【神戸・ナチュラルワイン】伐採・栽培放棄されていく畑を豊かな資源へ再生させたい

2024.08.24 03:23
伐採・栽培放棄が繰り返されてきた神戸のぶどう畑を、まちの「豊かな資源」へと再生させるため「ナチュラルワインの委託醸造」プロジェクトを立ち上げます。長年、慣行栽培を続けてきたぶどう畑の環境再生とナチュラルワイン造りに挑戦することで、この地域の魅力を再定義したいと考えています。ぜひご支援をお願いします。自己紹介
みなさんこんにちは!
「ナチュラルワインでみなさんの日常を豊かにしたい!」との想いから、兵庫県・神戸市中央区でナチュラルワインショップ「ビバ・バン・ビバン」と、地域食材とナチュラルワインをあつかう飲食店「エノテカ・ベルベルバール」を経営している、宮本健司と申します。
2022年3月から、神戸市北区で伐採・栽培放棄されかけていた2.4ヘクタールのぶどう畑を引き継ぎ、ナチュラルワインの造り手としての新たな挑戦をスタートさせました。
神戸市北区のワイン用ぶどう畑で作業をする、宮本健司。
私がナチュラルワインを軸に活動を始めたのは、20代の頃、建築家を志して渡仏していた2000年代初頭にまで遡ります。
当時、フランスでは大量生産・大量消費に対抗するムーブメントのひとつとして、化学肥料や酸化防止剤で味の均一化を図った高級ワインに代わり、畑の環境を維持しながら身近な人々のために少量で造られる活きたワイン(Vin Vivant=ナチュラルワイン)の在り方を再定義する動きが活発化していました。
その動きに伴い、レストランやビストロも近くのマルシェで調達した食材に合わせ、地元でつくられたナチュラルワインを提供する、そんな自らの地域を守っていくようなカジュアルなお店が次々に誕生し、そこから市民のまちに対する誇りまでもが上がっていく光景を目の当たりにしました。
建築はハード面からより良いまちや地域をつくっていきますが、そこに住む人の想いや動きによってソフト面からまちが育まれていく光景に胸を打たれ、建築の世界から心機一転、「日常に寄り添い、地域・文化を残す存在としてのワインを広めたい」と、17年前、地元・神戸にナチュラルワインと料理のお店『エノテカ・ベルベルバール』をオープンしました。
ナチュラルワインと料理の店『エノテカ・ベルベルバール』にて
神戸市北区で消えかけている、広大なぶどう畑(プロジェクト立ち上げの背景)
近年、日本国内でもナチュラルワインのシーンは広がり、神戸市内でもナチュラルワインをあつかう飲食店は増えています。
しかし、どれだけ日本でナチュラルワインがブームになっても、どれだけ自身の手でナチュラルワインをお客さまに注いだりお届けしても、果たしてそのうちの何人がその中にある「本質的なこと」を日々の暮らしに落とし込めているのだろうか、との思いが募っていきました。
世界中でつくられたナチュラルワインを提供するだけでなく、今度は自分自身が神戸でナチュラルワインの造り手となり、このまちに住む人々が地元で採れた食材と地元で造られたワインを当たり前に消費する、そんなまちづくりを実践したい。
まずは栽培のノウハウを学ぶため、2019年より神戸市の農村部にあるワイン用のぶどう畑で研修を受けることになりましたが、そこには、さまざまな問題が広がっていました。
神戸市北区で育てられるカベルネ・ソーヴィニヨン
神戸市は、農業振興を目的に、40年前にワイン用のぶどう栽培を契約農家と開始し、神戸ワイナリーを創業。農村部に栽培総面積40ヘクタールという広大なぶどう畑が広がっていながら、長年の慣行栽培と異常気象により収量は年々減少、近年の不作により買取価格の下落と買取拒否、さらには生産者の高齢化と後継者不足も相まって、減反、伐採、栽培放棄が起こっている現状を知りました。
樹齢40年超えの国際品種のぶどうの樹は、全国的に見ても非常に少なく、本当に貴重な資源です。世界のワインシーンでは、古木ほどその土地の風土が反映されると捉えられている一方で、その価値を見出すことなく、まだまだ元気に生きているぶどうの樹が静かに伐採、栽培放棄されていく現実に危機感を覚えました。
神戸市北区に広がるぶどう畑。近年 多くのぶどう畑が姿を消しています。

