入社2年で過疎地に移住。「リアル×IT」が生み出す新規ビジネスと新しい働き方

2024.03.28 12:30
古民家のシェアハウスに住み、「廃校」を活用したシェアオフィスで海を眺めながらリモートワークする。休日は地域の人たちと釣りや農作業を楽しみ、採れたての海の幸、山の幸を囲みながら地域のことを語り合う。そこから次々にアイデアが生まれていく━━。
そんな毎日を過ごしているのはネットイヤーグループの花田 直也。彼は25年間東京を離れたことがなかったが、同社の地域創生の取り組みに共感して愛媛県宇和島市に移住し、地域課題に貢献する新規事業に意欲的に参画している。新卒入社からわずか2年間で、何が彼を急成長させたのか。その軌跡と、未来への展望を追います。 
コロナ禍での学生生活。リアルでつながれる場が欲しかった 
もともと起業精神が旺盛だったわけではないんです。ネットイヤーグループに入社したのは、学生時代にサークルの新入生勧誘を通じてマーケティングや顧客接点に興味を持ったから。自分の好きなものを知ってもらい、仲間になってもらうのが嬉しくて、そうした視点でいろんな会社の支援ができたら面白そうだと思いました。大学2年の冬からコロナ禍で通学や外出が制限されていたので、“リアル”と密接に関わる仕事に就きたいとの思いもありました。


個人差はあるかもしれませんが、人は誰かと会って話したり、集まったりすることを本質的に求めていると思うんです。実際会って話さずにオンラインだけで本当に仲良くなれるかというと、わからない。時間的、体験的な密度を含めて、リアルには勝てないというのが私の考えです。


だから、リアルなコミュニケーションにつながる「場」をつくり、デジタルを介して提供してみたい。私はスポーツが好きですが、運動そのものよりも、試合会場に集まり盛り上がったり、そのために友達と会う約束をしたり、スポーツを通じて生まれるコミュニケーションや活気に魅力を感じるんですね。
社内ビジネスコンテストで新規事業の面白さを知る
社会課題とその解決を支援する「社会インパクト事業部」への配属を希望したのも、リアルとのつながりが強そうだったからです。配属後は、プロジェクトを通じてデジタルマーケティングの基本を身につけるとともに、若手が企画運営する社内のビジネスコンテストも担当しています。これはサービスを生み出すプロセスを楽しく学び、新規事業の立案にチャレンジできるようになるというもので、従業員はだれでも自由に応募できます。良いアイデアには会社の支援で実現する道もあるので、このチャンスを生かして応募しなければもったいないと感じるようになりました。


1年目は運営だけで精一杯でしたが、2年目は廃校を再利用した施設をスポーツイベントに活用するアイデアを応募しました。ほかにも多くの人たちに応募していただき、活気のあるコンテストになりました。スポーツイベントのアイデアは、実現するにはまだまだ詰める必要がありますが、コンテストの企画運営や応募を通じて「新規事業」というものが身近になり、どんどん面白くなっていきました。
地域ならではの企業研修「ライフスタイルツーリズム」を立ち上げ
入社2年目からは、通常業務のかたわら、ネットイヤーグループが一般社団法人ソーシャルデザイン・ラボ(※1)や自治体等と協力し、廃校になった小学校を利活用して地域創生の拠点とする「廃校モールプロジェクト」にプロボノで参加しています。そこで展開する事業のひとつ「ライフスタイルツーリズム」のリーダーを任されることになりました。廃校モールを企業研修の場として活用する事業で、地域の自然や産業、人との交流などを通じて成長のきっかけをつかんでもらうというものです。


クライアントから委託される課題や要望が明確な通常業務とは異なり、一から自分で企画してゴールを設定し、事業計画を考えなくてはなりません。上司からは「いいと思うようにやりなさい」と言われましたが、それが難しかったです。事業計画を作成するのも初めてなので、ベテランの先輩方に相談しながら、試行錯誤を重ねながら書き上げました。


8月には自ら作り上げたサービスの体験版「企業合宿型人材育成ワーケーション」を実施し、その様子はYouTubeの愛媛県公式チャンネルでも紹介されています。体験を通じて得たフィードバックや洞察をもとに、サービスを改善し、現在も、宇和島ならではの研修の魅力を伝えられるよう、より良い訴求方法を模索し続けています。


