フォントワークス株式会社
フォントワークス株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長 清水 久裕 以下、フォントワークス)は、株式会社クレディセゾンのコーポレートフォント「SAISON Sans」を含めた2書体を開発しました。
1983年から「セゾンカード」で知られている株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)は、2030年に向けた目指す姿として「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY ~金融をコアとしたグローバルな総合生活サービスグループ~」を掲げ、私たちの生活に広くアプローチする事業を展開しています。
クレディセゾンでは、日本のグラフィックデザインを牽引してきた田中一光氏によって制作されたロゴタイプが、今日までブランドの象徴として受け継がれています。グローバルな事業展開が急速に進むなか、クレディセゾンのブランドイメージに一貫性を持たせるために、この歴史あるロゴタイプを踏襲した欧文書体の開発プロジェクトが発足。
クレディセゾンとフォントワークス書体デザインディレクター ヨアヒム・ミュラー・ランセイらが率いるチームによって制作した「SAISON Sans(セゾン サンズ)」および「SAISON Sans Advance(セゾン サンズ アドバンス)」2つのコーポレートフォントが完成しました。
1. SAISON Sans:歴史あるクレディセゾンのロゴタイプを継承する書体
Saison Sans
SAISON Sansは、セゾンカードのロゴでもなじみがある、既存のロゴタイプを踏襲したジオメトリック(幾何学的な)サンセリフ体です。フォントワークスの書体デザインディレクターのヨアヒムはこのロゴタイプを「幾何学的かつ型破りなデザインだからこそ、目を引き、愛されてきたのではないか」と語ります。これをヨアヒムはクレディセゾンらしさと捉え、書体へと落とし込んでいきました。
ヨアヒムははじめに、既存のロゴタイプの詳細な分析を行い、全文字のプロポーションの見直しを開始。Mなどの尖ったオーバーシュート※をわずかに面取りする、視覚的な錯覚を考慮に入れた微調整を実施する、アウトラインをなめらかにするなどデザインを施しました。
これにより、クレディセゾンらしさが溢れるコーポレートフォントが完成。社内外への発信に向けたさまざなシーンで利用が可能となりました。
※オーバーシュート:書体が一貫した視覚的高さを保つために、一部が基準線や中心ラインをわずかにはみ出す現象のこと
オーバーシュートを面取りすることで、文字のシェイプを太くした場合でも美しいプロポーションを保ちます
2.SAISON Sans Advance:クレディセゾンの文化を未来へつなぐ。伝統と先進性を備えた書体
Saison Sans Advance
SAISON Sansよりさらに可読性を追及し完成した書体が、SAISON Sans Advanceです。均一なストロークで構成されるSAISON Sansのアドバンス版として、コントラストの要素を加えました。線画の太さにわずかな変化を加えることで、カリグラフィの要素を取り入れつつ自然な抑揚を表現します。
これにより文章にエレガントで洗練された印象を与え、欧文の長文を組版する際には、読みやすさを一層引き立たせます。
幾何学的な書体と、コントラストのあるクラシックな書体の中間を探り、SAISON Sans Advanceの形状が決定しました
田中一光氏のデザインアイデンティティが引き継がれるオルタネート(異体字)
(左)SAISON Sans (右)SAISON Sans Advance
SAISON Sans/Advanceの両方において、クレディセゾンのロゴタイプで象徴的な存在となっている二重丸の「O(オー)」のオルタネート(異体字)も用意されています。田中一光氏のデザインアイデンティティは、この書体にもしっかりと継承されました。
今後SAISON Sans/Advanceは、クレディセゾンの社内外でのコミュニケーションにおいて、一貫性のあるブランドイメージを構築するため、公式資料やホームページ、IRサイトなど、デジタルメディア全体にわたって使用される予定です。
日本タイポグラフィ年鑑2025 タイプデザイン部門 入選
日本タイポグラフィ年鑑とは、NPO法人 日本タイポグラフィ協会が主催している海外からも高い評価を受けているアワードです。この度「日本タイポグラフィ年鑑2025」において、SAISON Sans/Advanceが国内外の2045点の応募の中からタイプデザイン部門に入選しました。
SAISON Sans/Advanceの魅力を特設サイトで公開中
SAISON Sans/Advanceの魅力をより知ることができるSAISON Sans 特設サイトが公開中です。書体デザインを手掛けたヨアヒム・ミュラー・ランセイによる書体解説と、株式会社クレディセゾン ブランディング戦略部による今回のプロジェクトへの想いを掲載しています。
またフォントワークス×Monotype 公式noteでは、ブランディング戦略部にSAISON Sans誕生の背景について詳しくお伺いしたインタビューを掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。
SAISON Sans 特設サイト:
フォントワークス × Monotype 公式note:
株式会社クレディセゾン ブランディング戦略部 課長/リードデザイナー 山本尚毅氏コメント
当社は、商品を売るのではなく、ライフスタイルを提案するという姿勢を根底に持っておりますが、そのために必要なのは皆さまとの対話です。文字はコミュニケーションを支える重要な要素であり、書体の印象は意識しなくとも受け手に確実に伝わります。誠実な文字、楽しそうな文字、遊び心のある文字、そういった意味でSAISON Sansはクレディセゾンらしい文字となりました。
現在はまだ、クレディセゾンのアイデンティティを時代に合わせ整理した段階に過ぎません。グループ全体やグローバルも含めて一体になり、コーポレートフォントを通じて、当社の取り組みやブランドの変化が一貫して視覚的に伝わり、社内にも、生活者の皆さまにも、これまで以上に深いコミュニケーションが広がっていくことをこれからも目指していきます。
フォントワークス株式会社 書体デザインディレクター ヨアヒム・ミュラー・ランセイ コメント
SAISON Sansの制作にあたり、常に私の頭の片隅には、クレディセゾンのロゴタイプをデザインした有名なデザイナー、田中一光氏がいました。ある意味、私が仕事をしているときに彼が私の肩越しに見守ってくれていたのかもしれません。
田中氏のロゴの形は、幾何学的かつ型破りなデザインだからこそ、目を引き、愛されてきたのではないかと思います。しかし、この歴史あるロゴタイプを書体にするとなると、書体のニーズに合わせて文字の形状を調整し、読みやすさを際立たせる必要がありました。
この書体が多くの人に魅力が伝わり、幅広いシーンで利用されることを願っています。
プロフィール
ドイツ出身。スイスのバーゼル・スクール・オブ・デザインでグラフィックデザインを学び、日本を含む各国のタイポグラフィコンペティションで優勝するなど高い評価を受ける。
2018年にはソウルのフォントメーカーYOON Designの欧文のデザインディレクターとして活躍。
2020年から、フォントワークス社に加わり、現職の欧文書体の書体ディレクターに就任。
【会社概要】
会社名:フォントワークス株式会社
所在地:東京都港区北青山3丁目2‐4 日新青山ビル5F
代表者:代表取締役社長 清水 久裕
URL:
フォントワークス、フォントワークス株式会社、Optimaは日本で登録されているMonotype Imaging Inc.の商標であり、その他の国や地域でも登録されている場合があります。
Avant Gardeは、米国特許商標局に登録されているMonotype ITC Inc.の商標であり、その他の国や地域でも登録されている場合があります。
その他、記載されている商標は、各社の登録商標または商標です。