【試乗】「LSD」の変更と「サーキット用DSC」を採用! 大幅改良したロードスター「NR-A」の実力をサーキットで試した

2024.06.12 07:00
この記事をまとめると
■2023年10月、ロードスターが大幅改良
■筑波サーキットで「NR-A」の試乗会が開催された
■タイムやインプレッションをお届けする
モータースポーツベース車「NR-A」に筑波サーキットで試乗
  2023年10月に商品改良を受けて、より一層走りを進化させたマツダ・ロードスター。
 一般道でのインプレッションは既報済みだが、サーキット走行に特化した試乗会が開催されたのでリポートしよう。
  用意されたのは筑波サーキット。ここでは毎年ロードスターを使用して自動車メディアが燃費と速さを競う「メディア対抗4時間耐久レース」が開催されている。我々WEB CARTOP&CARトップチームも30年以上連続参加してきており、昨年は3位表彰台の獲得を果たした。ただ昨年の予選時は降雨に祟られウエットの路面コンディションで難しいドライビングを強いられた。その時の印象は激しいオーバーステア特性とグリップ不足で、ベテランのジャーナリストドライバーもスピンするほど。僕自身もスピンはしなかったが、スピン車両に行く手を阻まれ、予選過去最低の8位となってしまっていた。
  ドライの決勝は3位まで挽回したが、ウエットでの操縦性の悪癖がかなり印象に強く残ってしまっていたのだ。
  しかし、大幅改良を受けた新型は、そうしたネガティブな印象を払拭してくれるはずだと開発に関わった梅津大輔エンジニアは自信を示す。実際梅津氏自身もメディア4耐にマツダの「人馬一体ロードスターチーム」でドライバーとして参戦しており、件のウエットの予選では僕を上まわる7位のタイムを叩き出していた。
  その梅津氏自身もウエットの操縦性には苦労したようで、今回の改良の成果には自信があるという。
  改良ポイントを振り返ると、電動パワーステアリングのデュアルピニオン化、アシンメトリックLSD(リミテッドスリップでファレンシャル)」の採用、サーキット走行に特化した電子制御「DSCトラック」モード(MMT車のみ)の採用などが注目すべきポイントだ。
  試乗車はMTのNR-A。ロールゲージが組み込まれ、タイヤはメディア4耐でも使用するブリヂストン「アドレナリン」。ブレーキパッドも指定の「エンドレス」製を装着してありそのままマツダの主催するパーティーレースに参加できるというナンバー付き車両だ。
  しかも路面はウエットで昨年のメディア4耐予選時とほぼ同等のコンディション。改良の進化を試すにはもってこいの状況だ。
  コースインして最初のラップ。冷えたタイヤとブレーキのウォームアップはアウトラップだけで十分だ。その温まりの早さは明らかに昨年のメディア4耐時とは異なる。リヤの安定性が明らかに高まっており、また加速旋回時にリヤがリバースする感触もずっと穏やかになっている。
誰もが安心してサーキットを走れるクルマ
  早速タイムアタックに入る。第一コーナーはややアンダーステアが強く、操舵角が増している。これはアシンメトリックLSDが減速時に拘束力が強く設定されていることがリヤの安定性を高めていることによる。立ち上がりでスロットルを開くとトラクションが適度にかかり、テールスライドも少ない。これもLSD効果で加速方向では拘束力が弱く設定されているからだ。これは通常のレース用LSDとはまったく逆の考えで、リヤの荷重が小さく、後輪駆動のロードスターならではのセットアップといえるだろう。
  第一ヘアピン、ダンロップコーナー、第二ヘアピンと同様な特性を示すが、第二ヘアピンへ向かう高速左コーナーではパワーバンドに乗りパワースライド傾向が強まった。
  バックストレートではステアリングセンターがしっかり出ていて保舵力も増していて安心感が感じられる。また高速100Rの最終コーナーではアンダーステアに終始し、フロントタイヤにはやや厳しい状態になっている。
  これらはもちろん電子制御をオフにしての走行フィールだ。
  次に新採用のDSC-TRACKモードを試す。スライドをある程度許容し、アンダーステアやオーバーステアを感じられるが、カウンターステアを当てるほどにヨーが高まると弱く介入が入る。一般的なドライバーにとっては十分実用的で安心安全な装備といえるのだが、今回のようなウエット路面ではややミスマッチな場面もある。
  とくにウエットパッチとハーフドライ路面が混在する路面状況だとウエット部で制御が介入し、作動時にはタイヤがドライ路面に乗っているような状況では減速感を強く伴いコンペティティブとはいえない。おそらくノーマルタイヤとブレーキではマッチングがいいのかもしれないが、レース用アドレナリンとエンドレス製ブレーキパッドの組み合わせで難しい路面コンディションに対してはもう少しキャリブレーションマッチングしたほうがよさそうだ。
  ちなみにラップタイムはDSCオフ時に1分19秒55。DSC-TRACKモードでは1分20秒44がベストタイムだった。昨年のメディア4耐予選時はより難しい路面コンディションで1分19秒37を記録。速いチームは1分17秒台を出せていたので、新型が圧倒的に有利ということではなさそうだ。
  いずれにしても、サーキット走行に対する適合性が高まっていることは間違いなく、スポーツ走行でトレーニングし、またレースに参加するなどビギナー、ベテランを問わず安心してサーキット走行に臨めるロードスターの存在は改めて意義深く、世界中のファンを魅了する原動力になっているのは間違いない。
  今年も開催されるメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。今回の改良を受け参加車両は全車新型に入れ替わるという。今回の試乗で得たノウハウを活かし、今年こそは悲願の優勝を果たしたいと願っている。

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