ジムニーなんて発売から6年も経ってもまだ1年待ち! ランクルは受注停止! 人気のクロカンSUVがいつまで経っても買えないワケ

2024.08.21 17:30
この記事をまとめると
■世界的なSUVブームが続いており日本でも新車販売ランキングでSUVが上位に並ぶ
■シティ派SUVが順調に販売台数を伸ばす一方で悪路向けSUVは納期が長くなっている
■悪路向けSUVは専用部品も多くメーカーが生産ラインを増やせば即座に増産できるものではない
SUVブームが続く一方で長納期が解消しないモデルがある
  いまはSUVの人気が世界的に高く、新型車の開発も活発だ。欧州メーカーを中心に、SUVの輸入車も急増した。その結果、SUVの人気がさらに高まり、売れ行きも一層増えている。
  販売ランキングの上位にもSUVが多く入るが、売れ筋は、トヨタのヤリスクロス/カローラクロス/ハリアー、ホンダ・ヴェゼル/WR-Vなどだ。いずれも乗用車と共通の前輪駆動をベースにしたプラットフォームを使っており、シティ派SUVに分類される。
  このタイプのSUVが増えた結果、需要に原点回帰が見られるようになった。SUVの出発点ともいえる悪路向けのトヨタランドクルーザー70/250/300、スズキ・ジムニー&ジムニーシエラが人気を高めている。これらのSUVは、後輪駆動をベースにした耐久性に優れたプラットフォーム、悪路で駆動力を高める副変速機を備えた4WDなどを搭載する。
  そして、悪路向けSUVは全般的に納期が長い。ランドクルーザー300は、納期の遅延どころか受注を長らく停止させており、トヨタのホームページにも明記されている。ランドクルーザー250は、ホームページに記載はないが、複数の販売店が「KINTOを除くと受注を停止している」と述べている。
  KINTOとは、トヨタが運営する定額制カーリースのことだ。これを使うとランドクルーザー250を4カ月程度で納車できるが、リースだから、最長7年の使用期間を終えると車両を返却せねばならない。最終的にユーザーが車両を買い取り、自分の所有にすることはできない。
  また、KINTOは返却が前提だから、走行距離や車両の使い方に関する制約も多い。悪路向けのSUVでは、ドレスアップを楽しむユーザーも見られるが、KINTOではボディに穴を開ける改造はできない。リースだから、車両を借りていることを忘れず大切に扱う必要がある。
悪路向けSUVの納期を短縮させるのは簡単ではない
  このほかジムニーとジムニーシエラの納期も長い。2018年の発売以来、約6年を経ても納期は縮まらず、販売店では「ジムニー、ジムニーシエラともに、納期はいまでも1年以上を要する」という。
  悪路向けSUVの納期が長い理由は、需要に対して生産が追い付かないからだ。そのため、ユーザーを長く待たせれば商品力を低下させる。商品力は、デザインや機能だけでなく、価格、顧客に対する各種サービス、納期など、さまざまな要素によって決まるからだ。
  従ってメーカーは、売れ行きに応じて生産規模を増やし、納期の遅延を食い止める必要があるが、それをしない、あるいはできない背景には複数の理由がある。
  まず、その車種がメーカーの国内販売にとって、大量に売るべき存在ではないことだ。大量な販売を目的にすれば、日本仕様を最優先で生産するが、そうではないから遅れも生じる。表現を変えれば、悪路向けのSUVには海外向けの車種が多く、その結果、日本仕様の生産枠が限られてユーザーは長く待たされる。
  ふたつ目の理由は、増産には危険が伴うことだ。ユーザーとしては「納期が長いなら増産して売りまくり、納期を縮めてガッポリ儲ければいいだろう」と思うが、そうもいかない。増産体制を整えると、その生産ペースを保たなければ、メーカーは余剰な生産設備をもつことになるからだ。
  さらにいえば、メーカーだけの問題ではない。部品を供給するサプライヤーにも増産を要請することになり、生産台数が下がれば、さまざまな下請企業が不利益を被る。
  しかも、ランドクルーザーシリーズやジムニー&ジムニーシエラの場合、悪路向けのSUVだから、ほかの前輪駆動の乗用車には使われない個性的な部品やユニットも多い。品目によっては、製造できるサプライヤーとその生産個数が限られることもあり、メーカーが生産ラインを増やせば即座に増産できるものではないのだ。いろいろな要素が絡む。
  しかし、ユーザーの立場で考えると、これらの事情はまったく関係ない。ユーザーは、メーカーが造ったクルマをメーカー系列の販売会社から購入しているからだ。メーカーは安全から納期まで、数々の重い責任を背負っており、そこに自動車ビジネスの難しさとメーカーの底力がある。

あわせて読みたい

【スクープ】いすゞ「ビッグホーン」が24年ぶりに復活する!? 国内乗用車の再販売は実現の可能性も
CARSMEET WEB
【新型ノア&ヴォクシー】受注開始は2024年12月? マイナーチェンジで小変更もその魅力爆上がり!
FORZA STYLE
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
トヨタ・アクアが全盛時の4分の1しか売れていない! それでも「心配ご無用」な至極当然の理由
WEB CARTOP
HUF X LAND CRUISER 発売スタート!
PR TIMES
「ポトン!」と落とす楽しさが味わえる新感覚の知育玩具発売
PR TIMES Topics
「アルファードにランクル」と高額なクルマが街に溢れているのは「残価設定ローン」のおかげ! いまお得に買えるクルマとは?
WEB CARTOP
ランクルにGT-R…「買えない人気車」販売の実態
東洋経済オンライン
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
あえて「変えない」のにモデルチェンジ? 新車のモデルチェンジで使われる言葉「キープコンセプト」とは
WEB CARTOP
過去30年でクルマの保有台数は36%増えたのに新車販売は40%減! クルマの需要はあるのに新車が売れないワケ
WEB CARTOP
自然から着想を得たデザインの新ブランド『Hittat!』新発売
PR TIMES Topics
BYDがメキシコに「用地取得」の噂で戦々恐々! アメリカに進出すれば一気に普及の可能性アリ
WEB CARTOP
ほぼ「JOY抜き」でも9月単月でN-BOXは2万5000台を販売! 圧倒的No.1キープの裏に見える不安要素とは
WEB CARTOP
ブランド創立40周年記念「J&M デヴィッドソン」、マッキントッシュとコラボレーションした限定コート発売
PR TIMES Topics
「身の丈以上」の「高額車」に新車で乗れる「残価設定ローン」! 魅力的だが「落とし穴」には要注意
WEB CARTOP
全部が人気者なのになぜコイツだけマイナー? 日本でも販売していた「ランクル50」とは
WEB CARTOP
ミルクの可能性を探究するスイーツブランド誕生
PR TIMES Topics
ジムニー/ジムニーシエラ専用パーフェクトフィットビッグDAを発表
ラブすぽ
いまノア&ヴォクシーの中古価格が上昇中! 「新車が買えない」だけじゃない人気ミニバンを取り巻く複雑な要因とは
WEB CARTOP