この地でのナチュラルワイン造りをとおして、伐採・栽培放棄されていたぶどう畑を「豊かな資源」へと再生させたい(このプロジェクトで実現したいこと)
人間都合のさまざまな問題の狭間に立たされながら、40年ものあいだ必死に生きてきたぶどうの木が年々手放されていく現状は、まるで社会の縮図を描いているようにも感じました。
GDPや経済成長を追い求め、目先の利益を優先してきたことで、ローカルに育まれてきた資源や文化が消えていくーーその歪みが及ぼしてきた環境破壊や脆弱な地域の姿が、近年さまざまな場所であらわになってきています。
神戸市は、街と農村部が近いにもかかわらず、生産地と消費地が分断されてしまっていると感じました。同じひとつの市であるのに、農村部の問題は農村部で片付けるというサイクルが起きてしまっている。街を輝かせる豊かな資源があるのに、それを自分たちの手で消してしまうのはあまりにも愚かなことです。絶対に未来につなげなければいけない。
一から新しいものを生み出すのではなく、地域が潜在的に持っている資源の豊かさに気づき、それを守り活かしていくことこそが、日本ならではの社会課題の解決策につながると思っています。
まずは、人間の都合で荒れてしまったこの畑をリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の実践によって少しずつもとの状態に再生させ、その挑戦から生まれたナチュラルワインを多くの人に消費してもらうことで、見捨てられていく広大なぶどう畑を、改めてまちの「豊かな資源」として再定義していきたいと考えています。
その先に、ワインという液体からそれぞれが自身の住むまちの資源に目を向け、一人ひとりが環境・社会を再生させる担い手としての実践をはじめていける、そんなワインをここでなら造っていけると確信しました。
所有する2ヘクタールの畑がある大沢町農地組合

容赦ない自然、ようやく生まれた初めてのワイン
2022年3月、神戸市北区のぶどう畑2.4ヘクタールを正式に借り、自身の土地としてのぶどう栽培をスタートさせました。しかし、40年間、慣行農法で育てられていた畑を、有機栽培に転換する難しさは想像をはるかに超えるものでした。これまで薬によって病気から守られていた木は、菌に対応する免疫がなく、目を離すとすぐにさまざまな病気が蔓延してしまいます。
「手付かずだった畑でゼロから始めた方がいいのでは」「そもそもこの土地での有機栽培は不可能なのでは?」という声もいただきましたが、前述したように私にとって、社会をより豊かなものにするには、この樹・畑の再生に取り組むことに意味があると思っています。
そして40年間、暑い日も寒い日もこの畑とともに生きてきた生産者のみなさんと一緒に、新たな景色に進んでいきたい。その一心でようやく収穫を迎えました。
ぶどう畑の現状を知ってほしい、との思いから定期的に農作業ボランティアも実施
2022年は当初の予想を大きく下回る収量でしたが、なんとか収穫できたぶどうで委託醸造を行い、神戸で初めて150本のナチュラルワインが誕生しました。2023年はべト病の蔓延により、自身の有機栽培で育てたぶどうは全滅。周辺の生産者の方々から譲り受けた慣行栽培のぶどうを使用し、天然酵母で発酵、酸化防止剤無添加のワインを1,500本、街に届けました。
ようやく生まれた、初めてのワイン(BY2022)

今回のチャレンジ
今回のプロジェクトでは、神戸市北区大沢町で獲れるぶどうを使用したナチュラルワインの委託醸造を行います。これまではわずかな収量、周辺の方々から譲り受けたぶどうからの醸造でしたが、今回は初めて「自身の畑で採れたぶどうで、まとまった量のナチュラルワインづくり」にチャレンジしたいと考えています。
みなさまからいただいた資金は、農機の購入費や委託醸造の経費、また、2025年着工予定のワイナリーの造成費の一部に充てたいと考えています。
目標本数は3,000本。地元の自然と共生した持続可能で再生的なナチュラルワインづくりを通して、この地域が潜在的に持つ豊かな資源の魅力を再定義し、本来のまちの輝きを取り戻していきたいと考えています。このクラウドファンディングが農村部の課題をみなさんに知ってもらうきっかけとなり、課題解決の一歩につながると信じています。どうか神戸市の豊かな資源を守る仲間になっていただけましたら幸いです。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

