東名も中央も東北道も常磐道も首都高と繋がっているのに関越だけ未接続! 幻の「練馬線」はどうなった?

2024.09.10 13:00
この記事をまとめると
■関越道はもともとは川越街道(国道254号線)のバイパス道路にすぎなかった
■単なるバイパス道路であったため練馬ICは首都高速と直結させる計画自体がなかった
■首都高練馬線を作って関越道と直結するという計画もあるが実現はしていない
もともと関越道は高速道路ではなくバイパス道路だった
  東名高速は首都高3号線と直結しており、中央道も首都高4号線と直結されている。そして、そのほかの東北道と常磐道、東関東道、京葉道路もそれぞれ首都高と直接つながっているため、我々は都心部からスムースかつスピーディに、放射状に延びている各高速道路へ接続できる。
  だが、関越道(関越自動車道)だけは、なぜかいずれの首都高とも直結されていない。そのため、都心部から関越道へ行くには、「一度一般道に降りてトコトコと下道で練馬ICを目指す」か、あるいは「別料金を払って外環に乗り、かなり大まわりして練馬ICを目指す」という方法を取らざるを得ない。
  いったいなぜ、関越道は首都高と接続されない作りになっているのか? そして今後、関越道と首都高が直結する日はやってくるのだろうか?
  まずは「なぜ、関越道は首都高と接続されない作りになっているのか?」という点から考えてみると、これには関越道の歴史的な背景が関係している。
  現在でこそ東京都練馬区の練馬ICを起点に、埼玉県と群馬県を経由して新潟県長岡市の長岡JCTまで路線延長264kmを超える立派な高速道路となっている関越道だが、1971年に練馬~川越間で開通した当時は「東京川越道路」という名称の有料道路だった。つまり、川越街道(国道254号線)のバイパス道路に過ぎなかったのだ。
  この東京川越道路の工事が始まったのが1967年で、その翌年1968年に関越道 川越~東松山間の施工命令が出る。そして、1971年に有料道路として開業した東京川越道路が1973年に高速自動車国道へと格上げされたうえで、1975年に開通した関越道 川越~東松山とドッキング。さらにその後、新潟県の長岡JCTまで延伸されたというのが、関越道の大まかな全容だ。
  つまり、現在の練馬ICは、「基幹高速道路の起点/終点」として生まれたものではなく、当初は「単なるバイパスの起点/終点予定地」であったため、そもそも首都高速と直結させる計画自体がなかったのだ。都心部から上越方面への接続は、主には1968年に新大宮バイパスへの延伸が決まった首都高5号線と、新大宮バイパスが担うことになっていた。
ほぼ実現されることはなさそうな首都高練馬線
  とはいえそんな関越道も、首都高と直結させる計画がなかったわけではない。
  首都高にはもともと「10号線」という計画があった。現在の10号線は「首都高10号晴海線」のことを指すが、オリジナルの10号線は、練馬区上石神井付近で外環道と接続する構想の首都高速道路だった。その後、関越道が徐々に延伸されるにつれて10号線の計画は変更され、路線名は「練馬線」という名称に変更。そしてコースも変更され、文京区関口付近で5号線から分岐して、目白通り付近を進んで「関越道に直結する」という計画になったのだ。
  しかし、この計画も「そのような接続をしたら5号線が大渋滞して大変なことになる!」などの理由で遅々として進まず、結局はお蔵入りとなった。
  だが、そんな「幻の首都高練馬線」も100%お蔵入りとなったわけではなく、現在も首都高練馬線はいちおう「首都圏整備計画」のなかで、中央環状線と関越道を結ぶ「高速練馬線」として調査を推進する路線という位置づけにはなっているのだ。
  だがこれも、実際には「限りなくお蔵入りに近い」といっていいだろう。
  いまさらC2山手トンネルと接続させる新JCTを建設するのは事実上ほぼ不可能であり、1996年に圏央道が開通したことが、よりいっそう「いまさらC2山手トンネルに新JCTを建設するインセンティブ」を減じさせている。
  さらには「地域住民の反対感情」というのもある。2020年10月に、外環道のトンネル工事に関連して東京都調布市の住宅街で道路が陥没してしまったこともあって、関連する地域住民の感情が「新路線&新JCTウェルカム! どんどん工事しちゃってください!」となることはまずないはずだ。
  ということで、関越道と首都高の直結については「計画はいちおうあるが(残っているが)、実質的にはないに等しい」というのが結論となる。
  まぁ100年後か200年後ぐらいに「首都高練馬線」ができあがる可能性もゼロではないが、その頃には筆者もあなたも生きてはいない。そして「クルマ」という形態がいまのまま残っているかどうかも、微妙に怪しいところだろう。

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