F1で勝ちたきゃ彼を雇うしかない! 超一流ドライバーよりも引く手あまたの「エイドリアン・ニューエイ」とは何者なのか?

2024.08.03 11:40
この記事をまとめると
■エイドリアン・ニューエイはF1界で有名なエンジニアのひとり
■30年以上F1マシンに携わり数多くの画期的なデザインを生み出している
■2025年から長く在籍したレッドブルを離脱するので今後の行方が注目されている
30年以上F1の場で活躍している名エンジニア
  映画「ロッキー」シリーズのファンにとって、エイドリアンといえば、劇中のロッキーの愛妻のことだが、モーターレーシングの世界でエイドリアンといえば、「空力の魔術師」といわれる稀代のエンジニア、エイドリアン・ニューエイのこと。
  F1で最多勝記録を持っているドライバーは、ルイス・ハミルトンで通算104勝(2024年ハンガリーGP終了時点)だが、エイドリアン・ニューエイが生み出したマシンの優勝回数は、すでにハミルトンを大きく上まわる214勝(同上)。
  彼のデザインした作品(F1マシン)は、コンストラクターズチャンピオンを12回、ドライバーズチャンピオンを13回も獲得している。
  関わったF1チームは、フィッティパルディ、レイトンハウス マーチ、ウィリアムズ(51勝)、マクラーレン(43勝)、レッドブル(120勝)の5チームで、圧倒的ともいえる成績を収めている。
  F1界には、彼のほかにもコーリン・チャップマン、ジョン・バーナード、ロリー・バーン、パトリック・ヘッド、ゴードン・マレー、ハーベイ・ポスルスウェイト、ロス・ブラウンといった、天才、奇才デザイナーが存在したが、エイドリアン・ニューエイほど成功したデザイナーは空前絶後で、1990年以降、F1の真のチャンピオンは、「エイドリアン・ニューエイだ」と評価する声すらある。
  彼は最初から流体力学の専門家で、大学でも機械工学ではなく航空宇宙工学を専攻。
  大学卒業後、F1の弱小チーム「フィッティパルディ」(ワールドチャンピオンのエマーソン・フィッティパルディの兄、ウィルソンが設立)に加入したときから、エアロダイナミシストとして活動を開始。
  その後、マーチ・エンジニアリングに移籍し、アメリカのインディ500を制したマシンをデザイン。年間タイトルも手にしている(1985年)。
  そして、日本人にもなじみの深い、レイトンハウスのマーチ881でF1にカムバック。ターボエンジン全盛期に非力なNAエンジン(ジャッドV8)を搭載したマシンを使い、日本GPで一時ラップリーダーに浮上の快走!
  以後、マンセル、プロスト、ヒル、ビルヌーブ、ハッキネン、ベッテル、フェルスタッペンなどのチャンピオンの走りを支えてきた。
  彼が30年以上の長きにわたってずっとトップランナーでいたということは、どんなレギュレーションの変化にも柔軟に対応し、優れたアイディアを出し続けてきた何よりの証拠。
  しかも彼のキャリアのおおよそ半分は、決して最強のエンジンを得ていたわけではない(ウィリアムズ時代のルノーV10や最近のホンダPUが例外的)。
マシンに流れる空気の流れをイメージできる
  具体的に、彼が流行らせたデザイントレンドをいくつか挙げると以下のようなものがある。
・ハイレーキ・コンセプト(フロント下がりで、リヤの最低地上高が高いスタイル)
・ゼロキール方式(突起=キールを持たせずにフロントのモノコック下部に直接ロワアームを取り付ける方式)
・バットマン・ディフューザー(エイドリアン・ニューエイがレイトンハウス時代から好んでいたトンネル形状のリヤディフューザー)
・複雑な形状のフロントウイングの翼端板(フロントタイヤの影響で生じた乱気流を制御するための3Dタイプの翼端板)
  エイドリアン・ニューエイは、コンピュータ(CAD)を使った設計が当たり前の現代でも、製図版を使って手書きで設計図を描くエンジニアで、ある面は非常に古典的だが、彼は人には見えない空気の流れが見えるらしい。つねにアイディアマンであり、レギュレーションの穴を見つけるのが誰よりもうまい。
  そうした勘所のよさが、当代一流なのだろう。
  これらに関しては、ほかのエンジニアたちの追随を許さない状態が続いており、設計技術が高度化、分業化が進んできても、レギュレーションに合わせ、トータルで最適化をはかり、マシンをまとめ上げる力に関しては、彼の右に出るものがいないのが実情だ。
  これまでの実績から考えると、超一流のドライバーに破格のギャラを払うより、エイドリアン・ニューエイに高額なギャラを払って、一流のドライバーと組ませたほうが、むしろチャンピオンへの近道とさえいえるほど。
  実際のF1の世界には、超一流のドライバー、スタッフしかいないので、超一流のエンジニア+超一流のドライバーでなければ、タイトル獲得は難しいが、エイドリアン・ニューエイがチャンピオンの大きなカギを握っていることだけは、誰も否定できないはず。
  エイドリアン・ニューエイが2025年でレッドブルを離脱することはすでに発表されているので、彼の動向が、来年以降のF1勢力図に大きく影響するのは間違いない。