未来の話
神戸で生まれたぶどうを、神戸で醸造し、神戸で消費する。フランスで出会った光景のように、「日常に寄り添い、地域・文化を残す存在としてのワイン」を広めるため、現在神戸市北区でのワイナリーの造成も検討しています。ワインを軸としたこのプロジェクトをとおして、みなさんと一緒に、神戸の、そしてより良い日本の未来をつくっていきたいと思っております。今後、こちらの進捗も随時発信いたします。

リターンについて
今年度チャレンジするナチュラルワイン、昨年度醸造したワインの他、このプロジェクトを通じてたくさんの方が神戸市北区大沢町と関わりを持てるよう、収穫体験・農園見学や収穫祭へのご招待などをご用意しました。詳細はリターン一覧をご覧ください。
※20歳未満の者による飲酒は法令で禁止されています。20歳未満の方は酒類を含むリターンは選択いただけません。
■酒類販売管理者標識
1.販売場の名称及び所在地:エノテカ ベルベルバール(神戸市中央区中山手通1丁目9−5, 2階)
2.酒類販売管理者の氏名:山口 海人
3.酒類販売管理研修受講年月日:2023年5月17日
4.次回研修の受講期限:2026年5月16日
5.研修実施団体名:神戸小売酒販組合
■リターン会場(エノテカ・ベルベルバール)
■リターン会場(圃場)
※詳細の住所・アクセスは該当支援者様にメールでお知らせします。
■リターン(オリジナルワイン・BY2024)について
BY2024のワインは、今まさに栽培中のぶどうで、これから収穫を経て醸造となります。万が一 十分な収穫が出来ない場合、醸造が失敗してしまった場合は、該当支援者様にご連絡の上、「今年3月に完成したオリジナルワイン・BY2023」もしくは「宮本セレクトのナチュラルワイン」に変更させていただきます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。* BY:Brewery Yearの略で、「醸造年度」という意味です。

現在の準備状況・スケジュール
現在 BY2024の醸造に向けて、ぶどうの栽培・手入れを進めています。皆様のご支援は、農機の購入費、委託醸造の委託料、原材料の調達費、生産にかかる人件費、広報費に充てる予定です。また、2025年着工予定のワイナリー造成の準備費にも一部充てさせていただきます。
7月 クラウドファンディング開始
8月 クラウドファンディング終了
   シャルドネ収穫
9月 カベルネ収穫
   8日(日) 農園見学(該当リターン選択の方のみ)
   22日(日) 収穫体験(該当リターン選択の方のみ)
   リターン商品発送開始
10月 20日(日) 収穫祭(該当リターン選択の方のみ)
   シャルドネ・カベルネ瓶詰め
11月 4日(月・祝) テイスティングイベント(該当リターン選択の方のみ)
5月 BY2024完成
   発送(該当リターン選択の方のみ)

最後に
ここまで目を通していただきありがとうございます!
地元・神戸でナチュラルワイン造りをスタートさせてから丸2年。何度も困難にぶつかりながらも、諦めずに必死にしがみついてきたのは、このプロジェクトを進めることが地域をより良くしていく、さらには社会全体のより良い変化の一部になれるという確信だけは、どんな状況でも消えることがなかったからです。
そしてその想いに共感し、徐々に集まってきてくれる仲間たちの存在が、活動のエネルギーになっています。畑を手伝ってくれる心強い仲間、収量がわずかだったときにぶどうを譲ってくれた生産者さん、そして快く委託醸造を引き受け、自身の知識を惜しみなく与えてくれる大岡さん、そしてまちから私の応援をいつも応援してくれるみなさん…言い出したらきりがありません。
どれだけ「未来を良くする」との確信を持てていても、栽培や資金面を含め、このプロジェクトを私一人で成し遂げることは不可能です。
神戸の豊かな自然の魅力を再定義し、そこからより良い社会のあり方をつくっていく、ぜひその仲間になっていただけましたら幸いです。
どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。


【参考記事】
ナチュラルワインでつなぐ、取り戻す、そして生まれる、神戸のカルチャー
【写真提供】
・nose nana:
・Kazuki Yamashita:

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