アルファロメオの「四つ葉のクローバー」は元々「幸運のお守り」だった! ハイパフォーマンスモデルが付ける「クアドリフォリオ」誕生の秘密

2024.05.03 17:20
この記事をまとめると
◾️一部のアルファロメオにあしらわれているクローバーの図版は「クアドリフォリオ」という
◾️クアドリフォリオはレースでの幸運のお守りに端を発する由緒ある紋章である
◾️クアドリフォリオはアルファロメオのハイパフォーマンスグレードの名称となっている
四つ葉のクローバー「クアドリフォリオ」とは
  アルファロメオの一部車種に用いられている「クアドリフォリオ(Quadrifoglio)」とは、イタリア語で「四つ葉のクローバー」の意味。そして、クアドリフォリオと名付けられたアルファロメオの市販モデルには、なんとも可愛らしい四つ葉のクローバーの図版が、フロントフェンダーやステアリングホイールなどに描かれている。
  とはいえ「クアドリフォリオ」を名乗るアルファロメオとは、シリーズ内で最高峰のパフォーマンスを発揮するトップモデルのこと。そんなハイパフォーマンスモデルがなぜ、虎や狼などといったいかにも強そうなものではなく、「四つ葉のクローバー」というカワイイ系のものをシンボルとしているのか?
  アルファロメオ愛好家にはいまさらな話かもしれないが、その歴史と意味をご紹介しよう。
  アルファロメオの起源は、1910年にイタリア・ミラノ郊外で創業されたA.L.F.A.(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili=ロンバルダ自動車製造有限会社)。A.L.F.A.はさっそく第1号車「24HP」でレースに参戦し、評判を高めるとともに事業を拡大していった。
  しかし、第一次世界大戦の影響で業績は悪化。そのときに救いの手を差し伸べたのが起業家のニコラ・ロメオで、1919年には「A.L.F.A.」に「ROMEO」を足し合わせた「ALFA-ROMEO」というブランド名に変更。そしてミラノ市の紋章(ヴィスコンティ家の紋章)をかたどったエンブレムが誕生した。
  そんなアルファロメオの歴史に初めて「四つ葉のクローバー」が登場したのは1923年のことだった。
  同年のタルガ・フローリオ(シチリア島で行われていた公道レース)に参戦したウーゴ・シヴォッチが、自身がドライブするアルファロメオRLのノーズ付近に「幸運のお守り」として、白い正方形に緑の四つ葉のクローバーをあしらったマークを描いたのだ。
クアドリフォリオが護符になった理由
  シヴォッチはそのレースで見事総合優勝を遂げ、四つ葉のクローバーのご利益というか評判は大いに高まった。しかし、タルガ・フローリオからわずか数カ月後、ウーゴ・シヴォッチはレースの予選中に事故死してしまう。そして、その際に彼が乗っていたマシンには──たまたまだったのか、「クアドリフォリオ」は描かれていなかった。
  それ以降、レースに参加するすべてのアルファロメオ製ワークスマシンには、護符として「四つ葉のクローバー」が描かれることになった。ただ、それまでの白いベース部分は正方形だったのだが、このタイミングから「シヴォッチが欠けてしまったこと」を意味する三角形に変更されている。
  その後、クアドリフォリオ ヴェルデ(緑の四つ葉のクローバー)をノーズやコクピットなどに描いたアルファロメオのワークスマシンは勝利を重ねていくことになるが、1960年代からは、レース参戦のために作られるホモロゲーションモデルにも四つ葉のクローバーが描かれた。そして1980年代以降は、市販モデルの最高峰グレードにも「クアドリフォリオ」という名称が使われるようになる。
  現在販売されているモデルでいうと、スポーツセダンの「ジュリア」と、スポーティなSUVである「ステルヴィオ」に、クアドリフォリオが存在している。
  ジュリアの場合、標準モデルである「ジュリア ヴェローチェ」は最高出力280馬力の2リッター直4ターボエンジンを搭載するが、「ジュリア クアドリフォリオ」のそれは同510馬力の2.9リッターV6ツインターボ。車両価格も前者は697万円だが、クアドリフォリオはほぼ2倍の1357万円だ。
  そしてステルヴィオでは、標準モデルに相当する「ステルヴィオ TI」が最高出力210馬力の2.1リッター直4ディーゼルターボであるのに対し、「ステルヴィオ クアドリフォリオ」は、ジュリア クアドリフォリオと同じ510馬力の2.9リッターV6ツインターボを搭載。こちらの車両価格も、標準モデルの2倍近くである。
  現在は主に市販モデルにおいて使われている「四つ葉のクローバー印」ではあるが、その可愛らしさに騙されてはいけない、というか惑わされてはいけない。あの可愛いマークは、約100年前にシチリア島でウーゴ・シヴォッチが勝利したときから連綿と続く「勝利への護符」なのだ。

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