健康への影響が心配される有機フッ素化合物「PFAS」とは

2025.01.12 15:00
2025.01.12 up提供:FM FUJI
渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。1月9日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、有機フッ素化合物「PFAS」について解説しました。

松田:今日は昨年、全国の新聞やテレビで報道された「PFAS」(有機フッ素化合物=ピーファス)が山梨県内でも相次いで検出されているというお話です。山梨新報の12月20日付で報じた記事の解説です。井戸水や水道水への影響が懸念される問題なので、昨年は、全国では頻繁に報道された一方、山梨県内の報道は地味な印象で、「初めて聞く」というリスナーも多いと思います。また、専門的なテーマで1回ではなかなか伝わらないので、今月と来月の2回に分けてお伝えします。今日は「PFASの全体像」、来月は「県内の検出状況と課題」を解説します。

麻耶:それでは、「PFASとは何か」から伺えますか。

松田:発がん性など健康への影響が疑われ、約1万種ある「有機フッ素化合物」(化学物質)の総称です。自然環境への残留性が高く、PFASの中でも「PFOS」(ピ―フォス)とPFOA(ピーフォア)という2つの物質は、影響の大きさから、国際条約で廃絶が決まっており、日本では2010年にPFOSが、4年前の2021年にPFOAの製造・輸入などが原則禁止となりました。さらに、国の「暫定目標値」があり、これは「できるだけそれ以下が望ましい」という、遵守義務のない目標値ですが2020年に決められ、「水1リットル当たりPFOSとPFOAの合計で50ナノグラム以下」となっています。ナノは10億分の1という単位。ところがこの3~4年で、米軍基地や自衛隊基地の周辺の地下水などから、1000ナノ、2000ナノ、中には万単位という高濃度の汚染が判明し、住民の血液検査まで行う自治体が出てくるなど、大きなニュースになりました。

麻耶:なるほど。すでにPFOS、PFOAの2物質は製造・輸入が禁止になっているので少し安心しましたが、今も井戸水や水道水から検出されているのはなぜなのでしょうか。

松田:過去に製造されたPFOS,PFOAがどこに使われ、どこに残留しているのかを知っておく必要があります。PFOSは米軍、自衛隊基地内の消防訓練用の泡消火剤をはじめ、半導体製造や金属加工の工程で使われていました。一方、PFOAは水や油をはじくため、フッ素コーティングされたフライパンや食品包装、防水加工の衣料や防水スプレーなどで利用されていました。製造・輸入が禁止はされていますが、当時の製品を今も使っているところが、どこかにあるかもしれないし、使用後に廃棄物処分されても処分場に残っていて、そこに雨が降れば周辺の地下水へ浸透し、もし、それが上水道の水源であれば上水道へも汚染は連鎖していくわけです。取材に応じた県の担当者は「人が入っていけるところであれば、どこでPFOS、PFOAが検出されてもおかしくない」と答えました。山奥の水源に産業廃棄物が仮に不法投棄されていれば、それが汚染源になりえます。岡山県の吉備中央町では、ダムの上流の水源に、PFASを吸着した活性炭が放置され、雨水を通じPFASが水源に漏出したといわれています。

麻耶:飲料水への混入は大変な問題ですね。健康への影響について詳しく教えて下さい。

松田:環境省によると、主な健康影響は、コレステロール値の上昇、発がん性、免疫系との関連が報告されているが、どの程度の量が体内に入ると影響が出てくるのか十分な知見はないそうです。一方、PFOS、PFOAの摂取が原因とみられる個人の健康被害は起きていません。水道水では暫定目標値の1㍑当たり50ナノ㌘の水を毎日2㍑、一生飲み続けても「健康影響が生じないレベル」といいます。

