【試乗】オールシーズンタイヤってどんな感じ? 初体験でウエットも雪道も走ってみたらかなり「アリ」な選択だった

2024.05.11 17:00
この記事をまとめると
■非降雪地に住むユーザーにとってスタッドレスタイヤの履き替えは億劫な作業だ
■最近はオールシーズンタイヤが注目されているが、まだ信用されていないケースが目立つ
■グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズ GEN-3」を雪道で試した
気にはなるオールシーズンタイヤってぶっちゃけどうなの?
  クルマを所有していれば冬になると心配になるのが雪。豪雪地帯にお住いの方やウインタースポーツなどを趣味にする方たちであればスタッドレスタイヤは必須だが、筆者のように都内在住で雪道を走る機会がほとんど無いという人にとっては、いつ降るのかわからない雪に備えてスタッドレスタイヤをもっておくというのは、保管場所の確保などを考えるとなかなかハードルが高い。
  今年も何度か雪は降ったが、筆者の場合はスタッドレスをもっていても交換の手間などを考えると億劫となり、結局交換せずクルマには乗らないという選択をした。だが、クルマ生活をしている人にとっては、この期間、クルマが動かせなくなるというのは不便そのもの。仕事だってままならない。
  それにあらかじめ降ることがわかっていればいいが、出先で突然降ってきたなんてことがあったらさらに厄介だ。そんなときにふと頭をよぎるのが、最近よく聞く話題のオールシーズンタイヤ。ただ、存在自体は知っていても私は実際に履いたことがなく、興味があってもわからないことだらけだ。今回は、老舗タイヤメーカーのグッドイヤーの代表作でもあるオールシーズンタイヤ、「ベクター4シーズンズ GEN-3」を試乗する機会をいただいたので、その使い勝手を紹介したい。
  今回の試乗期間は2日間設けられており、雪を求め都内から長野方面に向かうことに。試乗車として用意されたクルマはトヨタ・カムリだ。出発当日はあいにくの雨模様だった。漠然とだが、オールシーズンタイヤはウエット性能がイマイチなのではというイメージをもっていた筆者にとっては、雨天での性能チェックができることは楽しみでもあった。
  最寄りのインターからすぐに高速に乗って宿がある場所までの約270キロのロングドライブ。途中かなりの雨量だったが、想像していたよりも好感触。もちろんサマータイヤと比較すると抜群のグリップ力とはいえないものの、高速域でのレーンチェンジなどもとくに不安を感じることなく普通に走行することができた。また、乗り心地のよさや静粛性の高さも魅力的だったといえる。
  このGEN-3から採用になった新Vシェイプドトレッドは、センター部に向かうほど溝が細くなる設計になっているとのことで、配列を細分化することで路面からのピッチ音を分散し、パターンノイズの低減と振動の抑制にも貢献しているそうだ。おかげで快適に目的地でもある長野に到着。
  この日は雪上走行はできなかったものの、期待値はかなり高まった。
肝心の雪道ではとくに問題なし!
  翌日、宿を出るころには雪が降っていた。宿の周辺はまだまだ積もり始めたばかりで、ガッツリ性能を体感するには物足りないといったところ。
  ということで試乗推奨コースにもなっている志賀高原に向けてクルマを走らせた。市街地はほとんどシャーベット状の雪だったが、ひとたび市街地を外れると路面も徐々に真っ白になっていき、標高が上がるにつれて車線も認識できなくなるほど雪深くなっていく。
  初めてのオールシーズンタイヤでの雪上試乗ということもあり、最初はかなり身がまえていたのだが……実際に走ってみると、意外や意外。そのグリップ力の高さに驚かされた。当然アクセルやブレーキ、ステアリング操作に至るまで、通常の運転より神経を使っていることに違いはないが(これについてはスタッドレスタイヤでも変わらないが)、思わず「こんなに普通に走れちゃうんだ」という声が出てしまうほど。上りはほぼ圧雪路だったこともあると思うが、スタッドレスを履いて走るクルマとほとんど変わらない速度と安定感で走ることができてしまった。
  昼過ぎには出発地点でもある都内に戻らないといけないスケジュールだったため、撮影を済ませそのまま帰路へ。もと来た道を戻っていくのだが、上りと違って下りは轍がところどころ凍っていて路面はかなり荒れていた印象だ。
  やはりこういった路面ではグリップ感は落ち普通に滑る感覚が強い。ただ、コントロールできないような危険な滑り方というわけではなく、「あ、滑ってるな」と感じる程度。
  もちろん、コントロールに関しては速度や乗り手の問題も関わってくるので、雪道に慣れてない人がこの状況になったらと考えると確実にスタッドレスに軍配が上がるだろう。なので、上りに比べると若干ペースは落ちたが、トラブルなどもなく、安心して無事に下りきることができた。
  雪が降っていたこともあり、高速は冬タイヤ規制されていた。しかし、心配は無用だ。このGEN-3はサイドウォールにスノーフレークマークの刻印があるので冬タイヤ規制であっても走行することが可能。これがチェーン規制だった場合は、たとえスタッドレスタイヤであってもチェーンの装着が必要になるので注意が必要。また、アイスバーン(凍結路面)はNGとのことなので、要注意だ。あくまで雪道用と考えるべきだろう。
  帰りは雪からすぐに雨に変わり、路面も濡れていたが、行きと同じく安定した走りをみせた。ここで残念に思うのが完全なドライ路面での走行ができなかったこと。
  このGEN-3からドライでのハンドリング性能がアップしているという。それはより強いアンダートレッドと強固なショルダーブロックの組み合わせがタイヤの変形を低減することで実現している。また、新オールウエザーシリカコンパウンドを採用したことで、耐摩耗性が向上し、タイヤの寿命も延びているそう。
  ドライでの試乗は今回かなわなかったが、ウエットと雪での試乗だけで考えても、当初に抱いていたオールシーズンタイヤへのイメージとはかなり変わった。もちろん過酷な積雪や凍結があるエリアでは別だが、季節、路面コンディションに関係なく履き替えが不要というのは、やはりオールシーズンタイヤならではの強みだろう。スタッドレスのように保管場所を考えたり、別でホイールを用意する必要もなく、突然の雪で慌てることもなくなるのは大きなメリットだ。
  しかもこのGEN-3は15インチから20インチまで全35サイズのラインアップで、コンパクトカーから大型セダン、SUVまで幅広い車種に対応している点も嬉しい。また、車重が重く、重心も高いSUV専用設計の「ベクターフォーシーズンズ GEN-3 SUV」の用意もある。
  実用性や経済性を考えてもバランスが取れているし、むしろ食わず嫌いというか、漠然としたイメージだけで触れずにきたことを若干後悔したほど。
  筆者的には選択肢のひとつとしてオールシーズンタイヤはおおいにアリだと思った。

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