伝説のABCトリオってじつはソコまで人気じゃなかった? いま軽2シータースポーツが「コペン」しか存在しないワケ

2024.08.28 13:00
この記事をまとめると
■「軽スポーツカー」と呼べるクルマは現在コペンしか残っていない
■かつて平成ABCトリオが盛況を極めた軽2シータースポーツカーであるが3台の累計販売台数は約6.6万台にすぎない
■軽2シータースポーツカーが盛況となる時代が来ることに期待したい
軽スポーツカーはコペンしか残っていないのはなぜ?
  ニッポンの国民車といえる独自のカテゴリーとして進化してきたのが軽自動車といえる。
  ともすれば「チープで、小さなクルマ」というイメージで括られがちだが、軽自動車は多彩なモデルであふれている。アルトやミラのようなベーシックモデルもあれば、N-BOXやスペーシアのような電動スライドドアのミニバンのようなモデルもある。さらにいえば、ハイゼットやキャリイのようにトラックも存在している。まさにオールジャンル、自動車社会全体を凝縮しているのが軽自動車ワールドなのである。
  当然ながら、そこには「スポーツカー」というジャンルもある……のだが、現在はダイハツが生産する、ダイハツとトヨタで扱うコペン(トヨタ版はGRコペンのみ)しか存在していない。
  日本経済が元気だったバブル期まで遡れば、平成初期にホンダ・ビート、スズキ・カプチーノ、マツダ・オートザムAZ-1(姉妹車スズキ・キャラ)の4モデルが同時に販売されていた。軽2シータースポーツの黄金期があったことを振り返れば、軽スポーツの多様性は失われているようにも思える。
  ご存じのように、1990年代前半に集中的に販売された上記のモデルは、車名の頭文字をとって「平成のABCトリオ」と呼ばれることが多い。「C」がカプチーノ(Cappuccino)に加えてキャラ(CARA)も示しているとすれば「ABCカルテット」と呼ぶべきだろうか。
  いまでも中古車市場ではプレミア価格のついているABCトリオだが、その販売台数は、印象の強さに比べるとごくごくわずかだった。おおよそのイメージでいうと、ビートが3.7万台、カプチーノが2.7万台、AZ-1とキャラは合わせても0.5万台となっている。つまり、合計しても6.6万台ほどしか売れなかったのだ。
コペンとS660の登場で軽スポーツへのニーズは高まっている
  これらのモデルが1990年代半ばで生産を終了して以来、軽自動車には2シータースポーツモデルは消滅していたが、21世紀に復活することになる。平成のABCトリオが話題を集めていた時期には、蚊帳の外にあったといえるダイハツが、このカテゴリーに参戦したのだ。初代コペンの生産を始めたのは2002年のことであった。
  4気筒DOHCターボ、電動開閉式ルーフといった軽自動車としては超高級といえるメカニズムをまとったコペンは、2000年代の軽スポーツシーンで孤軍奮闘。2012年8月に生産終了するまでの間に、輸出仕様も含めて累計6.6万台が生み出された。
  平成のABCトリオの合計と、初代コペンの累計生産がいずれも6.5万台強となっているのは、おそらく偶然ではないだろう。軽スポーツというカテゴリーのモデルを「新車」で購入しようとするユーザー数は、それくらいしか存在しないということを示しているのではないだろうか。
  ちなみに、2015年4月から2022年3月まで販売されたホンダS660の累計生産台数は3万8916台。ほとんどビートの累計生産と同規模であることを思うと、やはり「この手」の軽2シータースポーツを新車で買おうというホンダファンの総数は一定規模なのかもしれない。
  このように、市場がある程度で飽和すると考えると、軽2シータースポーツが登場しては消えていくのも納得できる。
  ただし、悪いニュースばかりではない。2014年に発売され、現在でも新車購入できる唯一の軽2シーターである2代目コペンの累計販売台数は、ダイハツ・ブランドが4万5844台、2019年に追加されたトヨタGRブランドは7412台で、合計5万3256台となっている(2024年7月時点)。
  S660と合わせて、平成の終わりころから令和にかけての軽2シーター市場においてしのぎを削った2モデルで9万台を超えるマーケットを創出したということは、軽スポーツへのニーズは高まっていると見ることもできる。
  もっとも、ダイハツがモビリティショーで示したコペンの未来像は、軽自動車枠を飛び越えたボディサイズで、1.3リッターエンジンを縦置きにしたFRのオープン2シーターとなっていた。コペンが軽自動車を卒業してしまうとなると、軽2シータースポーツは新車で購入できない時代がやってくるかもしれない。
  とはいえ、S660とコペンの相乗効果で軽2シータースポーツに市場規模が10万台レベルまで成長したのであれば、このカテゴリーを見捨ててしまうのはもったいない。一定の空白期間はあるかもしれないが、ふたたび軽2シータースポーツが盛況となる時代となることを期待したい。

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