イーデザイン損保とデンソーが異業種の共創で築く、事故のない世界

2025.02.28 10:33
「事故のない世界」の実現を目指して――。東京海上グループのイーデザイン損保は、自動車部品製造業であるデンソーとタッグを組みました。この度、デンソーが開発した運転データの収集・分析技術「yuriCargo®」を、私たちの自動車保険「&e(アンディー)」に組み込み、スマホアプリで運転をスコア化する新しいサービスをリリースしました。車内に設置するセンサーを介さず、スマホアプリだけで運転データの収集・スコア化が可能となり、皆さまの安全運転を、より使いやすい形でサポートできるようになりました。
「自動車部品製造×自動車保険」という異業種間の協力から生まれる新たな価値。その背景にはどのような挑戦があり、未来への可能性が広がっているのでしょうか。イーデザイン損保社長の桑原が、デンソーの研究開発センター執行幹部の成迫さんと対談形式で共創の背景や開発の裏話、そしてビジョンを語ります。


※「yuriCargo®」は株式会社DENSOの登録商標です。
※所属・役職は取材当時のものです。 (2024年11月取材)
共創の第一歩――地域プロジェクトでの成果
―共創のきっかけを教えてください。
桑原:
イーデザイン損保は「事故のない世界」を目指し、地域の交通安全や街づくりに貢献する「+まち(ぷらまち)」という寄付プログラムを実施しています。「+まち」では、地方自治体から「安全な交通環境づくり」につながる企画を募集していますが、デンソーさんと一緒に取り組みをしていた愛知県刈谷市が応募してくださったことがきっかけでした。


成迫さん:
当時は「+まち」で採択には至りませんでしたが、その後、別途お声がけをいただきました。イーデザイン損保さんの柔軟な姿勢に驚きましたし、「一緒に何かを成し遂げたい」という熱意を強く感じました。
さらに、「事故のない世界を実現する」という想いが両社で一致していたこともあり、共創プロジェクトの話がスムーズに進みましたね。


桑原:
共創の第一歩が、デンソーさんと愛知県刈谷市が取り組んでいた「yuriCargo」を活用した地域交通安全プロジェクトへの協力でした。このプロジェクトでは、スマホアプリ「yuriCargo」を市民の方にインストールしていただき、収集した運転データをもとに、交通事故が起こりやすい地点を見える化しました。その結果、その地点に減速を促すための「事故多発注意」路面表示を追加したり、歩行者保護のためにガードパイプなどを新設したりと、行政をも巻き込んだ具体的な改善策が実現しました。私たちが掲げる想いが形となり、地域社会の変化につながったのは、大変意義深い体験でした。
成迫さん:
「yuriCargo」は、スマートフォンに搭載されたGPSや加速度センサーから、運転中の急ブレーキや急加速といった挙動を検知するアプリです。運転挙動を可視化することで、ドライバーが自身の運転を振り返り、安全運転への意識を自然と高められるようサポートすることを目的としています。
開発にあたっては、当時子どもが生まれたばかりの社員からの提案が原点にありました。我が子の命を守るために、デンソーの社員として、一人の親としてできることはないかと考えたときに、ドライバーの「意識」にフォーカスし改善を促すアプローチがまだまだ社会に浸透していないのでは?という彼の発想が出発点でした。


デンソーとしては、これまでも安全運転支援の様々な技術を開発してきましたが、主に車載されるハードウェアを含む技術によるものでした。しかし、「交通事故削減のために、できるだけ早く、ひとりでも多くの方の運転を可視化すべき」という社内の意見から、スマホアプリという形に行き着きました。運転が可視化されることで、楽しみながら安全運転への意識を高めてもらいたいとう意図で「yuriCargo」を開発しました。
刈谷市プロジェクトでは、「yuriCargo」によって個々のドライバーに寄り添い安全運転を促すだけでなく、地域全体の交通安全施策に活用できたことが、非常に意義深かったと思います。このプロジェクトで得た成果を、他の地域への展開の推進やさらなる技術開発および利活用提案に大いに役立てています。
進化する安全運転支援――センサーからスマホへ
―共創がもたらした具体的な価値とは?
桑原:
「刈谷市yuriCargoプロジェクト」での成果を経て、次のステップとして、「yuriCargo」を私たちの自動車保険「&e」に実装するプロジェクトが始まりました。従来の「&e」の安全運転支援プログラムは車に専用センサーを設置して運転スコアを計測していました。「yuriCargo」を実装することで、専用センサーが不要となり、スマホだけで計測することができます。これにより、より手軽で使いやすいサービスを提供できるようになりました。


