えるようになりました。
「純粋に価値で勝負する」著書執筆のきっかけとなった三浦孝偉氏との出会い
情報発信の重要性を痛感する中で、私はビジネスコーチの三浦孝偉氏と出会いました。三浦氏は、私の情報発信に対する思いに共感してくださり、より効果的な発信方法について指導してくださいました。
特に印象に残っているのは、「ツテやコネではなく、純粋に価値で勝負する企画書を出版社に送る」というアドバイスです。この指導が私の著書執筆のきっかけとなりました。
肩の痛みをテーマにした出版への道。企画書が認められた瞬間
三浦氏のアドバイスを受け、私は肩の痛みに関する本の企画書を書き上げました。そして、その企画書を複数の出版社に送付しました。
そんな中、Gakkenという私にとって願ってもない出版社から声がかかりました。肩の痛みという、出版業界ではあまり売れないと言われていた分野での出版。それでも、私の企画の意図や内容を評価していただき、出版が決定したのです。
「うちわをあおぐ」だけで『肩の痛みがよくなる』の反響
2024年3月28日に出版された『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法 名医が教える痛みの正体と治し方』は、予想以上の反響を呼びました。わかりやすいタイトルと、興味深い内容が読者の心をつかんだようです。
特にセルフエクササイズとして医学的根拠を基に解説しつつ、その方法が「うちわをあおぐ」ということだということが注目されています。
出版から3ヶ月足らずで早くも3刷が決定。この反応は、肩の痛みに悩む多くの人々が、正しい情報を求めていたことの表れだと感じています。
▲『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法 名医が教える痛みの正体と治し方』(歌島大輔著、Gakken)定価:本体1,595円(税込)、判型:46 ページ数:192 ISBN:978-4-05-802217-7
医学的根拠に基づいた情報の重要性
この本で私が最も伝えたかったのは、今までYouTubeで訴え続けてきたことと同じです。
それは、医学的根拠に基づいた正しい情報の重要性です。肩の痛みは決して単純な問題ではありません。しかし、正しい知識と適切なアプローチがあれば、多くの場合改善が可能なのです。
本書では、医学的根拠に基づく痛みのメカニズム、そして効果的な治療法まで、わかりやすく解説しています。特に、よくある誤解や迷信を丁寧に解きほぐすことに力を入れました。
多くの患者さんとの対話から生まれた本
本書の特徴の一つは、患者さんからいただく、生の声、質問に答える形のQ&Aで構成された章がある点です。その他の章でも私が日々の診療で実際に患者さんから受ける質問や相談を基にしています。
この形式を採用したのは、読者の方々により身近に感じてもらいたいという思いからです。肩の痛みに悩む人が、まるで診察室で私と対話しているかのような感覚で読み進められるよう工夫しました。
医療情報の発信者としての責任
本書の執筆を通じて、私は医療情報の発信者としての責任の重さを改めて実感しました。正しい情報を届けることは、単に知識を共有するだけでなく、人々の生活の質を向上させることにつながるのです。
今後も、整形外科医として、そして医療情報の発信者として、より多くの人々に正しい情報を届け続けていきたいと考えています。そして、一人でも多くの人が肩の痛みから解放され、豊かな生活を送れるよう、尽力していく所存です。
▲手術中の歌島
正しい医療情報を広める使命
この本が主に扱ったのは「肩の痛み」ですが、医療情報全般に言えることは、「根拠に基づいた正しさ」の重要性ではないでしょうか。医療業界ではEBM=Evidence based medicineという言葉が常識となっています。しかし、SNSや書籍の世界ではどうでしょう?医学論文の引用が多数されている情報や書籍はまだまだ少ないのが現状です。


医学的根拠に基づいた正しい情報が広まる社会は訪れるでしょうか。その日が来るのを患者さんたちとともに見届けたい。まだまだ諦めません。「歌島先生」は欲張りで諦めが悪いので。


【書籍情報】 書名:肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法 名医が教える痛みの正体と治し方 著者:歌島大輔 発行:Gakken 発売:2024年3月28日 本体価格:1,595円(税込) 判型:46 ページ数:192 ISBN:978-4-05-802217-7
【著者紹介】 歌島大輔(うたしま・だいすけ) 1981年広島生まれ。茨城育ち。整形外科専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。年間350件以上の肩関節鏡手術を執刀。フリーランス整形外科医として関東圏の病院で手術を行う傍ら、医者YouTuberとしてSNSでの情報発信や各種オンライン講座を運営。

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