「かわいい」でインドネシアを席巻した「ウーリン」が失速気味! 日本車はもちろん同門BYDの勢いに対抗する術はあるのか

2024.08.23 06:20
この記事をまとめると
■GIIAS2024で中国ウーリンは自らのインドネシア上陸7周年を祝う展示をしていた
■ウーリンは「エアEV」の導入によりインドネシアで人気を得たが最近は失速気味
■「ビンゴEV」を新主軸車種としているウーリンだがBYDとの競合に注目が集まっている
いち早くインドネシア市場に進出したウーリン
  2024年7月に開催されたGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)2024の会場内、中国ウーリン(上海通用五菱汽車)ブースへ行くと、壁に「7周年」と大きく書かれていた。日本では「5」や「10」など、十進法で祝うような傾向もあると筆者は感じているので、どこか中途半端にも思えたので事情通に、「インドネシアでは7は何か意味のある数字なのか?」と聞くと、「そんなことはありません。ウーリンはいままでも『3周年』とか毎年のように『アニバーサリー』として祝っていますよ」と話してくれた。
  トヨタブースにはランドクルーザー300が展示されていたが、そのボディには「70周年記念(初代登場から)」と英語で書かれたバッジが貼ってあり、日本車の歴史の深みというものを改めて感じてしまった。個人的には「SINCE 1954」とされるよりはいいかとも感じた。
  中国系ブランドとしてインドネシアにいち早く市場参入したのがウーリンブランド。インドネシア国内のスズキの生産工場の対面に現地生産工場を建設し、当初はICE(内燃機関)車となるMPV(多目的車)などの販売から開始した。その後もICEのコンパクトクロスオーバーSUVなど、ラインアップを拡充していった。ちなみに2024年2月にインドネシアの首都ジャカルタを訪れた際、空港のタクシー乗り場にかなり年季の入ったウーリンのMPV「コンフェロ」のタクシーがいたので試しに乗ることにした。走行距離は40万kmを超えていた。車内の見えるところはくたびれているものの、意外なほど結構まともに走っていたので驚いてしまった。
  ウーリンは、2022年にマイクロコンパクトBEVとなる「エアEV」をインドネシアで世界初公開し発売するとインドネシアで爆発的なヒットとなった。以後、多くの中国系メーカーが後に続くようにBEVをラインアップしていった。ICEを含め、インドネシアにおける中国系メーカーの先兵的存在がウーリンなのである。
  しかし2024年になると、エアEVの販売台数の失速が目立ってきた。欲しいと思う人への販売が一巡してしまったのがその原因ともいわれている。さらに、世界的にもBEVの最大手とも呼べるBYDオート(比亜迪汽車)がインドネシア市場へ正式参入したことも大きかったようだ。もともと「カワイイ」ということで女性ウケのよかったエアEVだが、日本ほど「カワイイ文化」が育ちきっていないことも早期に販売が失速した原因のひとつともいわれている。
「7周年」を迎えたウーリンも、軸足をエアEVから他車に移す動きを見せている。いまでは日本のコンパクトカーサイズに近く、引き続きカワイイ路線を継承する「ビンゴEV」が販売主軸車種になっているとのこと。ただし、このカテゴリーにはBYDドルフィンがいるので、各地域で強固な販売ネットワーク構築でも定評のあるBYDとの競合がどう影響していくかも見ものといえよう。
  ウーリンの属する上海汽車グループは、すでにタイでは大幅値引きなどの乱売が目立っているとも聞く。一方のBYDは、そこに対しては距離を置きながら対応しているようであある。インドネシアでは今回のGIIASでドルフィンとアット3にお買い得価格の仕様を追加設定しており、タイのように値引きに頼るようなEVの乱売を抑止しようという動きをとっているようにも見える。
  おそらく2025年開催のインドネシアの自動車ショーでは「8周年」を祝うことになるだろうと思われるウーリン。9割超という圧倒的な販売シェアを誇る日本車に加え、新規参入が増え続ける、同門ともいえる中国系メーカーも意識しながら、今後どう展開していくかということを注視していきたい。

あわせて読みたい

GM・フォードが相次いでBEV戦略を減速! じつはアメリカでBEVが売れているのはカリフォルニアだけ!!
WEB CARTOP
いかにも強そうな名前の「ブレードバッテリー」! BYD自慢の安全性とコスト面で優れるバッテリーは何がどう凄いのか?
WEB CARTOP
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
【限定車】コンパクトEV「BYDドルフィン」1周年記念!輸入BEV初のアンダー300万円
MADURO ONLINE
「ドルフィン」と「シール」に触れて、「ATTO 3」に試乗して、「ありかも」を実感するチャンス!BYD出展情報【EV:LIFE 神戸2024】
CARSMEET WEB
【BAREFOOT DREAMS】スタイリスト金子綾氏とのコラボレーションボックス発売
PR TIMES Topics
EVが浸透している国でもEVは単なる移動手段! 外部給電としての「EV活用」は日本の強みだった!!
WEB CARTOP
BEVの大幅値下げによる乱売で中国メーカー車に対するユーザー離れの恐れがあるタイ! 遅いと言われる日本のBEV普及スピードこそが健全な姿
WEB CARTOP
御代田町の複合施設「MMoP」内各店舗にてクリスマスを彩るフェア開催
PR TIMES Topics
上半期のBEV販売は約10%増でHEVは約70%増!! それでも全体で20%もマイナスとなったタイで何が起こっているのか?
WEB CARTOP
世界のバスメーカーが狙う新興国のBEVバス市場! 中国が圧倒的な勢いをもつなかで欧州&韓国……そして日本はどうする?
WEB CARTOP
ハワイ発のコーヒーブランド「ホノルルコーヒー」の日本第1号店原宿にオープン
PR TIMES Topics
「パーツ販売」「フィルム施工」「中古車販売」! まるまる「自動車だけ」のショッピングモールがインドネシアに存在した
WEB CARTOP
いわば韓国の軽自動車「キョンチャ」が日本にドンピシャサイズ! サクラよりちょい大きいヒョンデ「インスターEV」が日本に入るとかなり脅威な気がする
WEB CARTOP
老舗洋傘メーカー「2024クリスマスフェア」開催
PR TIMES Topics
売るだけじゃBEVは根付かない! いまBEVからエンジン付き車への回帰が始まっていた
WEB CARTOP
規制クリアのために利益より台数……ってこんなのアリ? 政府の強引なBEV普及施策によりいまカリフォルニアでBEVが乱売状態だった
WEB CARTOP
幅広いシーンで活用できる「フラップ付き二重構造クリアタンブラー」登場
PR TIMES Topics
いまインドネシアでヴォクシーが大人気! セレナ&ステップワゴンにMGも参戦してMクラスミニバン激戦区になる予感
WEB CARTOP
中国のEV上陸を牽制すべくカナダもアメリカもEUも凄まじい関税を課す! そうなると中国が次に狙うのは「政府が弱腰」な日本市場
WEB CARTOP