起業直後に即終了!を防ぐ“起業家のための冒険の書”「使うことで経営が自然と身につく・学べるアプリ『TheFlow』」をリリースするまで

2024.02.28 08:00
株式会社TheFlowは、「仕事と遊びを融合させる」ことを目指し、コア業務以外の定型業務をなくす(減らす)ためのサービスを提供しています。
2020年8月に創業し、2023年8月にウェブアプリ『TheFlow』をリリースいたしました。
 このストーリーでは、『TheFlow』の開発に至った思いとリリースまでの過程について、お話しいたします。
 弊社代表の若林は、単調な定型業務に耐えられずに、長年勤めた市役所を退職して起業しました。
こう書くといかにも不真面目なようですが、勤務時代はそれなりに勤勉で、期待を上回る成果を上げ、高い評価もいただいていたようです(何度か表彰されていました)。
そもそも市役所に勤めた理由は、大学院での指導教授から「市役所なら暇だから、研究を続けられるよ」と薦められて、下り電車で通える(空いているから)近場の市役所を選んだという意識の低いものだったそうですが、そのわりには長く真面目に勤めたようです。ただし、退職間際までは忙しい職場ばかりだったため、研究を続けることは諦めてしまいました。


市役所では、文書管理や法務、システム導入・運用などの総務系からはじまって、検診の企画・運営や中小企業・就職支援などの業務系まで、多岐にわたる分野で様々な業務を経験させていただきましたが、最後の担当業務は、いわゆる経理業務でした。経理の部署に異動したのは、ちょうどコロナ禍が始まった2020年のことです。


若林は、定型業務がイヤで仕方がないという、まるで公務員に向かない人間でしたが、業務フローの改善や新規システム導入などは得意でした。そのため、現状維持を尊ぶ公務員の中では浮きがちでしたが、その分、多少なりとも業務の効率化を行って組織の役に立てないかと、常に意識していました。
 その中でも経理業務は改善の余地がありすぎるほどあり、「これをなんとかしたい」という思いがふつふつと湧いてくるものでした。経理関係の部署での在籍期間が短く思うような改善はできませんでしたが、今にして思えば、それがアプリ開発のはじまりでした。
人間がやらなくていいことは、システムに任せよう
 経理の仕事には、「単調だけれど間違えてはいけない作業」がたくさんあります。
数字を転記したり、帳票の枚数を数えたり……。大事ではありますが、人間がやる必要は無い作業でもあります。それこそAIに取って代わられる作業でしょう。それらの作業を繰り返す中で、若林の「自分の能力や貴重な人生の時間を、納付書の枚数を数えることに費やしたくない」という思いは強くなっていきました。その思いが若林の起業指向を後押しし、コロナ禍の真っ只中に、弊社が設立されました。


起業の目的は多種多様ですが、若林の場合に大きな位置を占めていたのが、「面白いことがしたい」でした。毎日、納付書を数え、入力作業を繰り返すのが耐えられなくて公務員を辞めたのに、同じような作業に時間を費やしていたのでは何の意味もありません。

「自分も含め、起業家がコア業務に集中できるような仕組みを作る。人間がやらなくていいことは、システムに任せよう」
それが弊社の事業目的になりました。
「日記のように行動を記録するだけで、収支の管理と仕訳ができる!」アプリの開発に着手
  起業すると真っ先に送られてくるのが、会計システムのダイレクトメールです。
会計処理はどんな会社でも必須の業務ですから、当然といえば当然なのかもしれません。ですが残念ながら、ほとんどの起業家にとって、会計はワクワクする業務ではありません。起業準備をしている間に知り合った起業志望の方たちも一様に、「経理は苦手」、「できれば税理士さんに丸投げしたい」と言っていたくらいです。
ただ、起業初期には、税理士さんや経理のアウトソーシングサービスに任せるだけの資金力がないことも多く、また、最初から丸投げしてしまうと、経理の仕組みがわからないままになってしまう、リアルタイムにお金の動きが見えないことに気づかないなどのデメリットもあります。
「できることなら最低限の経理は自社・事業主自身でできるようにしたい」
この思いが原動力になり、アプリ開発を考えはじめました。
簿記の知識もない、経理の経験もない経営者でもできるのは、どのくらいかお金の動きで、最低限知らなければならないことは何かどうすれば習慣づけることができるか

これらを実現するために、インタビューをし、他のアプリを調べ、経理の経験を踏まえて検討した結果がこちらです。

「日記のように行動を記録することで、収入(予定)と支出(予定)の集計ができて、収支の動きがグラフ化され、それが仕訳として出力もできること」
これでアプリのコンセプトができました。
このアイデアを事業計画書にまとめて補助金の申請相談に行ったところ、特許の出願を薦められ、有頂天になった若林は、特許出願とアプリの開発に着手しました。
アプリ開発はトラブル続き! 緊急メンテナンスを繰り返し、初期ユーザーが離れてしまう事態に
ところが、アプリの開発は順風満帆には行きませんでした。
開発費用が調達できず、とりあえず、起業までの準備期間中の経費(創立費等)の管理機能と、起業ToDo管理、起業マニュアル、収入と支出の管理の試用機能に絞った状態で、最初のバージョンを作ることになりました。まずは起業前の方に使ってもらい、フィードバックを得ながら、改良をしていこうと考えたのです。
結論から言うと、それは甘い考えでした。まず、アプリは納期までに納品されませんでした。さらには、機能を絞った状態でもアプリの機能は設計通りに実装されておらず、フィードバックを得る前に初期ユーザーの期待を裏切ってしまったのです。


