軽より小さいマイクロモビリティは日本で明らかに失敗! 原因は「日本には軽自動車があるから要らない」じゃなかった

2024.06.30 13:00
この記事をまとめると
■日本には軽自動車をベースとした超小型モビリティというカテゴリーがある
■国内で販売されているのはトヨタC+podのみだったが2024年夏に販売を終了する
■日本の超小型モビリティはスタート地点を誤りその後もボタンのかけ違いが続いている
日本自慢の軽自動車をベースに超小型モビリティを作るも……
  EVシフトが勢いを失い、代わりにハイブリッド車が盛り返しつつある現在。そもそも日本では発電のほとんどか火力なので、EVにしてもカーボンニュートラルにならないという主張もある。でもその前に、大事なことを忘れてはいないだろうか。
  そもそもクルマは数ある乗り物のなかでも、ひとりあたりのCO2排出量が多い。原因のひとつが、乗用車の平均乗車定員が平均1.3人であること。
  トヨタ・プリウスのWLTCモードでのCO2排出量は71〜89g/kmなので、間をとって80g/kmとして、1台に1.3人乗っているとすると、ひとりあたりでは61.5g/kmぐらいになる。一方、JR東日本が発表した2020年度の全路線のひとりあたり平均CO2排出量は18g/kmだ。
  それならふたりしか乗れない代わりにボディを小さくしたクルマがあればいい。そういう考えは昔からあって、エンジン車ではスマートやスズキ・ツインなどがあった。ただ、小さな乗り物は短距離移動前提なので、航続距離や充電時間などのEVのデメリットが目立たないいため、最近は電動車が主流だ。
  そのためのカテゴリーもある。軽自動車をベースとした超小型モビリティがそれで、最初は自治体などがシェアリングとして運用する認定制度として導入され、その後、一般の乗用車と同じ型式指定も認められるようになった。
唯一の超小型モビリティであるトヨタC+podも間もなく終了
  ところがこれまで型式指定を取得したのはトヨタC+pod(シーポッド)だけ。そのC+podも、今年の夏に生産を終了するという。せっかく生まれたカテゴリーなのに、一般ユーザーが買えるモデルがゼロになってしまうわけだ。
  昨年11月までのC+podの約3年間の累計販売台数は、約2000台だった。売れなかった理由は、軽自動車の存在もあるけれど、超小型モビリティをその軽自動車をベースに考えてしまったことが大きい。
  そのため、型式指定を取得するには軽自動車ほどのレベルではないものの、衝突試験をパスしなければならない。しかもボディサイズはミニカー(原付3/4輪)と同じ全長2.5m、全幅1.3m以下と余裕がない。C+podが166万5000円からと高価になったのは、この成り立ちが大きい。
  では海外はどうか。日本が制度設計の参考にもした欧州では、L6eとL7eというふたつのカテゴリーがあるが、大事なのはL1e〜L5eは2輪車や3輪車であり、ふたつのカテゴリーはバイクの4輪版という位置付けであることだ。代表格といえるシトロエン・アミの販売台数は、C+pod とほぼ同じ期間で4.3万台と、約20倍にもなる。
  左右のドアを共用とするなどしてコストダウンを図りつつ。ポップに仕立てたデザインの力は大きいし、家電量販店での取り扱い、カーシェアリングでの展開など、積極的な姿勢のおかげもあるけれど、日本よりおおらかな制度ゆえに実現した7990ユーロからという低価格も効いているはずだ。
  残念ながらアミは日本の超小型モビリティの型式指定を取得することはできないし、逆に日本のカテゴリーが軽自動車の小型版である限り、メーカーがどんなに頑張っても、アミのような安くて楽しい乗り物は生まれてこないだろう。おまけに超小型モビリティのルールが改正される気配もない。
  電動キックボードのために生まれたと認識している人が多い特定小型原付は、実際は3輪や4輪も認められていて、コンセプトビークルがいくつか出展されている。これが日本では軽自動車より小さな乗り物というカテゴリーを担うことになりそうだ。
  いまさらこんなことをいってもしかたないけれど、日本の超小型モビリティはスタート地点を誤り、その後もボタンのかけ違いが続いていまに至っているというのが、このカテゴリーを見続けてきた人間の正直な気持ちだ。

あわせて読みたい

「デコチャリ」に「デコバン」に「デコSUV」なんてのもマジでいた! デコトラに刺激を受けた昭和の意外な「デコ車」たち
WEB CARTOP
ホンダがEVシフトにむけて10兆円を投入! 2030年までに7モデルの「0シリーズ」が誕生する
WEB CARTOP
【PAPABUBBLE】キャンディチャームカプセルトイに新作のフルーツ柄ラバーキーホルダーが登場
PR TIMES Topics
廃棄物全体のリユース・リサイクル率は92%に!ボルボ、「サステナビリティレポート2023年」を発表
CARSMEET WEB
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
ベストカーWeb
【八屋】オリジナルかき氷第2弾「とうもろこしとほうじ茶のかき氷」発売
PR TIMES Topics
EVはまだちょっと……ならやっぱりハイブリッド! HV慣れした人でも新鮮味が味わえる新世代ハイブリッド車3台
WEB CARTOP
ベントレーが高性能ハイブリッドシステム搭載の新型「コンチネンタルGTスピード」デビューを予告
webCG
薬味をちょいと作れる薬味おろし発売
PR TIMES Topics
たとえ不人気でもセダンとステーションワゴンには絶対的な価値がある! SUVやミニバンが「取って代われない」存在だった!!
WEB CARTOP
数秒で折りたためる電動バイクを池内博之さんが試乗。しかも「小さッ! 軽っ!」
OCEANS
黒無地Tシャツ専門の「#000T/クロティ」が渋谷・MIYASHITA PARKに復活!想定の3倍を超える売上を記録
PR TIMES Topics
型式指定認証不正で新車販売現場は混乱する……と思ったらそうでもない! コロナ禍以降の「長納期慣れ」で消費者は意外にも冷静だった
WEB CARTOP
ホンダ、EV「0シリーズ」7車種の投入スケジュールが判明
ドライバーWeb
レクサスLBXが絶好調! 日産ノートオーラも売れている! 日本には「高級コンパクト」の潜在需要があり
WEB CARTOP
【イベントリポート】電動モビリティから始まる新しいカーライフを体験「EV:LIFE 二子玉川2024 produced by ル・ボラン」
CARSMEET WEB
気がつけばジワジワと輸入EVトラックが増えている! 「どうする?」日本のトラックメーカー
WEB CARTOP
glafit、Makuakeで史上初の電動モビリティで3回連続1億円突破 & 「NFR-01Pro」が特定小型原付で初の1億円越えを達成※
PR TIMES