GTって名乗るクルマが多いけどそもそもGTって何? じつはスポーツカーとはまったく違うものだった

2024.03.14 13:00
この記事をまとめると
■長距離移動に適したクルマの種類として「GTカー」が存在する
■筆者が思う「GTカー」の定義に近しいモデルも紹介
■国産車にも「GTカー」の素質を持ったクルマを2台挙げてもらった
エンジンに余裕があることがGTカーの大切な要件
  クルマの呼び方のひとつに「GTカー」というカテゴリーがある。GTと聞くと、スポーツカーのようなクルマを想像しがちだが、それは間違い。英語ではグランドツーリング、イタリア語ではグランツーリスモの略、GTとなり、「長距離を快適に走れるクルマ」と解釈するのが正しい。
  ちなみに、VWゴルフにGTIというグレードがあるが、これはGrand Touring Injectionの略で、グランドツーリング性能が注入(Injection)されたゴルフ=ホットハッチという意味になる。VWゴルフにはガチなスポーツモデルの「R」があり、それとは区別される。
  では、「GTカー」とはどんなキャラクター、性能を持つクルマなのだろうか。すでに説明したように、長距離を快適に走れるクルマだから、それなりのサイズでエンジンパワーに余裕があり、乗り心地や静粛性の高さ、長距離ドライブでも疲れない快適性、豪華装備を備えたクルマとされ、スポーツカーに求められる山道やサーキットなどでのハンドリング性能より、高速速走行での直進性、高速コーナーでの安定感が重視されているのが一般的だ。当然、長距離ドライブでは荷物もたっぷり積む必要があるため、トランク、ラゲッジスペースの広さも必要項目となる。なお、乗車定員は2名でも4~5名でもGTカーと名乗ることが許される。
  だから、小排気量のコンパクトカーにGTバッジを付けたグレードは、ある意味、なんちゃって「GT」であり、グランドツアラーではなく、加飾などでスポーティっぽさを演出した「ジィティ」の呼び方の意味でしかないのが一般的だ。ホンダ・フィットにRSというスポーティグレードがあるが、GTとは呼ばず、あえて「ロードセイリング」の略とされている。
  ここで筆者の愛車の中で、GTカーと呼べる1台を紹介すると、バート・レイノルズ主演の1977年にアメリカで制作された「トランザム7000」に憧れて手に入れた、同じTバールーフを持つS130フェアレディ280Z(北米仕様・マンハッタンカラー)がある。フェアレディZというとスポーツカーのイメージだが、とくに2代目のS130系は、北米でも大好評だった、まさにグランドツアラー的スポーティカー、GTカーだったと思う(現在のフェアレディZは純粋なスポーツカーである)。
  もちろん、トランザム7000の映画で、テキサスからアトランタまでの約1450kmを豪快に走りまくる6.6リッター!? イーグルマスクのトランザム(正式にはポンティアック・ファイヤーバード・トランザム)も長距離を快適に走れるグランドツーリングカーに相応しい1台だったはずだ。グランドツーリングカーにオープン、Tバールーフは格好の装備でもあったのだ。
GTを名乗らずともGTカーと呼べる車種もある!
  そのGTカーの代表格といえば、古くはすでに取り上げたS130フェアレディZやトランザムなどがあり、トヨタ・ソアラもGTカーと呼べる性能、豪華さを備えていた。近年ではズバリ、GTの名を冠したメルセデスベンツAMG・GT、マセラティ・グランツーリズモ、同グランカブリオ、BMW8シリーズ、日本車ではレクサスLCなどが代表格だろう。
  また、長距離ドライブに伴う大荷物の積載能力まで考えると、高性能ステーションワゴン、たとえばBMWアルピナのツーリング、アウディS4アバントなどもGTカーのカテゴリーに入れていいかも知れない。
  では、「GTカー」としての資質をおさらいしてみると、長距離ドライブでの快適性が主で、そのためには高速走行で発揮される高性能がまず挙げられ、ゆえにクルージングのしやすさ、速度調整のしやすさ、登坂路や合流での余裕が可能になる。さらに高速クルージングでは絶大なるパワー、トルクから、エンジン回転が抑えられ、入念な遮音、防音対策と合わせた車内の静粛性に寄与。コストをかけたボディ、サスペンションによる乗り心地の良さももちろん提供されることになる。長距離移動は「GTカー」がラク……ということに間違いはない。
  車内の快適性、広さで優位なミニバンにGTグレードがないのは、重心の高さによるところが大きい。やはり「GTカー」を名乗るには、スポーツカーとはやや異なる運転の楽しさはマストであり、高速クルージングでの横風などによる外乱を受けにくい低重心パッケージ=車高の低さも求められるからだろう。
  と、現代の「GTカー」は輸入車を中心に超高価なクルマばかりで、国産車でGTを名乗るクルマは今や絶滅危惧種になりつつある。しかし、GTを名乗らずとも、「GTカー」と呼ぶに相応しい、適度な値段で手に入り、長距離移動も楽々な国産車を紹介すると、まずは434.5万円から手に入るスバル・レヴォーグSTIスポーツEXだ。そして希少なGTグレードを持つグランドツアラーとしては、456.94万円からの日産スカイラインGTなどが挙げられる。
  今ではクロスオーバーモデル、SUV、ボックス型ミニバン全盛の時代だが、荷物をたっぷり積んだ長距離移動の機会が多く、しかし多人数乗車はしない、悪路を走る機会などまずない……というなら、懐かしくもある響きの「GTカー」に着目してみるのもいいかも知れない。もっとも、「GTカー」の存在を脅かす、静かで快適で視界爽快、長距離移動が楽で、意外なほどの安定感、「低重心感覚」を示してくれる、荷物がたっぷり積めるオールラウンダーな高性能クロスオーバーモデル、SUVが台頭し、人気を博している時代でもあるのだが……。

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