西屋の茅葺屋根を改修し、再び美しい原風景を取り戻したい!

2024.05.07 18:34
歴史ある温泉地で唯一火災を免れた茅葺の宿。日本人の心に普遍的な懐かしさを呼び起こす古き良き佇まいを、何とか未来に残していきたい。近代化が加速する中、茅葺建築の維持がどんどん難しくなりつつある現状を一人でも多くの方に知って頂きたい。そんな思いから、意を決してクラウドファンディングを立ち上げました。(5月6日追記)おかげさまで開始後わずか6日で目標額100%達成!
皆様の心温まる応援により確かにお応えするべく、ネクストゴールを掲げます!


この度は当館のクラウドファンディングに際し、沢山のご支援・そしてSNS等での積極的な拡散にひとかたならぬご協力を頂き、誠に有難うございます。山奥の古く小さな旅館が初めて挑んだクラウドファンディングですが、おかげさまでプロジェクト開始後、なんとわずか6日目で目標額100%以上を達成することができました!
ひとえに皆様のおかげです。心より感謝を申し上げます。
このクラウドファンディングは、仕様上最初に設定した〆日を途中で変更することができません。目標額を越えても5月31日まではプロジェクトが展開されたままの状態となります。
そこで、以前より構想していた以下の2点を次なる目標として掲げたいと思います。


【ネクストゴール】
①国の登録有形文化財(建造物部門)への登録(※)(目標達成率125%)
※…この登録制度は,近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により,社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたものです。届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるもので,従来の指定制度(重要なものを厳選し,許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものです。(文化庁HPより引用)
これまでは旅館としての文化的機能を単体で担ってきましたが、無事に登録されると、今後の維持管理に確かな「大義」が伴うことになります。
②西屋はじめ山形県内で数多くの設計・古民家再生実績を持つ設計事務所監修のもと、開かずの間だった母屋2階をお客様に広く開放すべくリノベーションの計画を進める
(まだ構想段階なので具体的な費用は定まっておりませんが、端緒としての投資を想定して目標達成率175%)
この母屋内部(2階部分、写真↓)は、江戸時代の建築以来一度もお客様を通したことがない場所です。
かつては従業員の寝泊まり部屋として使われており、今もいくつか小部屋が並んでいます。この昔のままの板の間や空間を活かして、いつかお客様が寛げる場所を造りたいと年初から専門家に相談をしていました。
(茅葺母屋のもうひとつの基部である、母屋の2階部分。)
「日本の古き良き姿をどうか守ってほしい」
「次の100年も変わらない姿でいてほしい貴重な茅葺の佇まい」
「いつか泊まりに行きます」
…これまでに頂いた皆様の温かい応援を胸に刻み、
これからもしっかりと宿の灯を守ってまいりたいと存じます。
引き続き、応援を頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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自己紹介
皆さん、こんにちは。白布温泉・西屋旅館 十九代目女将兼湯守の遠藤央(ひさ)子です。館内全ての温泉管理を預かりつつ、荘厳な大自然のほとりで古い温泉宿を営んでおります。


まずは、どんな温泉地のどんな宿なのか自己紹介をいたします。

◆ 白布温泉と西屋について
(大正時代中期頃に撮影された白布温泉全景。右側が西屋です)

白布温泉は、山形県米沢市街地から南に約20km離れた、西吾妻山の中腹に位置する小さな温泉地です。温泉街のすぐ脇を最上川源流の一つである大樽川が流れ、冬は豪雪、夏は緑深い森に包まれる、たいへん自然豊かな山間の秘湯です。
鎌倉時代末期の西暦1312年に開湯して以来、一度も人の手を経ずに自然湧出し続ける白布温泉は、県内でも屈指の湯量を誇ります。その豊富な湯量を活かした豪快な湯滝が象徴で、江戸時代には、山形市の蔵王温泉、福島市の高湯温泉と共に湯治の名湯「奥州三高湯」と称され、多くの旅人や農閑期の地元住民たちを癒してまいりました。
(在りし日の東屋さん(左)と中屋さん。昭和56年撮影)


白布温泉では、開湯以来「東屋」「中屋」「西屋」という三軒の老舗旅館が営業しております。よく似た名前ですが、血縁関係ではありません。どの宿も築数百年の木造建築と重厚な茅葺母屋を備え、たいへん壮観な景色を誇っていました。

…ところが24年前の3月末、白布を未曾有の大火事が襲いました。


茅葺の建物は非常に火災に弱く、東屋さんと中屋さんがあっという間に全焼してしまいました。
西屋だけが奇しくも火災を免れ、かつての湯治場の面影を唯一留めることとなりました。2007年には米沢市の景観重要建造物第一号にも指定され、旅館という生業の枠を超えて、広く地域のシンボルとしてご愛顧頂きながら今日に至ります。
(かつて中屋さんの本館があった跡地から見た、初秋の西屋。)