※企業合宿型人材育成ワーケーション(ダイジェスト版/3分20秒)
YouTube:愛媛県ワーケーションPR動画-地方と都市圏を結ぶ新たな働き方-×
「遠隔地勤務制度」を活用して宇和島市に移住
こうして廃校モールに関わりながら痛感するのは、「その場所に行って話してみないとわからない、体験しないとわからないことがある」ということです。このまま東京に住み続けていては視野が狭くなる。いつか外に出たいと思っていました。そんな時、遠隔地勤務制度を使って移住してはどうかとの話が持ち上がったのです。迷わず「行かせてください!」と手を挙げました。


実は入社1年目の終わり頃、ワーケーションサービスの施設を利用して、愛媛、会津、つくばで1週間ずつワーケーションをした経験があるんです。そこでの出会いが新鮮でした。都市部と地方の2拠点で働いている人、Uターンした人など、都市と地方の両方の視点を備えた人が多く、話をしていてとても面白かったんです。


社会インパクト事業部の上司からも、「会社にしがみついていたらダメだ。これからの時代、多様なキャリアが重要になる。」と言われていました。ワーケーション体験を通じて、その言葉の意味が少しずつ理解できるようになり、異なる職業やキャリアを持つ人々との交流から、単一のキャリアにとらわれずに多様な経験やスキルを活かす重要性を感じました。


そうこうして2024年1月、宇和島に引っ越しました。遠隔地勤務制度だけでなく、プロボノに価値を認めてくれる事業部の方針や、入社して間もない新卒の若手にもチャレンジの機会を与えてくれる社風に支えられ、日々楽しみながら、のびのびと働いています。
暮らして実感する地域の魅力。人々と交流しながら、仕事をつくり出す
海辺での暮らしは、すべてが初体験で、すべてが新鮮です。なるべく地元の人と知り合いたいので、誘われたら断らない精神であちこち出かけています。釣りに誘ってもらったり、廃校モール裏のみかん畑で農園作業の手伝いをさせてもらったり。


休日に近くの砂浜で絵を描いていると、地元の人に良く声をかけられます。そこで知り合い、真珠養殖の副産物の貝柱の話をしてくれた漁師さんが、次の日、「これだよ」と廃校モールに貝柱を持って来てくれたこともあります。本当に温かいコミュニケーションがあるんです。養殖といえば鯛も有名で、こちらに来て初めて意識して食べたのですが、その美味しさに驚きました。脂がのっていて、とても美味しいんです。


シェアハウスの同居人や遊びに来てくれる地域の人たちと、廃校モールの校庭にピザ窯をつくろう、子どもから高齢者まで楽しめるパラスポーツのイベントをしようなど楽しい企画を計画しています。ほかにも、地元の様々な課題に対して、新たなビジネスの話もよくしています。ITに詳しくない人も多いので、ITをいかに活用してより良くしていけるか、考えるきっかけがすごくたくさんあります。もっと専門性を高め、実績を積んで、自信と具体性をもって提案できるようになりたい。その思いが、仕事へのモチベーションになっています。
多様な価値観を知ることで、人生の選択肢が増えていく
いろんな人と出会えるリアルな場をつくり、ITを使って活性化させる。それを実現させるために、知識や経験の引き出しを増やしていくことが、自分にとっての一番の目標であり、課題です。


いろんな価値観の人が集まってこそ、新しい経験や気づきが生まれます。地方も都市部も、それぞれで固まっていては視野が狭くなってしまう。デジタルやSNSでの付き合いも、自分の興味の範囲内に偏りがちです。東京を離れてみて、そのことがよくわかります。いろいろな人と出会って、いろいろな考え方を知れば、人生をより良くするための選択肢が増えると思います。私にとってのスタート地点が宇和島市。地域の人たちと一緒に楽しみながら、リアル×ITを追求していきます。




※1 一般社団法人ソーシャルデザイン・ラボ
非営利組織と社会起業家を支援する中間支援団体として、ソーシャルビジネスの経営基盤強化や事業創出に関する支援を実施。地方自治体と連携し企業版ふるさと納税を活用した廃校利活用と関係人口創出および地域経済活性化の推進に取り組む。
【関連リンク】ライフスタイルツーリズム
企業合宿型人材育成ワーケーション(フルバージョン)
YouTube:愛媛県ワーケーションPR動画-地方と都市圏を結ぶ新たな働き方-×

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