日本じゃぶっちゃけ売れないけどいいクルマなのよ! 11代目もまた凄いクルマだった「アコード」の歴代を振り返ってみた

2024.07.31 17:20
この記事をまとめると
■2024年3月に11代目となる新型アコードが販売された
■アコードは1967年からシビックの兄貴分的な立ち位置で登場した
■USモデルやワゴンやユーロRといった多種多様なモデルが存在した
新型アコードはマジでいい!
  2024年3月に登場したホンダ・アコードの11代目は、ホンダの先進技術を結集し、最新の安全技術や先進装備を満載した、ホンダを代表するハイブリッド専用のセダンである。セダン不遇の時代にあって、しかし月間計画台数200台と控えめなモノグレードの11代目アコードは「このアコードならセダンもいいな」と思わせてくれる、デザイン、走行性能、装備を含む魅力に溢れている1台といっていい。
  そのエクステリアは力強さと先進性あるフロントマスク、伸びやかで流麗なシルエットを備えたクーペライクなサイドビューが特徴的な低全高・低重心パッケージがもち味。おそらく、多くの人が「カッコいい」と思えるスタイリングではないだろうか。ボディサイズは全長4975(先代比+75mm)×全幅1860mm(先代比±0mm)、全高1450mm(先代比±0mm)。ホイールベース2830mm(先代比±0mm)という、とくに全長の余裕を生かした堂々としたプロポーションとなっている。
  コンフォート×インテリジェンス×ニューフォーマルをデザインコンセプトとしたインテリアは、水平基調のインパネがもたらすスッキリとした、そして広々とした空間だ。ボディスタビライジング技術を用いたシートは、柔らかさと滑らかさを高めた加工技術を取り入れたレザーシートが標準。そして、後席の快適性を重視し、リヤベンチレーション(エアコン吹き出し口)はもちろん、後席シートヒーター、リヤドアサンシェード、後席用USBチャージャーなどを備えている。
  メーターはわかりやすさにこだわったという10.2インチのデジタルグラフィックメーターを採用し、センターディスプレイはホンダ車として最大サイズのGoogle対応の12.3インチのタッチパネルホンダコネクトディスプレイが標準装備されている。車内環境を一括操作できるエクスペリエンスセレクションダイヤルの採用も快適性、操作性に大きく貢献するはずである。
  その走りは大柄なボディにして、まさに意のままに操れる懐の深さがあるものだ。パワーユニットはEVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードをもつ新モーター搭載のスポーツe:HEVで、2リッター直噴エンジン+新設計2モーター内蔵電気式CVT。エンジン147馬力、18.6kg-m、走行用モーター184馬力、34.2kg-mというスペックで、先代に対するトルクアップも目玉となる。
  タイヤは235/45R18。サスペンションはフロントがストラット、リヤがマルチリンク。ダンパーには高精度のアダプティブダンパーシステムが奢られる。
  走行に関わるアイテムとしては、ドライブモードスイッチ、新たにチャージモードを設けたEVスイッチのほか、ステアリング奥に減速セレクター(いわゆるパドルシフト)を用意。また、ホンダ車ではおなじみのアジャイルハンドリングアシストのロジックに前荷重制御をプラスしたモーションマネジメントシステムが思いどおりのコントロール性を実現することになる。
  先進運転支援機能のホンダセンシング360は、従来機能をアップデートしつつ、車線変更時衝突抑制機能や車線変更支援機能を新機能として追加。ACCのカーブ車速調整機能も、高速走行での安心・余裕につながる支援装備といっていい。
  セダン=退屈なクルマ……という先入観があるとしたら、いますぐに改めたほうがいい。新型アコードは文句なしの乗り心地、巡行中の静かさを高めつつ、走る楽しさも持ち合わせているのだから。とくに山道などでセットしてほしいスポーツモードでは、正確な操縦性、アクセルレスポンスのよさはもちろん、加速力は一気に高まり、ハイブリッドモデルでありながら、スポーティなエンジンサウンドに酔うことすらできるのである。
”R”のバッジをつけたホットモデルも登場
  と、長々と最新の11代目アコードについて触れてきたが、この記事の本題は「アコードを振り返る」である。
  初代アコードの登場は1976年。当時のミドルサイズの3ドアハッチバックと5ドアセダンの2モデル構成で、シビックで世に問うたCVCC仕様の1.6リッター、1.8リッターエンジンに4速MT、5速MT、ATのホンダマチックが組み合わされていた。シビックが大衆車なら、その上級に位置する、シビック同様の代表的国民車という存在であった。
  1981年には2代目が登場。エンジンは初代からのキャリーオーバーだが、アメリカ向けを意識してか、クルーズコントロールを標準化し、オートレベリングサスペンションもオプションで用意。
