最新でもどこか懐かしさを感じる粋なモデル メルセデスAMG「CLE53 4MATIC+クーペ」

2024.10.29 10:59
メルセデスAMGから「CLE53 4マティック+クーペ」が登場した。車名から仕様を読み解くと、ブランドは普通のメルセデスではなくより上級なメルセデスAMG。CLEはEクラスのクーペを表し、53はガソリンの3リッター、直列6気筒エンジン、4 MATICはAWD(全輪駆動)を表す。クーペは読んで字の如し、2ドアクーペだ。
AMGだけに、エンジンは先に記したほど単純なものではない。今どきらしくターボが付いているのは当然として、さらに48V駆動の電動スーパーチャージャーも付いている。そしてスターターと発電機の機能を併せ持つシステムのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)も備えていて、直6エンジンをこれ以上無理! というくらい盛り立てている。最高出力は449ps、これは3リッターという排気量から考えると「かなりのパワー」と解釈していいはずだ。
といってもエンジンの理解は容易ではないので、発進から順を追って説明していこう。スロットルを踏み込むとISG(電気モーター)によってジワッと加速がはじまり、すぐにレスポンスのいい電動スーパーチャージャーが加勢する。さらにエンジン回転が高まると過給がターボチャージャーへとバトンタッチされる仕組みだ。加速の全域で図太いトルクが続く、というのがこのパワートレーンの特徴といえる。
だが今回のクルマを前にして多くの人が気にかけるんは、ブランドでもパワーでもなく「クーペ」という部分ではないだろうか? 独身でも家族持ちでも、2ドアクーペを選ぶのはちょっと選択に悩むもの。リアシートは完備しているがリアドアがないので、そこまで親しくない人に「さぁどうぞ」とは言いにくいし、一般的な広さの駐車場でも大きめのドアを開けるたびに気を遣わされることになる。
一方で2ドアクーペはデザイン的に美しく、オトナのための純粋なアソビ車を彷彿とさせてくれるメリットが存在する。今回の場合は単なるCLEではなくAMGモデルなので前後バンパーや縦のバーが主張するグリルが専用品となる。さらに太いタイヤを収める前後のフェンダーも新造され、車幅は標準のCLE比で75ミリほど拡幅されている。室内でもステアリングやシートといった要所に「AMG専用品」が配され、特別な雰囲気を感じることができる。
試乗では、ドライブモードを「コンフォート」と「スポーツ」の2つで試したところ、エンジンの質感が実に良かった。直列6気筒エンジンは4気筒より力強く滑らかで、しかしV8ほど鼻先にズシリとした重さを感じさせず、バランスの良さが伝わってくる。巧い仕事をしているはずのターボやスーパーチャージャーが目立たないのもいい。まるで1990年代のメルセデスの自然吸気エンジンのような素直な印象。それでいてスロットルを踏み込めば、AMGらしい速さもちゃんと備えている。
そんな素直なエンジンと、Eクラスながら案外コンパクトな車体のマッチングもいい。小回りと走行安定性に効く後輪操舵のフィーリングも以前よりはるかに自然なものになっているし、ハンドリングに関しても全体的にしっとりとしている。活発なスポーツカーとは違う「オトナのクーペ」らしさがしっかりと表現されている。
まだAMGが独立したチューナーだった時代にもボディを拡幅して「ハンマー」を名乗ったモデルがあり、日本でも人気が高かった。ブラック系のボディが多く、少し悪っぽい見た目が特徴になっていたが、リアウインドーに本物のAMGモデルを表す銀色のステッカーを見つけると、スペシャルなモデルに出会った感動があった。
今回のCLE53は、往年のとがっていて、粋だった時代のAMGを彷彿とさせるモデルだった。リアシートやトランクは見た目以上に広いし、タイヤ&ホイールも攻撃的に見えるが実は乗り心地だって洗練されている。でもそれ以上に、ステアリングを握っている本人が「特別な一台に乗っているんだ!」と浸ることができるクーペだ。
セダンでもSUVでも普通のメルセデスでもなく、あえてスペシャリティ感の高いAMGのクーペに乗る。人生に余裕のある人にだけ許された選択肢。このクルマにそんな眼差しを向けてしまう人こそ、たぶん本当のクルマ好きだと思う。
メルセデスAMG CLE53 4MATIC+クーペ  車両本体価格: 1290万円(税込)ボディサイズ | 全長 4855 X 全幅 1935 X 全高 1435 mmホイールベース | 2875 mm車両重量 | 1990 kgエンジン | 直列6気筒 ターボ + スーパーチャージャー + ISG排気量 | 2996 cc最高出力 | 449 ps(330 kW)最大トルク | 560 N・m変速機 | 9速 AT(AMG SPEEDSHIFT TCT 9G)お問い合わせ先www.mercedes-benz.co.jp
Text : Takuo Yoshida

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