【前編】JCBがEMVCoに参画して20周年!世界中で安心してカード決済できる舞台裏に迫る

2025.06.17 15:00
株式会社ジェーシービー(以下:JCB)は2004年に「グローバルでの互換性」と「セキュリティが高い安全なカード決済」を実現・維持していくための標準化団体「EMVCo」に参画し、2024年に20周年を迎えました 。世界中で安全・安心に決済ができることに、JCBやVisa、Mastercardなど、現在6社の国際カードブランドで運営されてます。
 EMVCoの概要、その取り組みによる消費者への影響ついて、参画当時からEMVCoに携わっているブランドインフラ本部の渡辺さん、田中さん、満岡さんに話を伺いました。
EMVCoとは世界中で安全かつ互換性のある決済インフラを実現するために誕生
――EMVCoとはどのような団体なのでしょうか。
田中:EMVCoとは、1999年に設立されたクレジットカード業界における標準化団体です。当時、Europay International(ユーロペイ)、Mastercard(マスターカード)、Visa (ビザ)の3社によって設立されたため、それぞれの頭文字をとって「EMV」と名付けられました。 2002年にはEuropayとMastercardが合併した後、JCBは2004年12月に参画しました。その後に、American Express、銀聯、Discoverが加わり、現在は6社で運営しています。
主な活動は、決済プロダクト(ICカードや決済用端末など)の設計図となる仕様書の策定や、実際に世の中で使われる決済プロダクトが設計図通りに開発されているかをテストする認定制度の運営です。EMVCoの活動により、決済システムの開発や改善に携わる企業や組織が、共通の設計図で製品・サービスを生み出せる環境が整っています。
――EMVCoが設立された背景について教えてください。
渡辺:1990年代のカードはICチップがなく、磁気ストライプに書き込まれたカード情報を店舗で読み取ることで決済が行われていました。ところが、磁気ストライプが不正にコピーされ悪用されてしまう問題が世界中で急速に広がり始めてしまいました。
その問題に対応するため、より情報量が多くてセキュリティの高いICチップを搭載したカード(ICカード)への移行が世界的に進められました。移行にあたり各国際ブランドが全く別々の仕様でICカードを発行してしまうと、店舗には国際ブランドの数だけ決済端末を置かなくてはならないかもしれません 。


各ブランドが共通の端末仕様書をベースにICカードを発行すれば、店舗は1つの端末を置くだけで各ブランドの決済ができます。そのような背景のもと、業界標準化を目指すEMVCoが誕生しました。
世界中でカードが使える基盤はEMVCoが作っている
――EMVCoの活動により、カード決済をしているお客様にどのような影響があるのでしょうか。
渡辺:EMVCoの活動による影響として「相互互換性(Interoperability)」があげられます。例えば、日本円を持ってアメリカに行っても、そのままでは使えずドルに両替する必要がありますよね。これは、通貨という決済手段が国ごとに異なるためです。


しかし、カードに関してはEMVCoの仕様書によって世界共通の仕組みで作られているため、日本で発行されたカードを世界中どこでも使うことができます。

田中:どこでもカードが使えるようEMVCoは仕様書を作り、テストもしっかり実施していますが、実際に世の中に出てみると「フランスのこのカードだけが、日本のこの端末で使えない」というような予期せぬ問題が発生することもあります。

私は互換性ワーキンググループ※の議長を務めていましたが、相互互換性を確保するために、あらゆる課題と向き合ってきました。なぜその問題が起きたのかを徹底的に分析し、仕様書自体の改善やテスト項目の追加をしたりすることで、同じ問題が再び起きないようにする「予防」の取り組みも実施しています。


※ワーキングループとは
EMVCoは複数のワーキンググループ単位で活動を行っています。各国際ブランドから最低1名ずつは所属しており、その中の1名が議長となり、全メンバーをとりまとめながら業務を遂行しています。
決済手段の進化に伴ってEMVCoのセキュリティも高度化していく
――互換性に加えて、安全・安心に決済できるセキュリティ面での貢献もあると伺いました。
渡辺:ICカードに格納されている情報は、カード番号や暗証番号など、外に漏れてはいけない情報です。これらの情報を適切に保護するため、どのような暗号技術を使うべきか、その強度はどの程度必要かといった点などもEMVCoで綿密に検討しています。

例えば、モバイル決済では「トークン」という技術を使用しています。これは、たとえ同一のクレジットカードであっても、実際のクレジットカードとスマートフォンに入っているクレジットカードで異なる番号を使用することで、セキュリティを確保する技術です。トークンを活用すれば、万が一スマートフォンを紛失したとしても、元のカードは安全なため再発行の必要がありません。
田中:進化し続ける決済技術に合わせて、常にセキュリティの高度化を進めなくてはいけません。時代に合わせたセキュリティ基準を策定するためにEMVCoでは世界中から集まった専門家たちが、常に最新の脅威に対応しています。
――近年、オンラインショッピングでカード決済する人も増えていますが、そのセキュリティ対策はどうなっているのでしょうか。
渡辺:オンラインショッピングでの不正利用対策も重要な課題として取り組んでいます。具体的には、カード決済時にワンタイムパスワードなどで本人認証をする仕組みである3-Dセキュアも、EMVCoで技術仕様を策定しています。

田中:お客様の買い物体験を考えると、ワンタイムパスワード等をそもそも入力する手間がなく、それでも安全に購入できる仕組みが理想ですよね。実はオンラインショッピングでワンタイムパスワードなどの入力が必要になるのは、取引のリスクが高いと判断された場合のみにする、といった工夫もしています。お客様の利便性を損なわないよう配慮しながら、必要なセキュリティを確保することを心がけています。
お客様が意識しないことがEMVCoの価値
渡辺:このような活動を通じて、EMVCoはお客様が安全・安心に決済サービスを利用できる環境を支えています。標準化やセキュリティ対策は、お客様から見えない活動かもしれませんが、現代社会において必要不可欠な決済を支える大切な取り組みです。

決済手段の多様化や技術革新が進む中、これからも世界中のお客様が、安心して便利に決済サービスを使えるよう、技術革新と標準化の両面から取り組みを続けていきます。

満岡:お客様が意識せずに決済サービスを利用できることこそが、EMVCoの価値だと考えています。カードを使うときに「これはEMVCoの仕様に準拠している」といったことは意識せずとも、当たり前のように使えることが重要なので、引き続き無意識のうちでも安心して決済できる環境を整えていきます。
■後編へ続く・・・
後編では、後編では、EMVCoとJCBの参画から今に至るまでのエピソードを語る! 
続きは以下のリンクからチェック !
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