このプロジェクトで実現したいこと
『西屋の茅葺屋根を改修し、再び美しい原風景を取り戻したい!』
母屋の中は古い茶の間です。建立された当時(江戸時代)のままの堂々とした太い梁や二基の囲炉裏が残っている上、十数名が一度に入れるほど広く、大変趣のある場所です。かつては先祖の居住部屋として使われていましたが、今も家族の生活スペースの一部&自由に観覧可能な場所として大切に守られています。
傷んでいる茅葺屋根が無事に修復されれば、再び母屋は命を吹き返すことができます。資料館や博物館のような類ではなく実際に人が生活しているこのような佇まいは、時代とともにどんどんその希少性を増しています。訪れる方がいつまでも懐かしい拠り所として安らげるよう、昔のままの姿を次の世代につなげていきたいと考えています。


『旅館の枠に留まらず、多くの皆様が自由に集える地域交流の場として役立てたい!』
(過去に行われたイベントの様子①…茶の間コンサート)
(過去に行われたイベントの様子②…地元の愛好家の方のひょうたんランプ展示会)
私は、この雰囲気抜群の囲炉裏端を誰もが自由に集える素敵な場所にしたいと考えています。年に1〜2回開くのがやっとだったミニコンサートなどのイベントや趣味の展覧会などの公募・開催なども積極的に企画し、現代にはない雰囲気が楽しめるコミュニティーの場にしたいとも考えています。また、ご宿泊のお客様が日頃の喧騒を離れ、夜も静かにお酒を傾けながら憩える場所として活用できるよう、古民家に詳しい専門家の方にも相談を仰ぎつつ、より「生きる空間」になるよう工夫していきたいと思います。


プロジェクト立ち上げの背景
◆ 寿命迫る茅葺屋根!待ったなしの状況
西屋の茅葺母屋は江戸時代後期、今から200年以上前に建てられました。
屋根の修復は、麓に住む職人さんや地域の方々が協力して代々手がけてくださっていました。しかし、最後の職人さんが高齢を理由に現役を引退してからというもの、近隣に直せる人がいなくて大変困っておりました。
2012年、米沢商工会議所からの紹介により、はるばる福島県の大内宿から職人さん集団に来て頂き、建立以来初めて骨組みごと屋根を取り換えるという大掛かりな改修が行われました。
(2012年の大改修の様子①…古い茅を一斉に剥いで屋根を丸裸にしているところ。)
(2012年の大改修の様子②…新しく葺いた茅の先を切り揃えている様子。)


前述の通り、白布温泉は山形でも有数の豪雪地帯にあるため、激しい風雪にも耐えるよう材料の茅が大量に必要です。当時も材料の確保が難航しましたが、職人さんはじめ沢山の地元の方や有志の努力が実り、各地から材料をかき集めることができました。

…あれから12年。屋根は再び寿命が迫っています。
(茅葺屋根の広い範囲に草が根を張ってきている様子。2023年6月撮影)


日の当たる面を中心に草木が目立ち(屋根の表面が腐食して土に還ってきている証拠)始め、軒先の形も少しずつ歪んできました。本当ならもっと早く改修したかったのですが、記憶に新しいコロナ禍の大混乱はじめ、物価やエネルギー費用の高騰、材料になりうる良質の茅がいっとう手に入りにくくなってきている等、どんどん状況は困難になりつつあります。
雪国の厳しい気候に一体いつまで耐えられるだろうか。今度の冬は持つだろうか…
ここ近年は焦る思いで、草の揺れる屋根を見上げる事しかできませんでした。


◆ 自力だけでは改修が非常に困難である
茅葺屋根は旧式の民家の中で一番傷みやすい部分のため、定期的に葺き替えることで長い使用に耐えてきました。かつて日本のそこかしこに茅葺屋根の建物があった時代は、地域全体の相互扶助関係によって農村の生活と同時に葺き替えのサイクルが成り立っていました。西屋も毎年(正面・右側・左側の)1か所ずつを拭き替えてもらい、屋根の機能と茅葺独特の柔軟な通気性を保たせてきました。
しかし、実際に茅葺の屋根を改修するためには莫大な費用の他、上記の通り膨大な量の茅と多くの手間、時間と人手がかかります。
①屋根の材料になる茅が生育する茅場の整備と保護
 …多くは川辺にありますが、護岸工事が進んで茅場がほとんど姿を消してしまいました。
②秋の刈り入れ
  …必要な茅の量の膨大さもさることながら、運ぶ手間も馬鹿になりません。
③ひと冬乾燥させる
 …専用の広い保管場所が必要です。