成迫さん:
「yuriCargo」では、当社の車載型安全運転支援デバイスでは難しかった「ドライバー個人に紐づく運転スコア」を提供できる点も特徴です。たとえば、レンタカーや複数の車を使用する場合でも、運転データがそのドライバー個人に紐づけられるため、様々な車を運転するドライバーの安全運転をサポートできます。
※&eではご契約のお車の運転スコアを計測します。


桑原:
ドライバー自身の運転習慣を把握できることは、より実用的で価値のある進化ですよね。加えて、こうした取り組みは単に交通事故を減らすだけでは終わらない可能性を秘めています。たとえば、安全運転支援サービスを通じて効率的な運転が普及すれば、結果としてCO2の削減にもつながります。
こうした社会的・環境的な波及効果をデータで可視化し、「安全運転が自分や家族だけでなく、社会や地球環境にも役立っている」と実感いただけるサービスとして進めていきたいですね。
課題を乗り越え、次のステージへ――&eの実装で見えた技術の可能性
―「&e」に「yuriCargo」を導入する際、どんな課題がありましたか?
桑原:
「&e」に「yuriCargo」を導入するにあたり、もともと「yuriCargo」には備わっていなかった「衝撃検知」の機能を新たに実装しました。これは、事故の発生を瞬時に検知し、その後の適切な対応を促すために、わたしたちの保険サービスにとって不可欠な機能です。この課題を解決するために、両社で技術を持ち寄りながら、研究開発を重ねました。
その中で、特に大きな挑戦だったのが「スマホが車内のどこに置かれていても、衝撃を検知する」仕組みを作ることでした。ポケット、カバン、助手席など、ドライバーによってスマホの置き場所はさまざまですよね。どんな場所でも精度を保つために、実際の車を使った衝突実験を何度も繰り返しました。このプロセスには非常に多くの時間と労力がかかりましたが、精度の高い結果を得るためには欠かせない工程でしたね。


成迫さん:
さらに、ドライバーの運転開始・終了を自動で検知する技術の精度向上も大きな挑戦でした。日常の移動手段が車、電車、自転車など多岐にわたる方は多くいらっしゃいます。この様々な移動手段に対応するためには、例えば「自転車走行の速度」と「車で徐行している時の速度」のように速度が似ているものを自動で識別する必要がありました。これを実現するため、データ解析と技術開発を地道に繰り返しましたね。
桑原:
こうした試行錯誤を短期間で実現できたのは、両社が「まずはやってみよう」というアジャイル開発の精神を共有していたからです。そして、デンソーさんの高度な技術力と豊富なノウハウが大きな力となりました。「衝撃検知」の実装や複雑な技術課題の解決も、デンソーさんの協力なくしては不可能だったでしょう。この成果は、まさに両社の共創の賜物だと感じています。


こうして誕生した「&e」に「yuriCargo」を導入した新しいアプリは、従来のセンサーが不要となり、スマートフォンひとつで安全運転支援サービスをご利用いただけるようになりました。この機能は、2025年1月1日以降の保険開始日のご契約のお客さまから提供が開始されています。アプリの利便性をさらに高めることで、より多くの方に安全運転の価値を感じていただけると思っています。


※アジャイル開発とは
短いサイクルで計画、設計、実装、テストを繰り返し、利用者の声や市場のフィードバックを迅速に反映しながら改善を進める開発手法です。この柔軟で効率的なプロセスにより、課題解決のスピードが向上し、成果を最大化することが可能となります。
未来を創る共創――広がる安全運転の輪
―両社の共創が目指す今後について教えてください


桑原:
「データを使って安全をつくる」という取り組みを、私たちイーデザイン損保とデンソーは全力で進めています。ただ、私たち二社だけでは「事故のない世界」は実現しきれません。やはり、実際に車を運転されるお客さまや地域社会の皆さまとともに協力し、共創していくことが必要です。データを活用して安全運転を広げる輪が、やがては街全体、さらには社会全体をより良くしていく。そんな未来を目指したいと考えています。


成迫さん:
「共創」という概念の素晴らしさを、このプロジェクトを通じて改めて実感しました。異なる業種業態である私たちですが、“交通事故を減らしたい”という共通の強い想いでつながり、ここまで来ることができました。これからはこのアプリを皆さまに使っていただくことで、多くの方に安全運転への意識向上という価値を届ける段階へ進みます。私たちの共通の目標は、「交通事故を減らすこと」です。今回の取り組みがそのための第一歩です。今後引き続き、イーデザイン損保さんと共に安全運転の未来のために共創していきたいと思います。

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