この記事をまとめると
■クルマを修理する際にかかる金額は修理に出すところによって大きく異なる
■ダメージを負ったカ所が可動部分の場合はディーラーに依頼するのがベストだ
■DIYでの修理や放置する人も一定数存在するがある程度のリスクがある
「安全」をとるならディーラーへ
クルマに乗っていると、不意の事故に遭ったり、うっかり操作ミスでクルマをぶつけてしまうこともあります。完全に自分のミスで自爆してしまうこともあれば、相手の過失などで避けられない事故に遭ってしまうこともありますが、過失の所在はともかく、物理的に残るのは車両のダメージでしょう。
車両にダメージを負ってしまった場合、まずは原状復帰を行うため、修理の見積もりを取ることから始めると思いますが、修理を依頼する業者によってその金額はピンキリです。
相手の過失が認められて保険で修理ができるなら、見積もり金額を気にせずこちらの都合のいいところに依頼できますが、相手に修理代が見込めない場合や、自爆の場合は当然その修理代は自腹です。
自腹となると、できるだけその出費を抑えたいと思うのは当たり前の心理だと思います。しかしその一方で、安く済ます、あるいは修理しないでそのまま乗っていて「大丈夫なのだろうか?」という心配もあるでしょう。
ここでは車両のダメージを修理する場合のガイドラインを考えてみたいと思います。
■出費を覚悟しても安心を優先するケース
先に書いたように、修理するなら原状復帰と考える人がほとんどではないかと思います。日本ではとくにヘコミや傷をそのままにして乗るのは「みっともない」と考える人が多いように思います。そのため、ちょっとの傷でも場合によっては数万円〜の補修費をかけてきっちり原状復帰を果たすケースが多いようです。
また、ダメージを負った箇所が足まわりやホイール、エンジン関係など可動部分の場合はまた別の感覚になるでしょう。
たとえば車輪を縁石などに当ててしまってサスペンションのアーム類にダメージを負った可能性がある場合、そのまま放置して高速道路に乗った場合を考えると、ダメージの度合いによっては直進安定性に悪影響が出たり、あるいはしばらく影響が出ないので乗り続けていたらアームが折れたなんていう可能性も無くはないでしょう。
とくにアルミ製のホイールやサスペンションアームに衝撃を及ぼした可能性がある場合は、目視で問題が見つからなくても、内部にダメージを蓄積しているケースもあるので注意しましょう。アルミは靱性(ねばり)が低いので、限界を超えると瞬間的に破断します。
それら諸々のことを考慮して、「多少金額が張っても安心して気兼ねなく乗りたい」ということであれば、修理のマニュアルが整っていて、安全の基準もしっかり確保していて、さらに保証もあるディーラーに依頼するのがベストでしょう。
■いまは出費を抑えたいというケース
こちらは見栄えや微細な不具合は許容できるので、出費を抑えることを優先したいというケースです。
いまの社会情勢は先行き不安感が高まっている風潮があり、貯蓄を優先させるという声も多く聞こえきます。なのでできるだけ出費は抑えたいと考える人も多いでしょう。
この場合、外観でいうと多少の傷はもとより、ピンポイントなヘコミや割れなら「機能的に不具合はなさそうだから、いまは我慢して修理を見送ろう」という判断で節約のポイントを稼いでいるケースがたびたび見られます。なかにはステッカーを貼るなど見栄えをできるだけ落とさない工夫をしている例もあります。
外観はある程度ガマンすることでしのげますが、悩ましいのは可動部分です。ダメージの度合いによっては走行に悪影響を及ぼすこともありますし、ちょっと修理代をケチったために操縦不能な状況を引き起こしてしまい、大損害を被る、あるいは第三者に与えてしまうこともあり得ます。
この判断は素人ではとても無理なので専門家に判断を委ねることになりますが、ディーラーでは基本的に中途半端な修理は勧められず、原状復帰のメニューを提案され、費用がフルでかかってしまうでしょう。
そこで登場するのが民間の修理工場やチューニングショップです。個人経営や中小企業のところは多くの従業員を抱えるディーラーと比べて工賃を低く見積もっているところが多く、財布に優しいと思います。
しかし、正直いってしまうと巷にはいろんな背景の工場やショップがあるので、修理に対するスタンスもさまざまです。場合によっては、思ったより安くなかったり、作業のクオリティに満足できなかったりと望んだ結果が得られないこともありますが、うまくよいところに巡り会うことができれば、費用もクオリティもディーラーを凌ぐ満足感が得られる可能性は大いにあります。
■工賃はゼロ円。自分で行うケース
修理代のうち、もっとも大きな部分は補修のパーツ代ですが、けっしてバカにならない割合を占めるのが作業の工賃です。その部分を丸ごとカットできるのが「DIY」です。作業をすべてオーナー自身で行えれば、実質作業に関する出費をゼロ円に抑えることができます。
ただし、ダメージの度合いと修理をするべきかどうかの判断は自身で行わなければなりません。生半可な知識や経験で安易に判断をしてしまうと、それが原因で事故を起こす確率が高くなり、自身だけでなくほかの人や施設にもダメージが及ぶ危険性が高まります。
そのため、クルマの修理の判断は、十分な経験と知識を備えていることが前提になるでしょう。
もしこれから経験を積んで、自分の愛車にかかわる作業を自身で行いたいなら、いきなりハードな作業にチャレンジせず、機能に影響の少ない部分で経験を積むとよいかもしれません。
■その状態で走って大丈夫? 何もしないケース
クルマをぶつけてそのまま修理をしないで済ませるというケースは、日本では少数派だと思いますが、確実に一定数いるということも、公道を走る機会が多い人なら感じていることでしょう。
このケースも上のDIYのケースと同様に、そのまま走っても走行機能に支障はないから大丈夫という判断を自身で行う必要があるので、周囲に迷惑をかけないためにはしっかりした知識と経験が必須となります。
放置は基本的に何もしないので、もちろん工賃はゼロ円ですし、部品代もかからないので出費はありません。経済的にはもっとも節約できるでしょう。
ただ、端から見ると傷跡が生々しくてちょっと怖い印象を受けることもあり、「なぜ放置しているんだろう?」と気味悪がる人もいるので、もし何らかの理由で放置を選ぶときはその点も留意したほうがいいと思います。
以上、主な修理時の対処方法を並べてみましたが、いざというときの参考になったでしょうか? こうして並べて俯瞰して見てみると、かかる費用と自分の責任の大きさは反比例していると感じました。