日本の物流システム開発会社が、どうしてヒマラヤ東端の国「ブータン」と出会い、なぜハーブティーブランドを始めることになったのか
株式会社エル・スリー・ソリューションは物流システム開発会社です。関連会社がインドでソーラー発電の定温倉庫を運営していることをきっかけに、隣国ブータンの輸出振興を応援するハーブティーブランド「LAY BHUTAN(レイ・ブータン)」を展開しています。
ブータンはヒマラヤ山脈の東端に位置する人口80万人弱の、九州とほぼ同じ面積の農業国です。憲法において国土の60%以上を森林として維持管理することが規定されていて、国土の72%が森で覆われています。
日本ではGNH(国民総幸福量)という独自の指標で「幸せの国」として有名なブータンですが、近年は世界でも数少ない「カーボンネガティブ実現国」として注目されています。
今回、私達がどうしてブータンと出会い、なぜハーブティーブランドを始めたのか、お話させていただきます。
関連会社が運送・倉庫業としてインド進出をする中で、新たな倉庫用地を探しに、インド西ベンガル州の北部へ
もともとは今年創業100年を迎えた川崎陸送㈱という、主に菓子・加工食品・飲料を扱う運送・倉庫業の関連会社が、インドのシングールにソーラーで温度管理ができる定温倉庫を作ろうということから始まっています。
インドは電気代が高く、停電も多いため、食品ロスが多い国です。そこでJICAの支援を受けて、川崎陸送㈱がインドの西ベンガル州コルカタ郊外にソーラー発電で作った電気をバッテリーに蓄電する農産物用の定温倉庫を建設しました。
運送・倉庫業としてインド進出をする中で、新たな倉庫用地をインドの西ベンガル州で探していました。北部の大きな農産物市場に行くと、どう見てもインド人と顔も違えば、トラックのナンバープレートも違う人達がたくさん仕入れに来ていました。
あれは何の人達?と聞いたところ「ブータン人が仕入れに来ている」と説明を受けました。
ブータンに冷凍・冷蔵倉庫を作ってインドとブータンの間にコールドチェーンを築けば、ブータンの生活レベルは格段に上がる
なぜブータンの人がインドに農産物を仕入に来ているのか?インドとブータンの間に農産物のサプライチェーンがあり、そこには当然倉庫用地もあるだろうと考え、物流的なつながりを調べるためにブータンへ行ってみることにしました。
実際に行ってみるとブータンは国土のほとんどが山なので、野菜やその他生活必需品のかなりをインドに頼らないといけません。ブータンは永らく日本の援助で農業部門を発展させてきましたが、まともな倉庫がなく、肉や魚・農産物は乾燥させて保存する干物が多い。インドからの輸入一辺倒で、輸出は水力発電による電力がほとんどという状況でした。
ブータンはダムを建設せず、川の流れの落差を利用した水力発電を使用しています。電力の自国消費は7%のみで、後は全部インドに輸出。よってインドと違って電気代は安い。ブータンに冷凍・冷蔵倉庫を作ってインドとブータンの間にコールドチェーンを築けば、ブータンの生活レベルは格段に上がるし、ニーズがある。
ブータンの人口は約80万人なので、マーケットとしては大手企業には小さすぎます。だれも競争相手はいないだろうと考えました。
課題は、倉庫用地の確保です。国土のほとんどが山なので平らな土地がなく、山を削って平らにするのはコストが莫大で、建築費用が相当かかってしまいます。(よって、現在も倉庫用地を探しているところです。)
ブータンから輸出できる商品を探そう!香り際立つ、ブータン固有種のレモングラスとの出会い
インドからの輸入品だけを扱っていても、倉庫の取り扱い量は増えません。
”ブータンから輸出できる商品を探そう!”と考え、いろいろ探している中でレモングラスに出会いました。
そのレモングラスは、標高2,500mから3,000m前後のヒマラヤの山中に自生しているらしく、もちろん無農薬。実際に現地で販売されているレモングラスティーを飲んでみたら、香りがすばらしく際立っていて、日本で売っているレモングラスティーとは全く違う味わいを感じました。
後でわかったことですが、ブータン固有種のレモングラスでした。これはいい!と思い、現地の会社と提携して乾燥したレモングラスの葉を輸入。日本用のティーバッグに加工して販売することになりました。
自然環境を配慮したブータンの農業。理念が合致したことでブランド誕生へ
レモングラスの仕入先である現地の会社(バイオ・ブータン社)は200軒以上の農家と契約し、自然環境に配慮しながら、採りすぎることがないよう計画的な収穫を行っています。(上の写真はサステナブルな収穫方法の勉強会の様子です。)
<農家との取り組み>一定量の買い取りを約束サステナブルな収穫方法の基準を指導(写真)必要な道具の提供
私共の「ブータンと日本のサプライチェーンを作る」という考え方と合致したのが、「LAY BHUTAN(レイ・ブータン)」ブランド誕生の大きな柱になりました。
レイ・ブータンの「レイ」はブータンの言葉、ゾンカ語で「から=From」を意味しています。「ブータンから」という意味で、日本の皆様にお届けしたいとの思いから、この名前にしました。
「LAY BHUTAN(レイ・ブータン)」は日本とブータンの友好関係を深め、SDGsを実現する
一般的にブータンは縁遠い存在かもしれませんが、ヒマラヤの山中からはるばるやってきたこの一杯が、ブータンの持続可能な農業を支援し、ブータンから輸出出来る農作物の開拓となり、サプライチェーンの構築をすすめ、国の発展に貢献できればと思っています。
何より、ブータンの豊かな自然の中で育まれたハーブティーは美味しいです!是非お試しください。
販売は自社ECサイトSTORESならびにAmazon、またパリ発のオーガニックスーパー「ビオセボン」で取り扱いいただいています。
SNSでは定期的にブータンの情報も配信していますので、フォローいただけたら嬉しいです。
【情報】
ECサイトSTORES
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