この記事をまとめると
■クルマのガラスは汚れの影響で視界悪化を招く
■ウインドウは専用クリーナーを使うと効果的に汚れを落とせる
■内側も汚れやすいので定期的に掃除するとクリアな視界を確保できる
厄介なガラス汚れを綺麗にする方法とは
クルマを運転するとき、安全運転に不可欠なことは何か?
そのひとつがクリアな視界だ。フロントウインドウ、フロントサイドウインドウ、リヤウインドウが汚れていると、視界がクリアにならないだけでなく、ワイパーを使ったときにかえって汚れを引きずり、視界を悪化させてしまうこともありうるのだから怖い。
では、その点でもっとも重要なフロントウインドウを綺麗にするにはどうしたらいいのだろうか。
ガラスの汚れは、綺麗に拭いたつもりでも、運転席から見るとスジ、ムラがあったり、それが気になって運転に集中できないことも珍しくない……。
ここで注目したいのは、クルマのフロントウインドウは外側と内側それぞれ別の方法で拭き上げ、綺麗にするということ。
まず、フロントウインドウ外側だが、洗車したあと、屋外駐車、屋内駐車を問わず、翌日にはすでにホコリなどがうっすら付着しているはず。ましてや、雨の日に走行したあとでは、ウインドウはかなり汚れているはず。汚れの原因はホコリ、雨水(ウォッシャー液含む)だけではない。とくに雨の日に走ったクルマには、路面から跳ね上がった油分などの汚れもしっかりと付着している。いわゆる、ウインドウがギラギラする油膜の原因だ(ワックスをかけているクルマもルーフから油分が落ちる)。
ところが、油分を落とす成分の界面活性剤や着色剤が含まれるクルマ用のガラスクリーナーを使うと、綺麗に拭いたつもりでも、拭きスジが残ってしまうことがある。
で、1980年代から日本の洗車ブームを自動車専門誌などで牽引し、約30年間、洗車・補修用アイテムメーカーで開発アドバイザーとして仕事をしてきた(カーシャンプー、洗車クロス、洗車ブラシ、コーティング剤、白錆除去剤などを含む)ほか、洗車・補修関連の書籍、自動車専門誌の連載、洗車・補修ビデオに関わり、NHK、NHK FM、日テレ、東テレ……などなどの番組で洗車や補修の極意を紹介してきた、根っから洗車オタクなモータージャーナリストでもある筆者が、ウインドウ外側のケアに使っているアイテムが、以前、CARトップ本誌でテストしてその性能、使いやすさに驚かされた、ストナーのプレミアムガラスクリーナー「インビジブルガラス」だ。
その特徴は、界面活性剤やせっけん成分を含まず、独自のClearDry TM成分によって、強力な洗浄性能と速乾性=拭きスジのなさを実現。いくつかのクルマ用ガラスクリーナーをテストしているが、筆者としては、これがベストだと思って、ストナーの日本上陸以来、長年、使い続けている。
ただし、筆者の場合、ウインドウの汚れが酷い場合は、プレクリーニングを実施している。つまり、専用に用意した合成セーム皮やマイクロファイバークロスを水で絞り、ホコリ、砂、ウインドウウォッシャー液残りなどを除去。その際、ワイパーブレードを上げて、ワイパーゴム、その下を綺麗にしておくこともポイントだ。ワイパーゴムに砂などザラザラしたものが付着していると、ワイパー使用時にガラスをキズ付けてしまう可能性もあるからである。
その上で、「インビジブルガラス」をウインドウにスプレーし、これまた専用に用意した、乾いたマイクロファイバークロスで拭き上げていく。実際、拭きムラはほとんどなく、スピーディにクリーニングが完了する。ちなみに家庭用ガラスクリーナーには、艶出しのシリコン成分が含まれている製品もあるのだが、それを使うとシリコン成分がワイパーブレードに引きずられることで、ムラを誘発することもあるから、使用は控えたほうがいい。
