この記事をまとめると
■乗ってないクルマを他人に有償で貸す「個人間カーシェア」というサービスがある
■暗黙の了解や性善説などに基づいて貸していることも多くトラブルも多い
■犯罪レベルの事件に発展するケースも見受けられる
トラブルが尽きない個人間カーシェア
10年ほど前からちらほらと目にするようになった個人間カーシェアサービス。オーナーがクルマに乗らないとき、個人間カーシェアを介して誰かに貸し出すことで収入が得られます。借りる側にとっては憧れのクルマや、購入する前に試してみたいクルマに乗れるという手軽さがあります。
そのいっぽうで、専用のアプリなどを介するものの、基本的には個人対個人のやり取りになるためにトラブルが起こりやすいことも事実です。そこで今回は、「個人間カーシェアはトラブルがつきもの? 貸す側と借りる側のマナーとは」について、実際にあったトンデモトラブルについてまとめました。
●傷つけたことを持ち主に伝えず返却
持ち主からクルマを借りて返却時間までは借り主の自由といえば……自由です。しかしそればやりたい放題ではなく、暗黙のルールを含めた一定の決まりごとがあって個人間カーシェアサービスという仕組みが成立します。
借り主にとって慣れないクルマを運転するわけですから、ついうっかりこすったり、ぶつけたりする可能性が大いにあります。なかには気づかなかったという事案も含めて「借り物のクルマに傷をつけたのに、報告せずにそのまま返却した」例があります。
また借り主のほうも、証拠が見つからないといった理由で深く追求できず、泣き寝入りしてしまうことも少なからずあると聞きます。つまり、持ち主自ら修理費用を負担することになるのです。
●じつはMT車にほとんど乗ったことがない
普段はAT車に乗っているけれど、たまにはMT車を運転してみたい。しかし、レンタカーやカーシェアリングはATばかり……。そんなとき、個人間カーシェアであれば、最新のスポーツカーからちょっと古めのモデルまで、じつにさまざまな選択肢があります。MT車の操作に慣れている人にとっては、MT車を借りても無意識に体が動きますが、慣れていない人にとってはものすごくハードルが高い行為なのも事実です。
なので、クラッチミートで盛大に半クラを使い、シフトチェンジのタイミングがわからない。そしてシフトミスの連発……。坂道発進なんて心臓バクバクもの。挙げ句の果てにはクラッチがジャダーを引き起こしてパニック状態に。これはもう、慣れるしかありません。みんなそうしてきたんですから。とはいえ、あくまでもカーシェアの場合は”借りモノのクルマ”です。少なくともオーナーのクルマにダメージを与えていることは事実です。
●急発進・急ブレーキ・急加速
自分のクルマではまずやらない。しかし人のクルマではお構いなし。そのなかでありがちなのが「急発進・急ブレーキ・急加速」です。ABSが作動するほどのフルブレーキやローンチコントロール、ホイールスピンなんてもってのほか。しれっと返却しても、その行為、ドライブレコーダーにしっかりと記録されていますよ。持ち主がその映像を見たらがく然とするでしょう。
当然、次回からは貸してもらえなくなります。個人間カーシェアではありませんが、かつて、職場の上司に当時乗っていた愛車を運転してもらったときがこのパターンでした。自分のクルマは神経質なくらい大事にするのに、他人のクルマは……。それ以来、運転させないようにしたのはいうまでもありません。
●オービス
借りたクルマが高性能車だったり、運転が楽しいスポーツカーだったりすると、ついつい飛ばしたくなる気持ちもわかります。しかし、オービスを光らせてしまうような速度域で走らせてしまうのはさすがにアウトです。オービスに撮られたのは借り主でも、出頭命令の書類が届くのはオーナーの自宅。
なかにはこの段階でもオービスに撮られたことを認めず、最後には「ばっくれて」しまうようなケースも。借りモノのクルマでオービスを光らせて、その挙げ句、「ばっくれ」てしまうなんて信じられないと思われるかもしれませんが、実在します。そのあとの展開がどうなるか、考えればわかるはずなのに……。
●乗り逃げ
まさかそこまで……と思いきや、借りたクルマを返却しないどころか、そのまま乗り逃げ。挙げ句転売してしまうケースもあります。個人間カーシェアリングは「性善説」に基づいていないと成立しません。とはいえ、乗り逃げされてしまうリスクがあるのはさすがにいかがなものかと思わざるを得ません。
この手の借り主は言い訳のボキャブラリーだけは一流です。騙されてはいけません。こうなると、もはや犯罪レベルで悪質な行為になってきます。
●まとめ:個人間カーシェアサービスの問題点とは?
レンタカーやカーシェアリングとは似て非なる「個人間カーシェアサービス」。前者は法人が所有しているクルマですが、後者は個人が所有しています。つまり、身銭を切って購入したクルマなのです。不特定多数の人が運転するわけですから、乗り方や扱い方も人それぞれ違います。自分のクルマは大切にするけれど、他人名義のクルマはやりたい放題という人も実在します。
いうなれば、貸す側にとっては、個人間カーシェアはハイリスクさがつきまとうサービスであり、借りる側にとっては個人のモラルが如実に表れることを認識する必要がありそうです。