【試乗】ステアリングとLSDの変更で「ロードスター」の走りが激変! レーシングドライバーに「欲しい!」と思わせるクルマが誕生した

2024.02.21 17:00
この記事をまとめると
■マツダ・ロードスターがマイナーチェンジを実施
■ハーネス関係を新規のものと入れ替えたことにより新機能などが追加されている
■走りの面でもパフォーマンス向上が図られている
マイナーチェンジで別のクルマに!
  世界的人気を誇るマツダ・ロードスターが、2024年モデルとして新たに大幅改良を受けた。 今回、その新型に一般道、ワインディングロードを中心として試乗することができたのでリポートしよう。 試乗グレードはさまざまだが、1.5リッターソフトトップのSグレードVセレクション、さらに2リッターモデルのRSに試乗することができた。
  まず、最初に乗ったソフトトップのVセレクションは、 レザーパッケージで仕上げられ、内装面でのイメージアップが大幅に図られている。 とくに8.8インチナビゲーションモニターが、より従来のものと比べて大型化し視認性を高めるとともに、時代にマッチした装備となっている。
  これらが採用されたきっかけとなったのは、 これから販売される車両に求められるサイバーセキュリティへの対応により、電子機機器プラットフォームやハーネスなどを一新しなければならなかったことによるという。ロードスターも登場して数年経つが、 この新しい法律に則り、ハーネス類のプラットフォームを刷新することが必要となり、CX-60などで使われているものをさらに小型軽量化して採用することになった。
  このハーネスを使用すると、ヘッドライトなどのLED化なども可能となり、 ナビゲーションモニターだけでなく、さまざまな電子機器、 オートクルーズコントロールなども含めて搭載可能となる。時代の進化に応じた近代的なクルマに仕上げられたといえるだろう。
  しかし、今回の注目ポイントはそうした装備面だけの話ではない。 もっとも注目すべきは走行性能に関わる部分で、ひとつにはステアリングギヤボックスをデュアルピニオンの最新仕様としたこと、またスーパーリミテッドスリップデフといわれていたLSDを新開発アシンメトリカルLSDとして採用したことなどによる。
  1.5リッターのソフトトップを採用するVスペシャルセレクションは、走り始めるとすぐにこうした走行性能に関わる部分の改良が大きな効果を発していることが感じ取れた。
  ステアリングが非常にしっかりとした操舵フィールになり、乗り心地も快適になった。走り始めて数十メートル進んだだけで、「お、何かが違うぞ」と感じさせるに十分な質感の高まりを感じ取ることができたのだ。 路面から伝わるステアリングインフォメーションに雑さが消え、 必要な情報が必要な量だけ伝えられるようになった。
  このデュアルピニオンのラックアンドピニオンステアリングシステムは、サプライヤーから供給されるもので、近年登場する最新の国産モデルの多くが採用しているが、 マツダはさらにそのチューニングにこだわり、独自の味付けを施したそうだ。 ラックのケーシング剛性が高まり、またブッシュを廃して車体に直付けしたことでフリクションが低減。さまざまなインフォメーションが正確に伝わり、ステアリング操作に対しても正確にホイールを動かすことができるようになったといえる。
  さらにワンダリングなど轍の影響、外乱などを受けにくくなり、 クルマ全体の剛性が上がったかのように質感の高い操舵フィールを実現することが可能となっている。
  コーナーに進入していく部分になると、今回採用された アシンメトリックLSDが非常に効果的に作動していることがわかる。このLSDは、従来スプリング式の強力なスーパーLSDを装着していたものに対し、新開発の仕組みを採用していて、カムのプロファイルを加速側と減速側で変更することにより、最適な作動差制限を行うことが可能となっているものだ。
  従来、1.5WAYのLSDといえば、減速側を弱くしてコーナー旋回時のエンジンブレーキのかかりをスムースにして旋回性を高める一方で、加速側は強化して駆動力を路面に余すところなく伝えるのが一般的だが、このアシンメトリカルはその逆で、コーナーのターンイン時に強い作動制限力を加え、加速時には弱めているのが特徴だ。
