わずかなエアロの違いでこんなに変わる? しなるホイールで走りがここまで違う!? 「Modulo30周年」試乗会で感じたホンダアクセスの衝撃の実力!!

2024.05.12 17:00
この記事をまとめると
■ホンダアクセスが展開するブランド「Modulo」は2024年で30周年を迎える
■モビリティリゾートもてぎ内の特設コースにて歴代のパーツ装着車を試乗
■ヴェゼルに用意された最新作のホイールをテストする機会も与えられた
Moduloブランドは今年で30周年!
  ホンダ車の純正アクセサリーパーツをリリースし続けているホンダアクセスは、1994年にModuloというブランドを立ち上げた。つまり、今年はちょうど30周年である。当初はアルミホールを製作するのみだったが、1995年に行われた車両法の規制緩和をきっかけに領域を拡大。サスペンションやエアロパーツを排出し続け、いまではModuloXというエンブレムを掲げたコンプリートカーの販売にまで漕ぎつけた。今回はそんなModuloの歴史を駆け足で振り返ってみる。
  Moduloが大切にしてきたのは単なるドレスアップの世界だけではない。じつは走りの質についてもこだわってきた。なかでも特徴的だったのは「実効空力」という開発思想だ。どんな速度域であったとしても、4つのタイヤの接地バランスを崩さずに出して行くというそのコンセプトは、ほかにはない走り味がたしかに存在していた。
  当時の開発者は「四輪で舵を切る感覚」だといっていたことが鮮明に筆者の記憶に残っている。周囲は「ダウンフォースこそがすべて」とばかりに、大きなエアロパーツを盛り込んだクルマが多かった時代であり、それこそが正義だと誰もが思っていた。けれどもModuloのクルマはその逆で、見た目からして大人しいものがほとんどだった。
  その具体例として際立っていたのがFD2型シビックタイプRのエアロパーツと足まわりだった。大きなリヤウイングは外されてダックテールに改められ、フロントもサイドもどこか大人びたデザインに改められていた。足まわりは10mmダウンのローダウンスプリングが組み込まれ、減衰力も調整式となっていた。走れば乗り心地は突き上げがなくなりマイルドに。ドライバーの操作次第でアンダーにもオーバーにもできる懐の深さがあった。
  エアロで抑えつけすぎず、4つのタイヤを動かせる余裕があったということなのだろう。それでも速さを失うことはなく、当時行ったツインリンクもてぎでのテストでは純正のタイムを破っていたほど。
  今回はそんなModuloの出発点となったS2000にまずは試乗する。これはのちにS2000の生誕20周年を記念して作られたものとは違い、発売直後にアクセサリーパーツとして販売されていたものを、当時のオリジナルパーツを集めて再現した車両だ。フロントアンダー、リヤストレーキ、そしてトランクスポイラーの3点を与えている。
  さらに、S2000発売後2年が経過した時に追加販売された、10mmのローダウンを可能とするスポーツサスペンションが装着されている。
  走れば初期型S2000の特徴であるピーキーな動きがかなり調教されており、かなり扱いやすい。当時オーナーだった身からすれば、「これを装着しておけばあんなに苦労せずに済んだか……」と後悔することしきりである。
  ただ、20周年記念のエアロはさらにフロントの接地感もあったし、リヤのコントロール性も高かったことも事実。時代の経過で進化していることを感じさせてくれた1台だった。
  もう1台の振り返り試乗はNSXだ。生誕20周年を記念して2011年に誕生したアイテムは、トランクスポイラーとスポーツサスペンション。それらをワインディングスペシャルとして存在していたタイプSに組み込んだ車両がこれだ。
  走ればオーバーステア傾向が強かった当時のタイプSを上手くニュートラルにした感覚がある。けれども安定しすぎてつまらないわけじゃない。このクルマもまた、ドライバー次第でどうにでも動かせる絶妙なサジ加減を持っていた。
注目の最新ホイールが凄い!
  このように、どのクルマでも一貫している走り味があるところがModuloの凄さだ。
  じつは、これらののちに発表されることになるModuloXでもそれは同じであり、軽自動車のN-BOXやSUVのヴェゼル、そしてミニバンのステップワゴンであっても変わらない。「そんなクルマにこだわりの走りが必要なのか?」と思うかもしれないが、実際にこれらのモデルはいつでも走りやすく質感はいずれも高い。
  ステアリングにはしっかりとした手応えで路面のフィールを与え、リヤからはどっしりとした安定感がシートを通じてドライバーへと伝えられてくる。おかげで、たとえば雪上であっても安心感はかなり高い。フロントのグリップを絶対に外さず、一方のリヤはそれにしっかりとついてくるからだ。走りの質にブランドがある、それがModuloといっていいだろう。
  一体なぜこんな世界観が出来上がったのか?
  それは開発者だけでなくデザイナーやモデラーまでもがテストコースを走って風を感じながら製作してきたからだ。はじめはそんな開発姿勢を納得しなかったらしいが、いかに空力が大切かを確認するために、あえて極端なエアロを製作し乗らせたのが、通称「ぬりかべ」と名付けられたS660の箱だ。
  これに乗ると、時速30〜40kmであってもフロントの接地感がなく、旋回時にはフロントが抜けて行く感覚になる。さらに、横風などの外乱も受けやすいのだ。これは狭い道に突っ込んで行く際に信用できない感覚だ。
  ノーマルに戻すとそれよりも遥かに操舵角が少なく旋回することが可能になりピタリと安定。最後にModuloのコンプリートカー状態にすると、ノーマル以上にステアリングの手応えがしっかりとし、素直にノーズが入って行く感覚になる。
  さらに面白かったのは、定常円旋回時におけるリヤのイン側の空転が減ったことだった。ボディ下部の空気の流れがよくなり、結果としてリヤの浮き上がりが抑えられたということのようだ。恐るべし実効空力である。
  いま、そんな世界観を確立したModuloが、次なる世界を求めて動き出している。
  それはホイールの設計思想の変更だった。ホイールもサスペンションの一部として考えたこのホイールの特徴は、軽量・高剛性であることが正義とされている常識を打ち破り、リムとスポークの剛性をあえて落とすことで、剛性バランスにこだわった逸品だ。
  ホイールがしなることでタイヤの接地面圧を高め、さらにタイヤを使い切ろうというのである。じつはS660 Moduloに装着していたMR-R01でも採用していた手法だったが、マイナーチェンジ後のヴェゼルに対してオプションパーツにラインアップされることが決定した。MS-050と名付けられた18インチがこれだ。
  走らせてみると、ステアリングを切り始めた瞬間からリニアに応答し、そこからさらに切り込んでみても一定した反応が得られることで扱いやすさが高まっていた。ノーマルは微小操舵域の反応が薄く、タイヤが潰れ始めたところから極端にいえば一気に反応してくる感覚。比べてしまうとリニアさは薄い。結果として狭いコースを駆け抜けようとしたとき、MS-050のほうが自信を持って突入できる感覚がある。
  狭いワインディングではこれは嬉しい仕上がりだ。また、後席に乗っていても、ドライバーの操作に常にリンクした動きを感じられるため、遅れて揺さぶられるようなことがないところがなかなか快適。車酔いの心配も少なくなるだろう。
  いまある常識がすべてだと思い込まず、常に走り込んで独自の製品を作ってきたModulo。まだまだ信じられない方々もいるだろうが、乗れば誰もが理解できるであろう世界が存在する。いまでは試乗イベントなどもたびたび行われているようなので、そんな機会があった際には是非ともお試しいただければと思う。そのよさを実感することは間違いない。

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