内窓の掃除も念入りに
一方、フロントウインドウ外側を綺麗にしたはずなのに、視界にムラがあることがある。それはフロントウインドウ内側の汚れである。「外界からの影響を受けないのになぜ?」と思うかもしれないが、空気中に漂うホコリ、喫煙車ならタール×ホコリが内窓にべったり付着し、視界をマダラに曇らせてしまうのだ。湿気の多いときにはなおさら気になるはずである。
「でも内側だから、水道水で絞ったクロスで拭けばいいじゃん……」と普通は思うわけだが、じつは水道水を使った拭き上げはNG。水道水にはナトリウム、カルシウム、マグネシウム、ケイ素に加え、浄水処理で塩素も含まれ、洗車用の水としてはそれらが不純物となってしまい、ムラの原因となる。プロの洗車で純水を使うのも、そうした不純物を避けるためなのだ。
そこで内側も、界面活性剤を含まないクルマ専用のガラスクリーナーを使うか、純水製造機の導入は無理だとしても、スーパーや薬局で安価に(100円~)売っている精製水を綺麗なクロスにつけて拭き上げるのが理想。ウインドウ外側の汚れは目に入り気づきやすいものの、あまり汚れなそうなウインドウ内側にも知らず知らずのうちにホコリなどの汚れがべったりと付着し、視界を悪化させる原因となることを覚えておいてほしい。
とはいえ、フロントウインドウ内側は、ダッシュボードの奥行きが長いミニバンなどでは手が届かないし、フロントウインドウ下部の隙間に手が届かない……ということもあるだろう。だから内側のケアはほったらかし……なんて人も少なくない。
そこで筆者は、クルマのウインドウ用モップを使っている。全長は約40cmあり、手の届きにくい場所のふき取りも容易。モップ部分は外して洗えるから便利である。このモップ部分に精製水を付けて絞って拭き取れば完璧だろう。
このように、ウインドウの外側と内側をマメにケアしてやれば、安全運転に直結する、ムラのない、クリアな視界が確保できるというわけだ。
このような方法でクリアな視界が確保できればいいのだが、現実問題なかなかそうもいかない場合がある。その原因が、まずはしつこい油膜、シリコン被膜。とくにワックスをかけているクルマに見られる(ワックス成分がルーフからウインドウに流れ落ちる)。
これにより、雨の日にワイパーを使ったとき、油膜を引きずり、視界を白くギラギラと悪化させるのだ。そんな悩みの解決には、筆者も長年愛用し、プロも使っている油膜落としの定番、プロスタッフの「キイロビン」「キイロビンゴールド」などを使って落すといい。処理後、水をスプレーして、水を弾くところは完全に落ちていない証拠で、再処理していけば、ギラギラ視界の原因になる油膜をすっきりと落とすことができる。
しかし、それ以上にやっかいなのが、ガラスに付着したウォータースポット=ウロコ状のシミ(リング状の凸凹)だ。これはウインドウに撥水剤を塗布して放置したままだったり、クリーニングをマメにおこなっていないクルマのガラスに見られる、クルマを野暮ったく見せるかなりやっかいなシミである。
もちろん、ガラスクリーナーや油膜取りでは落とすことができず、かつてはプロ用のガラスコンパウンドなるケミカルで処理していたのだが、いまでは筆者も愛用しているソフト99の「ガラスリフレッシュ」といった、ガラスのウォータースポット専用のケミカルが効果的。付属のパッドを使うことで、ガラスに付着したウォータースポット=ウロコ状のシミをすっきり落としてくれるのだ。
1回で落ちきれなくても、何度か作業することで、ガラスがスッキリ、クリアになる。その結果、同乗者に「ガラスがないみたい!?」といわせるほどの仕上がりが期待できる。洗車をサボったり、中古車を買って、ウインドウにそんなシミが付いたら、ぜひ試してほしい。