  そして、世界初の民生用カーナビゲーション=ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータがメーカーオプションとして用意されたのが、この2代目アコードなのだった。 ※ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータの詳細はコチラ
  なお、1982年にアメリカのオハイオ州で現地生産されるほど、アコードはアメリカで高い人気を誇った。
  3代目アコードは1985年に登場。エクステリアではリトラクタブルヘッドライトの採用が目玉(欧州仕様は異形4灯式ヘッドライト)。4ドアセダン、2ドアクーペ、3ドアハッチバックに加え、ワゴンタイプのエアロデッキが加わったのがこの3代目で、前後サスペンションが贅沢なダブルウイッシュボーンになったのもこの世代からである。
  1989年デビューの4代目はエアロデッキを含む3ドアハッチバックが廃止され、4ドアセダンに統一。エクステリアデザインは3代目からのキープコンセプトだが、ボディサイズは5ナンバー枠ギリギリまで拡大。全長4680×全幅1695×全高1390mm、ホイールベース2720mmとなった。そしてアメリカ製のUSアコード(逆輸入)としてセダン、ステーションワゴン、クーペが加わったのがこの世代である。
  5代目となったアコードは、主力市場の全米自動車安全基準に適合すべく、ボディサイズを拡大。全長4675×全幅1760×全高1410mm、ホイールベース2715mmの、日本における3ナンバー車となった。
  クーペとステーションワゴンはアメリカからの逆輸入で、USアコードと称された。前期型と後期型の見わけ方はフロントグリル。ボディ同色なのが後期型である(筆者はこの世代のUSアコードワゴンを2台乗り継いだゆえ詳しい)。
  1997年にデビューした6代目はアコードとして初の世界共通のプラットフォームを採用。その上で、各地域に適したサイズ、商品性で生産、販売されることになった。結果、4代目以前と同様に、日本仕様は5ナンバーサイズに戻されている。
  ラインアップはセダンと国内生産のステーションワゴンの2タイプ。クーペは日本では発売されなかった。パワーユニットは1.8リッター、2リッター、2.2リッターが揃い、220馬力を誇ったユーロRというスポーティグレードも存在した。
  2002年に発売された7代目は、アコードとして3度目の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。その日本仕様は嬉しいことに(!?)欧州仕様と統合。3ナンバーサイズになったのはともかく、走りもまた欧州基準となったのが目玉。エンジンは2リッターと2.4リッターが用意されていた。
  装備面でも大きく充実したのがこの世代である。また、スポーツグレードとしてこのモデルにもユーロRを設定。2リッターエンジンは特別なチューニングが施され、専用6速MTと組み合わされている。ただし、この時代から日本におけるセダン、ワゴン需要は低迷。販売台数も振るわなくなっていた。
  アコードが一気に大きく、豪華に、高級になったのが2008年に誕生した8代目である。セダンとワゴンがあり、セダンのボディサイズは全長4730×全幅1840-1850×全高1440mm、ホイールベース2705mmとなった。操舵力アシスト機能のモーションアダプティブEPSが搭載されたのはこの世代からである。
  9代目、10代目はアメリカ、中国などの地域で先に販売された後に、日本導入となった。日本市場のセダン離れはこのときすでに顕著で、燃費性などに優れたクルマであったが、思うようにセールスは振るわなかった。
  そして、冒頭で紹介した11代目が、ハイブリッド専用車として久しぶりに日本市場に復活したというわけだ。繰り返しになるが、月間計画台数は200台と、数を売る気は……ない。フィットに代表されるコンパクトカー、バカ売れ中のN-BOXに代表される軽自動車、新型となった魅力満点のフリードやステップワゴンといったミニバン、WR-V、ヴェゼルが人気のSUV、いまやスポーティカーとなったシビックが属するハッチバックモデルがホンダの売れ筋モデルである。
  しかし、544.94万円というホンダ車でもっとも高い値付けのホンダ最上級のモデルとして、やはり、レジェンドなきあと、販売台数にとらわれず、ホンダとしてアコードはなくてはならない存在ではないか。黒塗りのアコードなら、役員車としても十分に通用する(!?)かも知れないし……。
  乗れば、感動できるに違いない仕上がりでもあり、サイズが大きそう……と思えても、走り出すとドライバーの手と足のように扱え、サイズが感じにくくなるのも本当なのである。

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