麻耶:日本の暫定目標値の1リットル当たり50ナノグラムは、国際的にはどのぐらいのレベルなのでしょうか。また、今後、国の規制は強化されていくのでしょうか。

松田:諸外国を調べると、米国は世界で一番厳しく、昨年2024年4月から、PFOS、PFOAのそれぞれで1リットル中の濃度を4ナノグラムにしました。また、ドイツは3年後の2028年から、PFOS、PFOAほか2物質――合計4物質の合計で20ナノグラムに規制強化します。一方、日本は、私の報道の翌週に環境省が、遵守義務のない現行の暫定目標値を、遵守義務がある水道法上の「水質基準」に格上げすることを発表し、2026年4月から施行されます。水質基準になると、自治体や水道事業者などに定期検査と、基準値を超えた場合の改善が義務付けられます。日本もPFOS、PFOAの規制強化に乗り出したわけで、飲料用の水の安全を守ることは歓迎すべきことです。来月は山梨県内のPFASの検出状況と課題をお送りします。
Bumpy放送局:FM FUJI放送日時:毎週月曜~木曜 13時00分~18時50分出演者:鈴木ダイ(月)、上野智子(火)、石井てる美(水)、渡辺麻耶(木)
Xハッシュタグは「#ダイピー」(月)、「#ばんぴーのとも」(火)、「#てるぴー」(水)、「#ばんまや」(木)
出演番組をラジコで聴く
渡辺 麻耶
※放送情報は変更となる場合があります。

あわせて読みたい

「ベビーカレンダーアワード」&「ママリ口コミ大賞」 ウォーターサーバー部門で「every frecious」が2年連続受賞!
PR TIMES
マイクロプラ、埋め立て地と下水処理場をエンドレスループ
ギズモード
【Minimal】満足感と軽やかさ、矛盾するふたつの魅力が両立した「チョコレートバウムクーヘン」
PR TIMES Topics
【ゴアテックス仕様の黒ダウンが最強】ダウンになったアークテリクスの名作シェルに注目。大人がこの冬着るべき4選
UOMO
始まりはパタゴニア創業者との出会い:フリースの元祖ポーラーテックの技術力とは
Fashion Tech News
【ホテル日航立川 東京】鮮やかな3層仕立ての「ひなまつりケーキ」を販売
PR TIMES Topics
「虫歯予防のフッ素」と「水道水混入PFAS」の決定的な違い【歯科医が解説】
ダイヤモンド・オンライン
【PFASの健康リスクは小さい】誤解続く環境汚染と健康リスクの違い―最新の科学と報道の乖離
Wedge[国内+ライフ]
消化酵素「カタヂアスターゼ」に込められた「生活者に寄り添う」思い
antenna
EU、消費生活用製品のPFAS禁止へ 一部の工業用途を除き規制
ELEMINIST
コロニルを代表する防水スプレー、ウォーターストップがフッ素(PFC、PFAS)フリーへ生まれ変わります。
PR TIMES
未利用魚を使用したスパイスカレー缶シリーズ第二弾発売
PR TIMES Topics
永遠にのこる化学物質「PFAS」は光でぶっ壊せ
ギズモード
「白ナンバー」でもタクシー 山梨県内で「ライドシェア」がスタート
radiko news
【ティンバーランド】伝統と革新両方のアイデンティティを有した新ブーツコレクション誕生
PR TIMES Topics
日本の水道水に広がる“PFAS汚染”「NHKスペシャル」が研究の最前線に迫る!!
TVガイド
好評を博した前書刊行から約6年。PFOS・PFOA問題を背景に、近年注目の有機フッ素化合物の各種合成法や応用展開、規制動向などを解説した一冊が2025年1月に登場!
PR TIMES
韓国グルメが勢揃いする「韓国屋台 マシッタマシッソ」オープン
PR TIMES Topics
創業1929年、撥水加工のパイオニア、(株)パールトーンは、SDGsな撥水加工サービス『Hassui Plus』を提案。ECショップ向けに、ワンクリックで非フッ素の撥水加工オプションサービスを開始。
PR TIMES
「琴名水(地下水)でつくるお菓子がますます安心」あさひ製菓株式会社、PFAS不検出を確認
PR TIMES