N-VAN e:って「モバイルバッテリーパック採用」じゃないのか……って残念がる声! 現実を考えればいまのN-VAN e:が正解だった

2024.06.21 17:30
この記事をまとめると
■ホンダが軽商用EVの「N-VAN e:」を発表した
■一部ユーザーからは「N-VAN e:」に交換式バッテリー搭載を期待していた声がある
■現状ではまだ交換式バッテリーには弱点が多いため「N-VAN e:」のパッケージは妥当
床下に29.6kWhのバッテリーを搭載して航続距離245kmを実現
  2024年10月10日の発売に先んじて、ホンダ初の軽商用EV「N-VAN e:」が発表された。助手席側ピラーレスの大開口が好評の軽商用車N-VANの使い勝手はそのままに、フロア下に29.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載、WLTCモードの一充電航続距離245kmを実現するなど、ゼロエミッションの商用バンとして使える性能を実現。シングルシーター仕様、タンデム2シーター仕様など多彩なバリエーションを用意したことも話題だ。
  N-VAN e:のメーカー希望小売価格は243万9800〜291万9400円。運送事業者であれば一台あたり約100万円のLEVO補助金が期待でき、個人ユースであっても最大55万円のCEV補助金が適用されることを考えれば、ビジネスとしても”ペイできる”価格帯となっている。軽商用車として初めてサイドカーテンエアバッグを装備するほか、軽自動車初の衝突後ブレーキシステム(エアバッグの作動に合わせてブレーキをかけ減速させる機能)を搭載するなど先進安全性についても評価されているところだ。
  外観もよく見ればガソリンエンジン車とは異なるフロントグリルやフロントバンパーとなっている。インテリアでもフル液晶のデジタルメーターやコンテナをモチーフとしたトリムを採用するなど、しっかりと差別化している。名前からN-VANの電気自動車バージョンと思いがちだが、まったく新しいモデルといえるほどの進化を遂げている面もある。
  このように不満の少なそうなN-VAN e:だが、一部からは「あの機能を期待していたのに……」という失望の声もあるという。それこそが「バッテリー交換」機能である。
  2023年のジャパンモビリティショーにて、ホンダブースには「MEV-VAN Concept」と名付けられたコンセプトカーが展示されていた。ボディの基本がN-VANであるところは市販のN-VAN e:と同じだが、「MEV-VAN Concept」は、ホンダが主に二輪で展開している可搬型バッテリー「モバイルパワーパックe:」を電力源として走行できるバッテリー交換型のEVだった。
  しかも、このコンセプトカーをベースにしたバッテリー交換型EVのN-VANは、ヤマト運輸と共同で実証実験も進められている。
現状ではウィークポイントが目立つ交換式バッテリー
  EVのウィークポイントとして充電の待ち時間がある。その点を解消できるソリューションとなり得る「バッテリー交換によってすぐに走ることができるMEV-VANを量産すべきだった」という気もちになってしまうのは理解できる。
  ただし、現時点での実用性という意味では、バッテリー交換型は利便性において優れているとはいい難い。それは航続距離の問題とバッテリー交換にかかる時間と体力が必要という課題があるからだ。
  ジャパンモビリティショーに展示されていたMEV-VANでは、8個のモバイルパワーパックe:を床のカバーを開けて積む方式になっていた。つまり、バッテリー交換は空荷のときしかできないということになる。
  モバイルパワーパックe:は、本質的には原付きバイクのような小型モビリティを前提としたバッテリーであり、その電力量は1パックにつき1314Whでしかない。N-VAN e:の電力消費率は127Wh/kmとなっている。ここから計算すると、おおよそのイメージとしてバッテリー1個で走れる距離は10km強に過ぎない。コンセプトカーのように8個のバッテリーを積んだとしても、せいぜい80kmの航続距離しか期待できないのだ。
  しかも、このモバイルパワーパックe:の重量はひとつあたり10.2kgとなっている。けっして軽いとはいえないバッテリーをガシガシ交換する作業を考えると、万人向けのソリューションとはいえないだろう。
  40km圏内の近距離用途や工場などの敷地内で運用するモビリティであればバッテリー交換型の小型EVを上手に活用できる可能性もあるが、満充電で200km以上を走ることのできるEVに対して「こんな航続距離じゃ使い物にならない」と切って捨ててしまうユーザーが少なからずいる現状では、航続距離が二桁kmのバッテリー交換型EVのニーズがあるとは思えない。
  重さ10kg程度のバッテリーひとつで、100km以上走れるようなテクノロジーが開発されれば、バッテリー交換型EVに商品性が出てくるだろうし、そうした方向での技術開発も期待したいが、現時点の技術レベルからすると、N-VAN e:のように29.6kWhのバッテリーを床下に積むというパッケージは妥当といえる。
  まして、N-VAN e:のバッテリーは水冷式となっている。交換型バッテリーでは難しいレベルの温度管理をすることができるのだから、バッテリー性能を引き出すという点からも正しい選択といえるだろう。

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