電気自動車を満充電にしているのにバッテリー上がりで走れないってどういうこと? EVにもエンジン車と同じ「12Vの補機バッテリー」を積んでいるワケ

2024.10.28 11:40
この記事をまとめると
■ガソリン車と同様にEVにも12Vの補機バッテリーが搭載されている
■始動時には高電圧バッテリー以外の動力が必要だ
■12Vバッテリーが上がってしまうと本体のバッテリーが満タンでも動かなくなる
EVでも補機バッテリーは必要不可欠
  いうまでもなくEVの肝となるのは高電圧の駆動用バッテリーだ。
「kWh(キロワットアワー)」の単位で示されるバッテリー総電力量が大きいほど一充電航続距離は長くできるのはご存じのとおり。また、EVの最高出力というのはモーターの性能も関係するが、バッテリーの出せる能力に左右される。
  ともすれば、EVのバッテリーはエンジン車における燃料タンクのようなものと思われがちだが、じつはエンジンと燃料タンクを合わせた役割をもっているのだ。
  そんな風に、パワフルでバカでかい駆動用バッテリーを搭載しているEVながら、フロントフードを開けると、昔ながらエンジン車でおなじみの12V鉛バッテリーを搭載していることが確認できる。
  どうして12Vバッテリーを別に搭載する必要があるのだろうか? 駆動に使うバッテリーだけではダメなのだろうか?
始動するときには12Vバッテリーのほうが都合がいい
  結論をいえば、モーターを動かすための高電圧バッテリーをシステムオフ時に切り離しておくために起動用に別のバッテリーが必要なのである。
  考えてみてほしい。クルマに乗るとき最初にどんな操作をするだろうか。スマートキーであればドアハンドルに触れたり、リモコンでキーロックを解除したりするだろう。つまり、キーを刺してロックを解除するタイプでない限り、ドアロック解除についても電気を使っていることになる。
  もし高電圧バッテリーだけでEVを動かそうとしたら、常にバッテリーがオンの状態で待機していないとドアを開けることさえできなくなってしまう。それはあまりにリスキーな状態であることは想像に難くない。
  そのため、スタートボタンを押すなどして、システムを起動するまでは駆動用バッテリーはスリープ状態にしている。つまり12Vバッテリーは起動用に使われているもので、EVを走らせるために絶対必要なバッテリーといえる。
  そのほか、EVであってもカーナビやオーディオ、パワーウインドウなどの電装系に分類される補機類の多くは、ほかのクルマ同様に汎用的な設計となっている。基本的にこれらはエンジン車と共通なので、12Vで動くようになっている。そうした部品を共用するためには12Vのバッテリーを積んでおくと都合がいい。そのため、起動用バッテリーには12V鉛バッテリーが使われることが多いのだ。
  勘のいい方なら、ここまで読んでくればおわかりだろうが、12V鉛バッテリーがアガってしまうとEVであっても起動することはできない。ルームランプを点けっぱなしにするなどのミスで12Vバッテリーがアガってしまうと、たとえ駆動用バッテリーが満充電であってもEVは動き出せないのだ。
  実際にEVでもバッテリーがアガってしまうことがあり、そうなると走れないという意外に知られていない。EVユーザーであれば注意したいポイントだ。まあ、そもそも12Vバッテリーが完全にアガった状態になるとドアロックも解除できないので乗り込むことさえできないかもしれないが……。
  ちなみに、EVの12Vバッテリーであっても、他車の元気なバッテリーとジャンプコードでつなぐことでシステムを起動させることはできる。ただし、構造的な問題でEVからエンジン車へ電力供給するようなつなぎ方はできないことは覚えておきたい。

あわせて読みたい

アウディの「Q4 e-tron」「Q4スポーツバックe-tron」によりパワフルな仕様の「45 e-tron」が登場
webCG
パフォーマンス向上だけでなく装備もアップデート! 三菱 アウトランダーPHEVがマイナーチェンジ
WEB CARTOP
戸籍を調べて驚愕! 実際にあった相続トラブル
antenna
映画「007」の劇中に登場したスーパーカーは結局市販されず! 不景気で幻と消えたが爪痕は残した「ジャガーC-X75」
WEB CARTOP
【比較試乗】ボディタイプやパワートレイン、ライバル比較など、さまざまな角度から比較検証。BMWツーリングの最前線に追る!「BMW・i5ツーリング vs 3シリーズ・ツーリング vs 5シリーズ・ツーリング vs メルセデス・ベンツ Eクラス・ステーションワゴン」
CARSMEET WEB
相続にはトラブルがつきもの? 予期せぬ事態への対処法
antenna
クルマの補機バッテリー「鉛蓄電池」はなんと19世紀の誕生! いまでも「現役」な理由と電池の仕組みとは?
WEB CARTOP
【国内試乗】電動化で更なるパフォーマンスを得たアメリカンマッスル「シボレー・コルベットE-RAY」
CARSMEET WEB
紙を消費しない新スタイルメモ「Kaite(カイテ)メモ」リニューアル
PR TIMES Topics
スバルが新たな電動パワートレイン「ストロングハイブリッド」を発表
webCG
最近弱ってきたな……じゃなくて元気だったのに突然死! クルマのバッテリーがいきなりダメになる理由と避けるための対策とは
WEB CARTOP
伝統工芸を未来につなぐ取り組み!職人技を取り入れたネームタグ「LEE」発売
PR TIMES Topics
スバル・クロストレック プレミアムS:HEV EX プロトタイプ(4WD/CVT)【試乗記】
webCG
「スバル・クロストレック」のストロングハイブリッドモデル発売 こだわりの機械式AWD採用
webCG
ジェラート専門店からクリスマス限定フレーバー登場
PR TIMES Topics
【新型車ニュース】スバル「クロストレック」e-BOXER受注開始!383万3500円から
MADURO ONLINE
【プロトタイプ試乗】次世代HEV搭載で燃費とパフォーマンスが大幅アップ!「スバル・クロストレック・ストロングハイブリッド」
CARSMEET WEB
【品川プリンスホテル】Strawberry Garden アフタヌーンティースイーツコース
PR TIMES Topics
カーボンニュートラルとはそもそもなに? EVや水素燃料やe-fuelを使えばいいってもんじゃない難しい課題だった
WEB CARTOP
【試乗】燃費さえよければ……のスバルからついにストロングHVが登場! クロストレックS:HEVは燃費も走りの上質さも爆上がり!!
WEB CARTOP
ヒルトン京都「ストロベリーハーベスト デザートビュッフェ」開催
PR TIMES Topics