この冬、誰も路上で凍えさせないために、つくろい東京ファンドがチャレンジするのは「見えない3つの壁(情報・烙印・国境)」を乗り越えること。生活保護申請支援システム「フミダン」・デジタルアウトリーチ・緊急宿泊支援・家賃支援の強化などを行います。皆さまのご協力をお願いいたします!「住まいは基本的人権」〜ホームレス状態の多様化に対応する
はじめまして。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛です。
つくろい東京ファンドが「住まいは基本的人権である」との理念に基づき、ハウジングファースト型の住宅支援を始めてから10年が経ちました。
2014年の設立時に7室からスタートした個室シェルター事業は、10年経った現在、都内58室まで拡大しています。
設立当初、私たちのもとに相談に来られる方の大半は路上生活歴が長い中高年の単身男性でしたが、2020年にコロナ禍が始まって以降は、10代~20代の若者、女性、外国籍の困窮者など、安定した住まいを失い、ホームレス状態へと陥る人々が多様化してきました。
この「ホームレス状態の多様化」という問題に対応するため、私たちは「今夜、行き場がない人」に即応できる緊急宿泊支援(「せかいビバーク」や「東京アンブレラ基金」)や、難民・仮放免者へのシェルター提供・家賃支援(「りんじんハウス」プロジェクト)など、さまざまな支援プログラムを開発し、運用してきました。
「せかいビバーク」対応実績
2021年10月の開始から、住まいを失った632名の利用がありました。
また、受け取りスポットは8ヶ所から63ヶ所へと増加。
2024年1月から11月末までの1年間では、246名の利用があり、伴走支援などの対応件数は、のべ873件にのぼります。
利用された方を年代別に見ていくと、20代から50代と幅広い年齢層にニーズがあることがわかります。
「東京アンブレラ基金」支援実績
2023年11月〜2024年11月までの1年間で、8団体が利用。合わせて約162万円、270泊分の宿泊費の支援を行いました。
「りんじんハウス」プロジェクト支援実績
「りんじんハウス」(4世帯)を含め16世帯21人(15か国)にシェルター提供。ホームレス化を防ぐ家賃支援は延べ80世帯(24の国と民族)。総額1300万円以上。「今夜、行き場がない人」すべての人に支援を届けたい
住まいを失い、東京の街をさまようすべての人たちに支援の手を届けたい。世代やジェンダー、国籍や在留資格で線引きするのではなく、「今夜、行き場がない」すべての人に分け隔てなく、宿泊や住まいを届けたい。そんな思いで、私たちは支援活動を続けてきました。
特に年末年始から寒さが最も厳しくなる1~2月は、孤立と困窮が深まる季節になります。住まいを失った人々の命と健康が脅かされる冬、私たちは他の支援団体とも連携をして、「誰も路上で凍えさせない」ための支援活動を進めていきます。
3つの「見えない壁」
行き場を失った全ての人に、分け隔てのない支援を届けるにあたって、私たちの前には3つの「見えない壁」が立ちはだかっています。
1つ目の壁は、「見えない情報の壁」です。
近年、生活に困窮した際、SNSや検索サイトで支援情報を調べる人が増えています。特に若年層ではその傾向が顕著になっています。
私たち困窮者支援に取り組む民間団体や公的機関も、生活困窮者に向けた情報発信に力を入れていますが、ネット上には資金力のある貧困ビジネス業者や「闇バイト」などの犯罪者グループが素性を隠して発信する情報があふれているため、私たちの発信する情報が埋没してしまう状況が生まれています。
2つ目の壁は、「見えない烙印の壁」です。
住まいを失った状態から生活を再建する際、最も活用できる公的な制度は「最後のセーフティネット」である生活保護です。
しかし、生活保護の利用にあたっては「恥ずかしい」「後ろめたい」というスティグマ(負の烙印)がつきまとっているため、申請をためらう人が少なくありません。
また、群馬県桐生市で問題になったように、福祉事務所の窓口において「水際作戦」(相談者の追い返し)が根絶されていないことも制度の利用が進まない要因になっています。
3つ目の壁は、「見えない国境の壁」です。
生活保護をはじめとする公的な支援制度の多くは、国籍や在留資格の有無・種類によって対象者を制限しており、全ての人に開かれたものになっていません。これは、生活に困窮した人々を支える制度の中に「見えない国境の壁」がある状況だと言えます。
特に入国まもない難民や仮放免者は、活用できる公的支援策が皆無に等しく、就労も認められていないため、ホームレス化しやすい傾向にあります。そのため、難民認定申請者が増加している2022年秋以降、アフリカなどから来た難民の妊婦やお子さん連れまでもが路上生活に陥ってしまうという事態が生じています。3つの「見えない壁」を越えるチャレンジへ
この冬、私たちは行き場のない全ての人に支援を届けるため、「情報」「烙印」「国境」という3つの見えない壁を越えるチャレンジに取り組みます。
「見えない情報の壁」を越えるため、特に若年層に支援情報を届けるデジタルアウトリーチを強化していきます。また、仕事がなくなる年末年始など生活困窮のリスクが高まる時期に合わせて、「せかいビバーク」(NPO法人トイミッケとの協働事業)など緊急支援の情報発信を強化します。
「見えない烙印の壁」を越えるため、「生活保護は権利」との広報を強化し、スティグマの払拭に努めます。ネット上で生活保護制度に関する正確な知識を伝えるとともに、オンラインFAXを活用した生活保護申請支援システム「フミダン」のバージョンアップを図ります。
「見えない国境の壁」を越えるため、国籍や在留資格で線引きしない宿泊支援、住宅支援を強化します。国籍や在留資格を問わず、ホテルでの宿泊を可能にする「東京アンブレラ基金」を強化するとともに、公的な制度を利用できない外国人のための家賃支援をさらに進めます。また、他の支援団体と連携し、難民認定申請者の住まいと暮らしを支える公的支援策の拡充を国に求めていきます。スケジュール
2024年〜2025年の年末年始にかけては、連携団体と協力し、「東京アンブレラ基金」を活用した緊急宿泊支援を中心とした緊急支援や伴走支援などをおこないます。
また、デジタルアウトリーチの強化・日本国籍を持たない困窮者を対象とした家賃支援については、すでに活動として取り組んでおり、いただいたご支援は順次これらの活動に充てさせていただきます。
「フミダン」のバージョンアップは2025年中のリリースを予定しております。
2025年2月28日:クラウドファンディング終了
2025年11月頃:団体活動報告会開催(予定)
2025年12月頃:支援活動報告書のご送付(予定)資金の使い道
年末年始における緊急宿泊支援:約75万円
デジタルアウトリーチの強化:約50万円
生活保護申請支援システム「フミダン」のバージョンアップ:約50万円
日本国籍を持たない困窮者を対象とした家賃支援:約75万円
一つずつ、壁を乗り越える〜「この冬、誰も路上で凍えさせない」
2024年は私たちを分断させる様々な「見えない壁」の存在を意識した年でした。
私たちの前に立ちはだかる壁を一気に取り払うことはできないかもしれません。しかし、「この冬、誰も路上で凍えさせない」という一点で力を合わせる人が増えれば、一つ一つの壁を越えて、行き場を失った一人ひとりに支援の手を届けることは可能だと私は信じています。
壁を越えて、孤立している人に支援の手を届けることから、壊れかけようとしている私たちの社会を修復する営みが始まるのでしょうか。
この冬、誰も路上で凍えさせないため、「見えない壁」を越える試みにぜひお力を貸してください。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。