労働時間が制限されるのに5時間も待機……ってこれじゃ荷物が運べない! トラックドライバーの荷待ち問題が深刻すぎる

2024.04.28 20:00
この記事をまとめると
■トラックドライバーの荷待ち時間が問題となっている
■平均は1時間34分で、タイミング次第では5時間も待たされたというケースも
■荷待ち時間が発生する理由や対策について解説する
4〜5時間待たされることも少なくない
  国土交通省によれば、トラック輸送の荷待ち時間は平均すると1時間34分というものだが、実際には4時間、5時間待たされたというケースも少なくない。これは渋滞などで到着時間が読みきれないため、早めに出発して途中での休憩もそこそこに、目的地周辺で時間調整するという状態も含まれているのであろう。
  トラック輸送は、渋滞などのハプニングによって到着までに費やす時間が大きく左右される。にもかかわらず、荷主や荷受け人は時間どおりの到着を望むから、こうした問題が起こるのだ。自分が運転した場合、どれだけ時間が左右されるかわからないにもかかわらず、「トラックドライバーは運転のプロだから」という理由で、無茶な要求を押し付けるという構図ができ上がるわけだ。
  働き方改革に対応するため、政府は「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を作成し、荷待ち時間や荷役時間の短縮も荷主側に求めるとしているが、これはあくまでガイドラインであり、法的拘束力はない。
  そうなると、荷主の自浄努力に期待するしかないのだが、それですむのであれば、こんな問題はハナから起こらないのだから、正直いって期待するのは難しい。
  荷主と荷受け側の連携も薄く、どちらも自分たちに都合のいい時間指定をするために、間に入った運送業者が時間調整のための荷待ちを強いられているのが現状だ。下請けが多重になりやすく、荷主と実際の運送業者との接点が希薄になってしまうのも、現場での状況が掴みにくく交渉が難しい原因となっているようだ。
労働時間の制限により廃業する業者まで出始めている
  それでも2024問題が直前に迫り、いよいよトラックドライバーの労働時間が限られるため、引き受けられる仕事に限りが出てくることになる。中小の事業者のなかには、対応は無理だと廃業するところも出てきている。
  自社の荷物を引き受けてくれるところがなくなってから慌てても遅いから、いまからでも荷主は運送業者と良好な関係を構築していくほうがいいだろう。適正運賃を支払い、適切な配送時間の指定などをすることで信頼関係を築いていくことが、安定輸送につながる。
  いままで下請けに仕事を流してきた元請け運送業者も、下請けが減少してしまうと自社で賄える荷物の量が限られてくる。自社の車両やドライバーを増やせればいいが、そんなに簡単に解決できれば、そもそもこの問題は起こらないのだ。
  下請け構造を廃止して、中小運送業者が連携して仕事をこなすシステムを作ることが、ひとつの解決策となりそうだ。現在でも仕事を融通するシステムは存在するが、それでも1社で完結する仕事ばかりであり、共同配送や中継輸送といった、複数の運送業者で荷物を運ぶシステムを確立させることが必要だ。
  ガイドラインを策定するだけでなく、そうしたシステム作りの後押しをすることも、政府や国土交通省の役割として期待したい。

あわせて読みたい

Shopifyアプリ「プラスシッピング」にヤマト運輸が対応
PR TIMES
〈物流2024年問題〉へ奮闘する公務員たち。知られざる「トラックGメン」の仕事とは?
Wedge[国内+ライフ]
【エチュード】韓国美容系動画クリエイター「チョ・ヒョジン」との第三弾コラボアイテム登場
PR TIMES Topics
ネスレ日本、JR 貨物グループと連携し食品・飲料業界初(※1)の中距離帯での定期貨物鉄道輸送を開始
PR TIMES
(共同リリース)持続可能で強靭な物流ネットワーク構築に向けて4月11日(木)から貨物専用機の運航を開始
PR TIMES
東急の新しいデジタルチケットサービス「Q SKIP」の魅力
antenna
国交省が6月からのトラックの標準運賃8%アップを提言……も法的拘束力なし! それでも苦しいトラックドライバーの救いとなるのか?
WEB CARTOP
2030年には「輸送力」が“34%”低下!?「物流2024年問題」解決のために私たちができることは?
TOKYO FM+
とじるだけで一気にたたまる「Shupatto アンブレラ」登場
PR TIMES Topics
<生活直撃の危機>日本の物流クラッシュ寸前 !「2024年問題」本格化で一体何が起こるのか?
Wedge[企業]
政府が「物流2024年問題」をこんなにも"煽る"事情
東洋経済オンライン
森の恵みと夏の食材が織りなす、夏季限定クッキー缶
PR TIMES Topics
運送会社が望む「脱・手積み手降ろし」! 2024年問題の解決は「パレット積み」と「高速料金割引の拡大」にアリ!!
WEB CARTOP
航空便とDXを組み合わせた「ロジレス便」の試験運転を4月1日より開始します
PR TIMES
“おいしく”環境問題に取り組む!山口県萩市名産「萩の夏みかんプロジェクト」をスタート
PR TIMES Topics
いま大型トラックは小径タイヤが人気! どんどん大径化する乗用車とは真逆のトレンドなワケ?
WEB CARTOP
トラックの高速道路の最高速度を90km/hに引き上げ……ってホントに効果ある? 物流業界関係者からは疑問の声も噴出!
WEB CARTOP
物流現場「8時だョ!全員集合」という悪しき慣習
東洋経済オンライン
「もうトラックは降りる」運転手たちが語る辛さ
東洋経済オンライン