「納期にアプリが納品されない」というのは、数多のスタートアップが経験している事象のようですが、弊社もその洗礼を受けました。
打ち合わせの議事録は全く作られず、送付した資料は紛失され、担当エンジニアと連絡が頻繁にとれなくなった時点で、「これはダメだ」と気付くべきだったのです。
気付くのが遅れ、また、その後の対応が甘かったために、アプリの初期開発は泥沼に陥りました。
2022年4月28日に機能限定版のアプリをリリースしましたが、バグだらけで緊急メンテナンスを繰り返し、せっかくの初期ユーザーの大半に見限られてしまう結果になりました。このことは今思い返しても辛く、情けなく、申し訳ないとしか言いようがありません。この時のことを戒めに、ユーザー体験を高めて行く決意をしております。


話を戻しますと、アプリがまともに動くようになるまで、1年あまりの時間がかかってしまいました。この間は、若林はほとんどアプリの改修対応にかかりきりで、また、ストレスからか体調を崩し、緊急手術の後、療養生活を送ることになってしまいました。この頃は弊社にとって、地獄のような日々だったといえます。次から次へと、悪いことが起こりました。


アプリの抜本的な改修のために申請した補助金の審査では、「freeeさんから同じようなアプリがもう出てますよね」といわれてしまい、涙をのんだこともあります。実際には、弊社のアプリはfreee様の『起業時代』アプリよりも2か月ほど前にリリースしており、起業前の創立費の管理機能やfreee様への仕訳出力機能も備えた多機能アプリでした(この出力機能については、freee様の許可も得ております)。この時の経験から、ピッチ等では、相手の思い込みを含めて瞬時に逆転するだけの機転と表現力、瞬発力が必要だと学びました。


 開発会社への対応については弁護士に相談もしておりましたが、途中まではともかく、後半からは開発会社側の対応も変わってきたこともあり、できるだけ穏便に決着したいという思いから、争い事にはしませんでした。この判断を「甘い」と言われたこともあります。慎重に判断した結果ですが、この判断が良かったのか悪かったのかは、もう少し後にならなければ分からないでしょう。
多くの方々の助力を得て苦境を脱出! 使うことで経営が自然と身につく・学べるアプリ『TheFlow』をリリース
ただし悪いことばかりが続いたわけではなく、弁護士の先生の的確なアドバイスとご支援により、なんとか苦境から抜け出すことができました。


初期リリース時の機能は正常に動作するようになり、追加機能は、新たに協力いただいた開発会社様に実装していただけました。
率直な感想として、最初の開発会社様と今回の開発会社様では、技術力もその他のご対応も、レベルが違いました。多少の軋轢は当然起こりましたが、トラブルゼロで完了する現場など夢物語でしかありませんので、問題にならない範囲です。
良い方もそうでない方も経験した中でいえることは、どちらに当たるかは「運」でしかありません。
運でしかない中で、良い開発会社と出会えるかどうかで起業初期の難易度がかなり左右されてしまうのは、かなり厳しい現実ですが、アプリ開発を外部に委託しようと考えている起業家は覚悟しておくべきことでしょう。ただしこれはアプリの設計やデザインについてではなく(アプリの基本設計、画面デザインは弊社で担当しています)実装の技術力の問題だったので、今後は変わるかもしれません。生成AIの本格活用で「良い方」の開発会社様の生産性が上がり、市場を席巻してくれるかもしれませんので、そちらに期待するところです。


アプリ開発では技術面以外に、資金面でも課題がありました。
若林の体調が手術後になかなか回復しない中で、収益に繋がる事業活動がほとんどできず、資金難に苦しんでいたのです。
 最終的には、補助金の交付と融資を受けることができ、難局を乗り切ることができました。この時は、商工会議所の担当者の方にも、ずいぶん助けていただきました。何度やんわり「無理」といっても空気を読まずに食い下がり続ける弊社に困っていたかもしれませんが、そんなことはおくびにも出さず、融資が決定した時には一緒に喜んでくださいました。本当にありがとうございます。


手を差し伸べてくれた弁護士の先生、開発会社の社長をはじめ担当者の皆様、補助金のご担当の方、商工会議所の融資ご担当の方……多くの方々の助力を得て、2023年8月10日に、弊社は新たな一歩を踏み出しました。


 日記のように行動を記録することで、収入(予定)と支出(予定)の集計ができて、収支の動きがグラフ化され、それが仕訳として出力もできる「使うことで経営が自然と身につく・学べるアプリ『TheFlow』」をリリースすることができたのです。
人類が定型業務から解放される世界を目指し、「アプリを使っていることを意識させないアプリ」の開発に挑む
起業を目指す全ての人、起業してから組織を固めるまでの全ての起業家が、経理業務などの事務・管理的業務を意識することなくコア業務に集中できるように、『TheFlow』は改良を続けて行きます。


いずれは、より洗練されたシンプルなUIを作り上げ、「アプリを使っていることを意識させないアプリ」の領域に達することを目指します。
それによって、帳簿のない世界、果てはバックオフィス業務そのものがなくなる世界が到来し、人類は、定型業務から開放される未来に一歩近づくはずです。それは仕事と遊びの境目がなくなる世界の入り口です。
今はまだ見果てぬ夢ですが、いつか必ず、人類が労働のくびきからから解放される日が来ると、私たちは信じています。
 『TheFlow』は、そのための小さな一歩です。

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