  これはロードスターのパッケージング的に、リヤの荷重が、とくに減速旋回時に抜けて不安定な要素となりうることに配慮し、減速旋回時にはリヤの作動を強め、悪路などでも安定性を高めることを狙いとしている。
  一方、加速時には1.5リッターのパワーはそれほど大きくなく、フリクションによって走行抵抗を発生させないよう、あえて弱めの設定としているのである。 こうしたチューニングによって、街なかでも扱いやすく、また必要なときには駆動力も制動力も十分に引き出せるよう、独特なLSDシステムとして完成させられているのである。
  この新型のステアリングシステムとLSDの装着により、まるでフルモデルチェンジを受けたかのようにロードスターの走りが洗練されたのを見ると、驚くほどの効果があったといえる。
エンジンまわりも改良し出力向上
  今回はほかにも、エンジンが国内用の100RONのハイオクガソリンに対応する制御が加えられ、 3kWというわずかな値ながら出力アップも果たし、 よりリニアなアクセルレスポンスへの対応も可能としている。 また、電子制御に関しては、DSCトラックというモードが追加された。これは単にトラクションコントロールをオフにするだけではなく、たとえばサーキットなどでスピンモードに陥ったときのみ、 DSCを介入させるという、サーキット走行に特化したモードとして追加されるようになった。
  ボタンをワンプッシュするだけで機能させることができ、従来どおりトラクションコントロールのみをオフにすることもできるので、 ロードスターでサーキット走行を楽しむという人には、かなり大きなメリットとして享受されることだろう。
  こうした装備と新しいメカニカルなアイテムによって、ロードスターの走りは本当に成熟の域に達したといえる。 エンジンの出力は必要にして十分以上であり、これ以上のパワーを搭載しても、逆に一般道ではもて余してしまうような、ちょうどいいところを狙った特性となって、バランスのいい走りを支えているともいえるのである。
  次に、ソフトトップのSグレードに試乗する。これは非常にベーシックなグレードであり、新型のLSDも装備しない。ノーマルのオープンデファレンシャルを採用しているが、ステアリングにはデュアルピニオンの最新型を搭載しているので、その効果は十分に感じ取ることができる。また、価格的に低価格が維持されているので、購入しやすいエントリーモデルとしてはちょうどいい存在感として喜ばれるところだろう。
  一方で、リトラクタブルハードトップのRFに試乗すると、ロードスターというクルマに対するイメージがさらに一変する。RFには2リッターのエンジンが搭載され、これが非常にパワフルでトルクフル。パンチ力があり動力性能を圧倒的に高めている。
  ロードスターにパワフルな走りを求めるならば、この2リッターエンジンを搭載するほうがベターだが、 試乗した印象としてはロードスターとはまるでキャラクターが異なるクルマとなっていて、 いささか考え込んでしまうところだ。
  とくにRSはビルシュタインのショックアブソーバーに、ブレンボのブレーキシステムが装着され、タイヤも17インチのものが装着される。これが総じて足まわりをかなり固く引き締めていて、 乗り心地に関してはソフトトップのVセレクションに比べかなりハードな印象を受けてしまうのである。
  動力性能が高まり、またアシンメトリックLSDの採用により駆動力が高まったことにより走行性能が向上。ブレーキングによる荷重変動も大きくなっているため、サスペンションは固くする方向にせざるを得ないような状況となっている。
  サーキットでタイムを縮め、速く走ることを目的とするならば2リッター車が選択肢となってくるが、 日常の使い勝手で実用性能や乗り心地、快適性などトータルなバランスで見るなら1.5リッターモデルのほうがより受け入れられるのではないか、と思う。
  現行ロードスターは、すでに登場から10年以上経ったわけだが、今回の改良により、これまでのなかでもっとも「購入してみたい!」と思わせる1台となったのが、「ソフトトップVセレクション」であった。バランスのよさ、操作性のよさ、さらに装備などの先進&洗練度など、 とても魅力的なオープンスポーツカーとしてバランスのいい存在としてまとめ上げられていることに改めて感心させられたのである。

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