あわせて読みたい

F1好き必見! 特別なウオッチフェイスを搭載したオラクル・レッドブル・レーシングとのコラボモデルがタグ・ホイヤーから登場
WATCHNAVI Salon
【F1 2024】第23戦カタールGPでフェルスタッペン今季9勝目、コンストラクターズタイトルは最終戦へ
webCG
ジェラート専門店からクリスマス限定フレーバー登場
PR TIMES Topics
「行ったり来たりは本当にやめてほしい」トヨタとハースの業務提携の背後でかわされた、モリゾウと小松代表の本音のぶつかり合い
NumberWeb[モータースポーツ]
あれから25年。ポルシェ、「LMP 2000レーシングカー」に命を吹き込む!
CARSMEET WEB
戸籍を調べて驚愕! 実際にあった相続トラブル
antenna
当代随一のマシンデザイナー「エイドリアン・ニューウェイ」の本気! 12億円の2人乗りF1のようなRB17の全容
WEB CARTOP
【F1 2024】第22戦ラスベガスGPでフェルスタッペンの4年連続チャンピオン決定、メルセデス1-2フィニッシュ
webCG
福を招くだるまと干支の巳がモチーフの「お正月エッグ」登場
PR TIMES Topics
【F1 2024】第19戦アメリカGPでルクレール3勝目&フェラーリ1-2、フェルスタッペンは3位
webCG
【F1 2024】第18戦シンガポールGPでノリス3勝目&マクラーレン1-3、フェルスタッペンは2位
webCG
ポップアップイベント 丸山百景 KEITA MARUYAMA 30TH ANNIVERSARY「丸山敬太の縁起物市 in 銀座三越」開催
PR TIMES Topics
TOYOTA GAZOO RacingがMoneyGram Haas F1 Teamとの提携を発表
webCG
「ドライバーとして完璧だった」ライバルも認める“最速マシン”じゃなくても速いフェルスタッペンの異次元の強さ
NumberWeb[モータースポーツ]
【ラ・メゾン・デュ・ショコラ】バレンタインコレクション「パリ サンヴォール」発売予定
PR TIMES Topics
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol.41 マセラティ250S&300S
octane.jp
大スケールの「マクラーレンMP4/4」!プラッツ取り扱いプラモ、2025年3月の新製品【LE VOLANTモデルカー俱楽部】
CARSMEET WEB
医療現場では選ばれてきた新商品「グアー豆食物繊維がとれるゼリープラス ライチ」発売
PR TIMES Topics
F1から市販車までなんでもござれの天才エンジニア! 「ゴードン・マレー」の業績があまりに凄すぎた
WEB CARTOP
【F1 2024】最終戦アブダビGPでノリスがポールから4勝目、26年ぶりにマクラーレンがコンストラクターズチャンピオンに
webCG
「相続ナビ」で相続を手軽に! 事例とともに対処法を解説
antenna