ヒットの法則15原則にみるデザイン開発の重要性とは?「Cook Do きょうの大皿」開発当時を振り返りながら、新たなプロジェクトに想いを懸ける。

2024.06.18 14:00
「グローバルで通用する『日本式』マーケティング」はfreebee株式会社の創業者・代表取締役を務める著者・中島広数が、味の素のマーケティングマネージャーとして手がけた数々の商品企画・製品開発の成功体験をベースに書かれたビジネス本です。実際に「 Cook Do きょうの大皿」シリーズが消費者購入価額ベースで50億円に及ぶ大ヒットになったのは、彼が自ら構造化したヒットの法則15原則、つまり①受容性、②実現可能性、③選好優位性、④採算性、⑤社会共有価値の5軸×3要素の形で、開発プロジェクトにノウハウを応用したことが成功の秘訣でした。


今回は、その中でも特に重要と考えられる①受容性=コンセプトが生活者に受け入れられるを掘り下げ、特に原則3の「中身・内容の良さが伝わる外見・デザイン」に対する見解、実際にどのような議論の中でパッケージが作られていったのかを、2011年当時に「Cook Do きょうの大皿」のパッケージデザインを担当した株式会社ラジアンのアートディレクター瀬川さんと、当時の開発状況を振り返りってご紹介します。また、両者がともに手掛ける「葉山コーディアル」の開発ストーリーも合わせてお伝えしたいと思います。
おいしいものを作れば売れる、それって本当?手にとってもらうことが始めの一歩
誤解のないように先にお伝えしておくとと、パッケージ商品であってもレストランであっても、食品産業において「おいしいこと」は間違いなく最重要ポイントです。ただ、それだけではヒットになることはありません。何故か?おいしいかどうかは食べてみないと分からないからです。


鎌倉・湘南には地元で愛される外食の名店で、一見さんには入りにくそうなお店(外見が古い、場所が分かりにくい、オーナーやシェフが気難しそう、等)が結構あります。彼らは長年の歴史の中で「おいしい」「わざわざ行って食べる価値がある」という域に到達したいわば達人です。一方で、これから売り出される新商品、来月開店するレストランはどうでしょうか?おいしいかどうかは最初の1回を獲得しない限り体験してもらえません。これをマーケティング用語では「トライアル獲得」と呼んでいますが、その際には実際に「おいしい」かどうかよりも、「おいしそう」と感じてもらえるかどうかが分水嶺となります。




特にスーパーやコンビニ等で販売される加工食品の場合は、たくさんの商品の中から「おいしそうだな」「食べてみたい」「ちょっと買ってみようかな」と、まずは棚に手を伸ばして取ってもらうことが始めの一歩。それには、外見=パッケージデザインやラベル表示が大事な要素になります。
世界観・食卓の空気感・たっぷり感を意識したデザイン、ワンチームで開発に取り組んだ「きょうの大皿」
瀬川:
「きょうの大皿」は好感度がキーとなる商品です。NHKのきょうの料理をそのまま  パッケージにしたような世界観、食卓の空気感、大皿のたっぷり感というのを頭においてデザインを開発しました。


中島:
そうそう、思い出したけど、あの時は皿とテーブルクロスにめちゃくちゃこだわったよね。豚バラ大根が一番映えるお皿はどれか!って。営業からも要望が出て、同じようなお皿とテーブルクロスの試食セットをつくって、営業マンたちがそれを持って回ってバイヤーに試食提案してくれた。


瀬川:
先方のバイヤーさんにもめちゃくちゃ刺さったと聞きました。商品コンセプトからパッケージデザイン、営業提案まで一貫した意識の統一はとても印象に残っています。


中島:
「きょうの大皿」のコンセプトは、若いお母さん達が「今日の晩御飯はこれよ!」って自信をもって子供達の前に出す感じ。ドーンって。こちら側がイメージし提案している世界に、どんどん色が塗られていく感じだった。


