今、神戸のまちは、神戸空港の国際化や三宮・ウォーターフロントの再整備、駅前リノベーションなど、未来にむけて大きく変わりつつあります。全国的な人口減少・少子高齢化の傾向をはじめ、社会を取り巻く環境もどんどん変わってきていますが、未来の神戸をもっと“ワクワク”するものに、いつまでも住み続けたいまちにしていくために、神戸市ではまちの将来像や方向性を描く、新たな「総合基本計画」の検討を令和5年度からスタートしています。
神戸市では、次期「総合基本計画」策定プロジェクトの一環で、株式会社AKINDと神戸新聞社とともに、未来の神戸を考えるアンケートや意見交換ワークショップを行う「TALKING CIRCLE KOBE(トーキングサークルコウベ)」を2023年7月から12月にかけて実施。
今回、神戸新聞社では、トーキングサークルコウベの実務担当であった神戸市企画調整局の大濱係長、山崎主任に、神戸市が「神戸の『今と未来』を聞いた背景」を聞きました。
大濱 北斗(おおはま ほくと)
神戸市企画調整局政策課総合計画担当係長
大の阪神タイガースファン。「昨シーズンはだいぶアツかった」。電車通勤中、国道2号線と並走する塩屋から須磨の海風景が好き。
山﨑 旭洋(やまざき あきひろ)
神戸市企画調整局政策課総合計画担当
消防局から出向中。慣れない仕事が多いけど毎日新鮮です。神戸の未来は僕がつくる!
聞き手 神戸新聞社メディアビジネス局営業部 三宅 秀幸
中長期的な神戸市のまちづくりのため、神戸の魅力を探る
ーなぜ今、この事業に取り組むことになったのでしょうか?
大濱 神戸市企画調整局政策課は、市政の基本的施策の立案及び推進や総合基本計画などに取り組む、本市のまちづくりの中長期的な方向性を担う部署です。
社会経済情勢等の大きく変わる中、令和7年度末(2025年度末)に総合基本計画が終期を迎えるため、これから新たに進化する神戸の将来像を、市民をはじめ、企業、NPO、学生のみなさんなど本市と関わりがある様々な方と共に描き、市政への興味や神戸のまちへの愛着を高めていきたいと考えています。
令和5年度は、約30年ぶりに、まちの基本理念となる次期「基本構想」の策定に着手し、多くの方から、ワークショップやWebアンケートを通じて神戸の魅力等にかかる意見を収集しました。
ー意見交換ワークショップについて、「トーキングサークルコウベ」と命名したのはなぜですか?また、何を市民に聞きたかったですか?
山崎 「トーキングサークルコウベ」とは、みんなで輪(サークル)になって、語り合う(トーキング)ことをコンセプトとしたキャッチフレーズです。これから市民とともに未来の神戸について考えていく機運醸成のロゴとして、「吹き出し」をデザインとして活用するとともに、目に止まりやすい黄色をプロジェクトカラーに設定しました。
ワークショップは、神戸市内に在住、在勤、在学される高校生以上の方を対象に、①神戸がまちとして大切にすべき「価値観」や、②未来の神戸の「ありたい姿」をテーマとし、Webアンケートでは見えにくい個々の想いやその背景等を語り合ってもらえるよう企画しました。
神戸の魅力はひと言では言い表せない
ートーキングサークルコウベを各区で実施してみていかがでしたか?
大濱
の特徴的な施設に加え、神戸の外におられる方からの意見も収集するため、東京都でもトーキングサークルコウベを実施しました。
各会場で共通して出てくる意見(例:神戸の魅力は「海と山の豊かな自然」、「コンパクトで何でもあり住みやすい」など)がある一方で、須磨区では須磨海岸、西区は田園風景、灘区は坂道など、地域ごとで回答内容の差もあり、あらためて、『神戸の魅力は多様で、ひと言では言い表せない』と感じました。
では、「神戸に住み続けられる仕事・職場環境の整備が必要」「街なかの看板等で国際化を進めるべき」など、東京のまちと比較したうえでの神戸の課題についてご意見いただきました。
2万5千件以上の意見がアンケートで集まった
ーWEBアンケートについて、なぜこの設計にしたのか、探りたかった市民の意見とはなんですか?
山崎 次期「総合基本計画」策定では、市民参画が最も重要なプロセスであると考えており、できるだけ多くの方が気軽に参加できるようWebアンケートを2回に分けて実施しました。
まず、第1弾アンケート(7/11~9/30)では、選択式を中心とし、主に「神戸のまちや人の魅力」「未来の神戸への思い」の意見を収集しました。
続く第2弾アンケート(10/20~12/19)では、第1弾アンケートの結果を分析し、特に回答が多かった項目をみなさんにフィードバックするとともに、回答者自身にまつわるエピソードなど具体的な内容を収集しました。
ー2万5千件以上の意見が第1弾と第2弾で集まりました。何が見えてきましたか?
大濱 第1弾では16,433名、第2弾では8,553名の合計25,000名以上の方にアンケートにご協力いただきました。
特筆すべき傾向として、選択式がメインの第1弾アンケートで、回答者の約85%の方より『神戸市民は神戸に誇りをもっている』との回答があり、多くのみなさんが神戸に愛着をもっていただいているということが分かりました。
そのほかにも、“神戸の魅力スポット”や“未来の神戸に求めるもの”など、多くの意見をいただきましたが、第2弾アンケートでその回答を掘り下げてみると、例えば同じスポットに関する内容であっても、その理由やエピソードは回答者それぞれで異なり、興味深い意見が沢山ありました。
いただいた意見は、テキストマイニング等も活用した集約・分析を行い、他都市にはない神戸ならではの「基本構想」の策定や、まちの魅力の発信に繋げていきます。
なお、
来年度も市民参画型のイベント開催
ー今後の展開について教えてください。
山崎 令和6年度は、令和5年度にみなさんから収集した意見を基に、“まちの基本理念”である次期「基本構想」の策定を進めていきます。
また、あわせて、この理念を踏まえた“まちの将来像”となる次期「基本計画」の策定に向け、引き続きみなさんから意見を収集し、人口減少への対応や神戸空港の国際化等の未来を見据えた持続可能なまちの将来ビジョンを検討していきます。
来年度も多くの市民参画の企画やイベントを開催していきますので、みなさんには、この機を逃すことなくご参加いただければと思います。
「神戸のこれから」を考える神戸市次期「総合基本計画」策定プロジェクトに取り組んだお二人
これまでの本事業のプレスリリース