④葺き替え
 …現在進行形で生活している家の屋根を一時でも無防備な状態にするため、悠長な時間はかけられません。一般民家でも、短期間のうちにのべ百人規模、大きな建物となるとのべ千人以上もの人手が必要とされています。
※葺き替え費用は、400万~規模によっては1000万円以上もかかります。
もはや、自助努力だけでは賄えない負担となってきている現状があります。


◆ 二度と再建することができない法律の規制
24年前の大火事で全焼した2軒の旅館…東屋さんは現代風の真新しい建物に生まれ変わり、中屋さんは元々あった別館を保存しながら、今も各々営業を続けています。しかし、残念ながらかつての素晴らしい茅葺の姿はもう残されていません。なぜなら、茅葺の建物は上記の通り火災に大変弱いという特質から、建築基準法第22条の規定により事実上新築ができないからです。つまり、一度でも手放したり火災で失われたりしてしまったら、二度と再建することはかなわないのです。
(太い梁に支えられた茶の間の天井。横に渡した枕木は、かつて薪用に集めたもの。)
茅葺き屋根のある景色は、地域社会との密接な結びつきで保たれてきました。しかし戦後になって住宅事情が一変し、地方の急速な過疎化が進むにつれ、維持に手間暇かかる茅葺屋根はまたたく間に衰退していきました。今では白川郷や大内宿など茅葺母屋が密集する集落や観光地、あるいは国や自治体の指定を受けた特別な建物など、一部を除いて茅葺屋根の姿をほとんど見かけなくなってしまったのです。

現在の準備状況
 茅葺屋根の修復は、引き続き福島県の大内宿の職人さんに手掛けて頂く予定です。
見積もりは既に頂いており、予算さえ確保できれば、今年のうちに茅刈りをして必要な分の茅を確保し、改修は年明けの2025年に行うこととなります。今年は茅刈りの準備と共に同時進行で工期の設定、人材と足場の確保などの準備を進めます。12年前は骨組みごと全面改修しましたが、今回は丸葺きではなく、差し茅(さしがや…新しい茅と傷んでいない茅を合わせて、主に屋根の傷んだ部分を修復する)という伝統的な方法を採ります。

リターンについて


ご支援をいただいた方には様々な返礼をご準備しております。
1 西屋にお越しになれる距離にお住まいの方
無期限でご利用いただける日帰り入浴券のほか、ご支援いただいた金額に応じて当館の無料宿泊券を提供いたします。
(写真は客室一例です。)

2 遠方にお住まいで、直接のご来館が難しい方
米沢の名産品である米沢牛や、オンラインショップでも大変人気の米織小紋ブランドから、女将選自ら選んだ郷土のお土産を提供いたします。
(米沢牛すき焼き鍋(一例))
3 滅多にない機会!茅葺体験も!!
あなたも一度、ぜひ本格的な屋根葺き体験をしてみませんか?
プロの茅葺職人さんの監修のもと、一緒に作業に加わることができます。
※葺き替えの時期は6月末~7月頃を予定しています。(5月1日追記)
(大内宿の職人さん達による2012年の大改修の様子。)
スケジュール

4月 クラウドファンディング告知
5月1日 クラウドファンディング開始
5月末日 クラウドファンディング終了予定
(夏季) 工期や工程、茅刈り等の段取りと打ち合わせ  
     リターン発送(順次)予定
11月中旬  茅刈り〜保管
2025年6月末〜7月頃  葺き替え作業開始

資金の使い道

葺き替え費用(人件費別):約250万円
返礼:約75万円
手数料(17%+税):約75万円

最後に
日本人の心に普遍的な懐かしさを呼び覚ます茅葺の貴重な佇まいを、次の世代まで残していきたい。
人生という長い旅路を歩むお客様に、いつまでも寄り添える心の原風景のような旅館でありたい。
この機会に、茅葺屋根を取り巻く事情が時と共に厳しくなりつつある現状を一人でも多くの方に知って頂きたい。
そんな様々な思いから、この度クラウドファンディングを立ち上げました。
皆様のご理解とご支援が、昔懐かしい茅葺の姿を未来へと繋げます。
少し大げさな表現かもしれませんが、白布温泉に唯一残る西屋の茅葺屋根は、
地域の歴史や昔の暮らしを今に伝える貴重な財産でもあります。

どうか皆様、力をお貸しください。
何卒よろしくお願い申し上げます。
西屋スタッフ一同。
カメラを前に緊張していますが、みんな働き者の素晴らしいスタッフ達です!

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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