大協建設株式会社
大協建設(株)(本社:栃木県足利市)は、建設・維持管理・運営等まで行う「わたらせリバープラザ」施設内にて、(株)Polyuse(本社:東京都港区)が研究開発する建設用3Dプリンタを取り入れた施工を行いました。
東の小京都・栃木県足利市の新しい観光拠点「わたらせリバープラザ」
足利氏発祥の地として知られる栃木県足利市は、日本最古の学校・史跡足利学校や国宝・鑁阿寺周辺の風情のある古い町並みから”東の小京都”と称されています。
「わたらせリバープラザ」は、渡良瀬川の流域で生活する足利市民を結びつける拠点としての役割や、様々な人と人とがつながり合って新しいものを発信していく、足利の魅力あふれる観光拠点としての役割を担う施設です。
2024年12月1日にグランドオープン予定の施設内には、e-スポーツ、キッズスペース、飲食店等のサービスがあり、大人から子供まで多くの人が集える場所となっています。
わたらせ産直市場
<施設概要>
施設名 :わたらせリバープラザ
場所 :栃木県足利市栄町2丁目外(MAP:
)
敷地面積:2,940.45m2
駐車場 :合計92台
駐輪場 :合計32台
わたらせリバープラザURL:
河川をオープンに活用して地域の活性化をめざす
足利市で、渡良瀬川河川敷の憩いや潤い、さらには賑わいの創出を目的とし、飲食店等を中心とした「本町緑地公園施設整備事業」の公募が行われました。この公募は公共事業を実施するための手法の1つである、公募設置管理制度(Park-PFI)によるもので、従来の官主導の施設整備ではなく民間事業者の資金やノウハウを有効に活用した施設整備および管理運営を行います。
渡良瀬川はグラウンドや多目的広場等多くの方に利用されています。しかし、市民や観光客、サイクリストの方々がゆとりをもって滞在できる施設が不足している状況です。このような背景のもと、河川利用者の利便性向上を目指し、「本町緑地」の一部において、水辺を利活用することによる地域活性化を推進するための国の支援制度である「かわまちづくり支援事業制度」※1を用いることで、河川のオープン化が可能になりました。
※1「かわまちづくり支援事業制度」とは
観光などの活性化に繋がる景観・歴史・文化等の河川が有する地域の魅力という「資源」や地域の創意としての「知恵」を活かし、地方公共団体や地元住民との連携の下で立案された、実現性の高い河川や水辺の整備・利活用計画による、良好なまちと水辺が融合した空間形成の円滑な推進を図ります。
なお、国土交通省「かわまちづくり支援事業制度」での建設用3Dプリンタ活用は全国初事例になります。
最新技術・建設用3Dプリンタの活用により建設業界の進化を
わたらせリバープラザの建設にあたり、施設を象徴するモニュメントの作製方法について問題が発生しました。屋外に設置するモニュメントというと、ステンレス鋼やアルミ複合板による施工が一般的ですが、従来通りの工法ではデザインが限られてしまうのに加え、コストが高くなってしまうことが考えられたからです。
そこで、全国的にも普及が進んでいる株式会社Polyuse製の建設用3Dプリンタの活用を検討することにしました。人の手では難しい複雑な構造物も作成可能であり、材料面で考慮してもコンクリート同等以上の強度や耐久性を持ち、優れています。コスト面でも従来工法に比べて7割ほどに削減することができました。
また、深刻な人手不足が続く建設業界の課題を解決する為にも、DX化の推進は重要であり、今後建設用3Dプリンタ技術を栃木県や北関東全域の建設工事にて有効的に活用を行いたいとの思いから栃木県初の建設用プリンタ施工に取り掛かりました。
『足利』モニュメント
全国の観光地に多く存在する地名のモニュメントをここ足利市にもつくり、フォトスポットにしたいとの思いから、「足利」の2文字をモニュメントにすることを決めました。
建設用3Dプリンタであればフォントも自由自在で、人の手で作るのはほとんど不可能な細かな曲線も再現できます。
現場での作業は、建設用3Dプリンタで作製した土台の枠に生コンクリートを打設して、アンカーで文字を固定するのみで、工期の短縮にもなりました。
ペット足洗い場
この他、施設利用者の為のBBQ・足洗い場、ペット用の足洗い場も建設用3Dプリンタで施工を行いました。
建設用3Dプリンタによるコンクリート構造物は、まだ数多くありません。現地で実物を見て、触れて、体験してみてはいかがでしょうか。
~ 関係者コメント ~
足利市長 早川尚秀本町緑地公園施設整備事業は栃木県内で初めて国の公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した、官民一体となって進めるプロジェクトです。
事業の中でわたらせリバープラザは、民間のノウハウを最大限に活用いただくことを期待した施設であり、今回、建設用3Dプリンタという新しい技術が取り入れられたことは、まさにこの事業の趣旨が最大限に活用されたと感じています。
今後も、民間の知識や経験、アイデアを活かして、足利市をより魅力的な都市にできるよう尽力していきます。
大協建設株式会社 代表取締役社長 高橋孝明今後の建設業界では、人手不足がより一層深刻化することが予想されており、このような中でもこれまでと同様に安全・品質を確保していくには業務プロセスを見直していく必要があります。今回の建設用3Dプリンタ施工のようにデジタル技術の活用をすれば、業務プロセスを自動化・省人化することができ、属人的なスキルに依存しない体制を構築していくことで、建設業界が長年悩まされてきた人手不足という問題を解決する大きな一歩を踏み出すことになるのです。
「わたらせリバープラザ」は栃木県で初めて建設用3Dプリンタ施工を行った工事であり、栃木県で初めて国の公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した施設でもありました。変わり続ける時代とともに多様化していく課題と向き合い、解決して、建設業界全体が成長していくために、どんどん新しい制度・技術を取り入れていく企業でありたいと思っています。
株式会社Polyuse 代表取締役 大岡航大協建設の皆様と準備を進めてきました「わたらせリバープラザ」建設で建設用3Dプリンタメーカーとして技術参画させていただきました。また、栃木県初の取り組みとして光栄な機会であり、多くの方のご協力とサポートがあったからこその発表になります。
実現に至る背景に、足利市や大協建設の皆様の柔軟な発想や新技術に対する積極的な姿勢のおかげで実現することが出来ました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
今後「わたらせリバープラザ」が地域の皆様を中心に足利市や栃木県を盛り上げるシンボルになっていくサポートをしつつ、Polyuseが持つ建設技術を活用した栃木県や足利市での建設DXも引き続き密に連携を進めてまいります。
大協建設株式会社 土木部副部長 新井淳士今回、建設用3Dプリンタによる構造物を施工しましたが、これまで困難・不可能であった模様や複雑な形状のコンクリート構造物を作り出すことのできる建設用3Dプリンタの可能性を大きく感じることができました。
人材不足という問題を抱える建設業界にとって、熟練した技術が無くても、限られた人数で様々なコンクリート構造物を作り出すことのできる建設用3Dプリンタは、これからの建設業界にとって重要な役割を果たしていくと思います。