瀬川:
それを一人でやっているわけではなくて、みんなが「ああ、これだよね!」「こうやってみよう!」という感じに、想いが積み重なって出来上がっていきました。そこにアート性が発揮されるすごくいい循環が生まれたんじゃないかなと思います。最終的にはそれがお客様にも伝わったんですから。


中島:
完パケのダミー(入稿直前の確認用ダミー)を見た時に、「これはいける!」という予感がもうすでにありました。僕は常にクリエイターファーストでありたいと思っていて、チームとしてやるんだけれど、デザイナー一人一人、彼ら・彼女らの個性がいかに発揮できるかが大事。そのお膳立てをするのがマーケターなんだよね。だからそもそもデザイナーさんが面白いと思ってくれるテーマじゃないとヒットしないんじゃないかな。


瀬川:
中島さんはいつも「はじまりは仮説」とおっしゃいますが、その仮説構築のタイミングからお仕事に関わらせて頂いて、大変なこともめちゃくちゃ沢山ありましたが、まさに”ワンチーム”の楽しい仕事でした。
相棒としてタッグを組み現在進行中の「葉山コーディアル」プロジェクト
株式会社ラジアンと中島氏のタッグはfreebee株式会社を創業した後も継続。同社で取り組まれているSustainable development projectに瀬川さんとデザイナーの内藤さんを誘い、「葉山コーディアル」のパッケージデザインやシズル写真撮影を担当してもらっています。


瀬川:
中島さんにはいつも「こういう価値を提供するために、こういうものをつくりたい」という明確なイメージがあるんです。


中島:
味の素にいる時は売らなくてはいけない事業規模が大きかったですが、いまfreebeeで手がけている新しい6次産業の仕組み化、その第一号事業である「葉山コーディアル」についても味の素時代の感覚を取り払って、新しいやり方を模索しています。変わらないのはプロに任せる部分はきちんと信頼して任せるやり方。きちんと任せられるだけの事業構想・商品コンセプトをしっかり作るのはこっちの仕事だから、赤紫蘇シロップ立ち上げの時も、この商品を作ろうとおもった背景、葉山とは、いさむファームの野菜の素晴らしさ、プロジェクトの現状課題、、自分の想いをありったけの言葉で伝えたよね。


瀬川:
味の素時代はオリエンシートに沿っての説明でしたが、今回は御大自らたくさん話して頂きました。


内藤:
伺ったコンセプト設計の中で「ターゲット層は感度の高い人」というキーワードがあり、そこを手かがりにいくつかの方向性を提示しました。これが中島さんが考えていることをデザイナーの立場でアウトプットしてゆく作業で、そこから入りました。


瀬川:
安い商品ではないですし、価格に見合った洗練感や上質さも、デザインのトンマナに必要だと考えました。


中島:
すごく綺麗な赤紫色のコンク(濃縮液のこと)ができたんだよーと言ったら、それなら容器はガラス瓶がいい、液体の色をきれいに見せることを優先して、なるべくシンプルなデザインにしたい、と提案してくれたよね。


内藤:
デザインに正解はないのですが”最適解”はあるはずなんです。最適と思われる要素をひとつひとつ探していって、いろいろな立場の人の意見ややりとりの積み重ねでたどり着く、みんなでつくった唯一性みたいなものが最適解なのかなと思います。


中島:
その最適解こそ、パッケージデザインを見ただけでどんな価値なのかを伝える決め手だよね。書籍の中で僕は「納得解」という言葉を使っているけど、見た瞬間に「これだ!」ってなる。だから僕へのプレゼンはいつも一発で決まるよね。


内藤:
方向性はすぐに決めて頂いたんですけど、最後のフィードバックの中でエシカルとかSDGsという言葉が出てきて、地球と一緒に生きていくメッセージを足して欲しいと。それでブラッシュアップの時に「EARTH FRIENDLY」というタグをロゴにいれて、枠で囲ってロゴとしての強度もつけました。


