ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある

2024.06.25 13:00
この記事をまとめると
■国産メーカーではセダンの車種数が激減している
■セダンは世界的に人気が低迷しておりいまはSUVやミニバンが主流
■セダンは重心が低く後席とトランクの間に骨格や隔壁が入ってボディ剛性も高めで走行安定性が高く乗り心地もいい
ミニバンやSUVにシェアを奪われたセダン
  居住空間の後部に独立したトランクスペース(荷室)を備えたセダンは、かつて乗用車の代表的なボディタイプだった。カテゴリー別の販売台数ももっとも多かった。
  ところがいまは、セダンの車種数が激減している。トヨタ(レクサスを除く)は、カローラのセダンとアクシオ、クラウン、MIRAI、センチュリーに限られ、日産はスカイラインだけだ。ホンダはアコード、スバルはWRX S4、マツダはマツダ3のみ(マツダ6は生産終了)になる。三菱、スズキ、ダイハツはセダンを用意していない。セダンの国内販売比率も、10%を大幅に下まわる。
  ここまでセダンが減った理由は、このカテゴリーが世界的に人気を低迷させたからだ。もともと1920年代までのボディスタイルは、エンジンルームの後部に室内空間を連結させるミニバンスタイルだった。空間効率はこの形状がもっとも優れているからだ。
  その後、1930年代に入ると、室内空間の後部に荷台を取り付けるようになり、これが流線形のデザイントレンドに沿ってボディの一部に取り込まれた。セダンスタイルの誕生だ。
  したがって1930年代から主流になったセダンスタイルは、流線形の典型で美しい半面、空間効率は低い。室内空間の後ろに、わざわざ背の低いトランクスペースを加えたからだ。室内の天井をそのままボディの後端まで伸ばしたほうが空間効率は優れている。
トレンドがセダンに回帰することはないが存在価値はある
  その結果、独立したトランクスペースを持たないステーションワゴン/SUV/ミニバンスタイルが生まれた。表現を変えれば、これらは1920年代までの外観にきわめて近い。時系列で捉えると、もともとミニバンスタイルだったボディが、セダンの時代を経て、再びミニバンへ回帰した。
  2000年に登場したクライスラーPTクルーザーを見ると、昔のクルマがミニバンやSUVのスタイルだったことがよくわかる。クルマの外観がミニバンへ回帰した以上、もはやセダンに戻ることは考えられない。
  しかし、それを理由にセダンが存在価値のないボディ形状と判断するのは誤りだ。セダンはミニバンやSUVに比べて天井と重心が低く、後席とトランクスペースの間に骨格や隔壁が入ってボディ剛性も高めやすい。低重心で高剛性のボディは、走行安定性や乗り心地を向上させるからだ。
  さらにミニバンやSUVでは、後輪が室内の下側に位置するが、セダンではトランクスペースの部分に収まる。そのために後輪が路上を転がる時の騒音も室内に入りにくい。従ってセダンは、スポーティカーや上質な高級車に適したボディ形状となる。
  わかりやすい比較は、セダンスタイルのセンチュリーと、ミニバンスタイルのレクサスLMだろう。価格はセンチュリーセダンが2080万円、レクサスLMエグゼクティブ(4人乗り)は2000万円と同程度だが、乗車感覚は大幅に異なる。
  LMは車内が広く、前席との間にはパーティションと大型ディスプレイを装着した。センチュリーセダンはLMに比べて車内は狭く、装備も見劣りするが、乗り心地は抜群に快適だ。ノイズも際立って小さい。
  つまり、LMは広くて豪華で、センチュリーセダンは上質かつ高級だ。セダンというカテゴリーの価値もこの点にある。そして、メルセデス・ベンツやBMWなどの欧州車に、いまでもセダンが多く残る理由も、欧州では長時間にわたる高速走行の機会が多く、安全面からも上質な走りが重視されるからだ。

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