うぉぉぉ! バスなのに線路も走れるだと!? 徳島県で実用化された「DMV」が「少年の夢」感アリアリで胸熱すぎる

2024.04.19 20:00
この記事をまとめると
■DMV(デュアル・モード・ビークル)について解説
■鉄道の線路と自動車道路を走ることができる乗り物だ
■阿佐海岸鉄道が世界初の営業運行を開始した
1962年に国鉄が着手したのがDMVの始まり
  プリウスが発売されて以来、ハイブリッドという言葉がクルマだけでなく広く用いられ知れ渡るようになった。本来、ハイブリッド車は「2種類の動力を組み合わせて利用し走るクルマ」だが、観光用として運用される水陸両用バスのように、「ふたつの異なる要素を併せ持つクルマ」もそう呼ばれることがある。そういった意味で、近年注目を浴びつつあるのが「DMV」だ。
  DMVとは、Dual Mode Vehicle(デュアル・モード・ビークル)のこと。そう、鉄道の線路と自動車道路の両方を走ることができる乗り物というわけだ。開発の歴史は意外にも古く、1962年に当時の国鉄(現JR各社)が、赤字ローカル線のコスト削減・活性化を目指して着手した。しかし、技術的な問題が解決できなかったために実用化には至らなかったのである。それ以前から、似たような車両に「レールバス」というものがあったが、これは車両をバス工法で組み立てた小型の気動車(15m級程度のディーゼルカー)を指しており、道路を走ることはできない。
  DMV開発が再び着手されたのは、2000年に入ってからのこと。ローカル線の多いJR北海道が、その効率化を検討したことに始まる。2004年には日産シビリアンをベースとした試作車が、2009年にはトヨタコースターをベースとした試作車が製作された。最終的に試験営業にまで漕ぎつけたのだが、JR北海道の方針変更(管内鉄道事故多発に関する対策強化が理由)により実用化は見送られることになった。
  しかし、営業用車両ということでなければ、以前から道路/軌道両用車は実用化している。それは「軌陸車」と呼ばれる車両だ。これは、軌道工事やメンテナンス作業などに従事する事業車両の一種で、トラックや建機をベースにして、道路と軌道の両方を走れるように改造したもの。基本的に鉄道の営業時間外に使用され、客を乗せた営業運転は行わないので、踏切や信号といった鉄道設備に連動する必要がない。
  そのため、とりあえず安全に鉄路を走れる装備を備えていればいいため、DMVより実用化が簡単なのだ。
  ちなみにこれ以前には、かつての大日本帝国陸軍が戦闘用車両として、1931年に九一式広軌牽引車、1935年に九五式装甲軌道車を実用化している。
阿佐海岸鉄道がDMVの営業運行を開始!
  現代のDMVの本格営業を実現させたのは、徳島県にある第3セクター・阿佐海岸鉄道だ。同社は国鉄の未成線(阿佐線の一部)を引き継ぎ、阿佐東線として建設・営業を行ってきた。しかし、沿線人口の少なさから開業以来収支が思わしくなかったので、ランニングコスト削減/観光振興&地域活性による鉄道事業のてこ入れを図ろうとして、世界で初めてDMVの本格的な営業開始に踏み切ったのである。
  阿佐東線の終・起点駅にモードインターチェンジ(車両の軌道モード/道路モードの切り替える設備)を設置し、トヨタ・コースターベースの「DMV93形気動車」を3両導入。この車両の軌道における駆動方式は、後輪タイヤ(駆動輪)が線路に接して駆動力を得るという、ユニークな方式を採用している。当初の目論見どおりに耳目を集め、地域の新たな観光資源になっているという。
  ただ、DMVには課題が多いのも事実だ。確かに、鉄道車両に比べると車両や運用に関するコストは下げることが可能だ。
  しかし、
・運用にあたっては、新たな専用設備が必要であること(モードチェンジ設備など) ・運転手に高いスキルが求められること(大型自動車2種免許と動力車操縦者免許のいずれもが必要)
  といった課題を抱えている。阿佐海岸鉄道の場合は比較的導入条件が整っていたようだが、他のローカル線などでは解決しなければならないことが多く、導入へのハードルが低くはないのが実情だ。
  とはいえ、多様性が尊重される社会にふさわしい、「乗って楽しい・見て楽しい未来の乗り物」であることは間違いない。DMVへの今後の発展には、大きな期待が集まっている。

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