瀬川:
中島さんは直感的にこれを選んだとおっしゃいますが、おそらく、いつも思い描いているものがこのデザインから一番感じられたんでしょうね。


中島:
そうそう。よくぞ分かってくれました、じゃあそれで!となるんだよね。この取材中に最初に提案してくれたイメージボードが奥渋谷だったのを思い出して、先日奥渋谷にあるセレクトショップに営業に行ったらすぐに取扱いが決まったよ。大企業はデザインをコンペにすることもあるけど、最初の事業構想・商品コンセプトつくりの段階からデザイナーにじっくり関わってもらって、1社とワクワクを共有しながらすすめるというやり方の方がいいものができる気がする。
葉山町の柚子や夏みかんにも広げる六次産業スキーム、大好評ながら課題となる賞味期限
実は「葉山コーディアル」は既に第二弾の商品企画にも取り組んでいます。同じく葉山町でたくさん採れる柚子を使った商品。その名も<柚子シロップ>。ラジアンの内藤さんにパッケージデザインや写真撮影のディレクションもお願いし、とても素敵な商品になりました。
しかし、課題が。。自然栽培の柚子の皮ごと使用した商品であればこそ、柚子の皮由来の柚子オイルが劣化しやすく、商品としての賞味期間があまり長く確保できないことでした。


4月限定でテストマーケテイングを実施し、お客様からも好評は頂いたのですが、飲料用のシロップとして商品化するのはハードルがありそうです。原料となる濃縮柚子エキスはとても品質の良いものができたので、ゼリータイプの商品に応用ができないか、24年秋の柚子収穫の季節までにもうひとひねりの開発研究を進めています。
印象に残る飲み物を作りたい、葉山・鎌倉・湘南エリアの海の家を巻き込んだ新しいカクテル「HAYAMA RED」
これから夏本番を迎える葉山・鎌倉・湘南エリア。6月には海の家も立ち上がり、賑やかな夏休みがやってきます。今、片瀬海岸や江ノ島、鎌倉市の海の家も巻き込んで提案しようと企画中の新商品がクラフトジン・トニックウォーター・赤紫蘇シロップを使った新しいカクテル「HAYAMA RED」です。


ハワイのビーチで定番の「BLUE HAWAI」というカクテルがありますが、やっぱり葉山・鎌倉・湘南エリアにも何か印象に残る飲み物をつくりたい。お酒を飲める方にはジン入りのカクテル、お酒を飲まない人にはジン抜きのモクテルで。夏の海岸で水分とミネラルが失われた身体に赤紫蘇の酸味と甜菜糖のほのかな甘味がすーっと染み込み入ります。この夏はぜひ葉山・鎌倉・湘南の海へGO!
取材協力・文/古谷尚子(SOLIS &Co.)




グローバルで通用する『日本式』マーケティング 概要
著者:中島広数
ジャンル:ビジネス書籍>統計・マーケティング
出版年月日:2024年2月1日
判型・ページ数:4−6・212ページ
ISBN:9784800591760
定価:本体1,650円+税
リンク先:
株式会社ラジアン 会社概要
社名:株式会社ラジアン
本社所在地:〒141−0021 東京都品川区上大崎3−14−35山手ビル3F
代表取締役:伊藤元彦
事業内容:ブランド戦略、コミュニケーション設計、CI/BI開発、パッケージデザイン
新聞雑誌、SPツールなどグラフィック媒体における広告販促物の企画制作、展示会イベントの企画制作及び運営、店舗デザイン
設立:1993年11月
HP:
freebee株式会社 会社概要
社名:freebee株式会社
本社所在地:〒248−0006 神奈川県鎌倉市小町2−5−17
創業者・代表取締役:中島広数
事業内容:事業コンサルティング、新事業開発/ソーシャルビジネス推進・支援、事業家人材育成
設立:2018年6月
HP:
<報道関係の方からのお問い合わせ先>
freebee株式会社 TEL:0467−67−5254 MAIL:contact@freebee.style
株式会社ラジアン TEL:03−3449−6231(代表) 

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