自動車のプロはどうやって愛車を選んでいるのか? ハズさないクルマ選びのコツを聞いてみた

2024.02.21 11:40
この記事をまとめると
■コラムニストがマイカー選びで重視する点を紹介
■山本晋也さんは「代わりの効かない魅力」があることを最優先する
■さまざまな条件を考えるが最終的には「肌に合う」ことを最優先している
ある意味「ライバル不在」が重要
  モータージャーナリストという職業・肩書からは「クルマの評価やチェック、解説をする職業」という姿が思い浮かぶだろう。新車を評論する際には、時代性やターゲットユーザーとのマッチングなど、自分の好き嫌いとは分離して考える職業ともいえる。そんなクルマのプロは、新車を購入する際に必ずチェックしていること・するところはあるのだろうか?
  おそらく千差万別、十人十色だろう。モータージャーナリストは必ず一定の基準でクルマを評価・解析する必要もなく、当然ながらマイカーについては完全に個人のおかれた状況や趣味趣向、好き嫌いで選んでいるはずだ。
  というわけで、モータージャーナリストではなく自動車コラムニストを名乗っている筆者の場合、どんな基準でマイカーを選んでいるかをお伝えしようと思う。
  ちなみに、ジャーナリストとコラムニストの違いについては、著名コラムニストである小田嶋隆氏が『コラムニストとは、取材をしないジャーナリスト』と定義している。この表現について、足で稼いだファクトを伝えることより、自分の感性を重視した文章を書くことを大切にしているという意味では、小田嶋氏の定義は納得であるし、そうしたマインドの持ち主がマイカー選びで重視しているポイントについて語るコラムになると、ご理解いただければ幸いだ。
  結論をいえば、「替えの利かない要素があること」を、マイカー選びにおいて最優先事項としている。
  たとえば、いまの愛車はスズキのエブリイバンなのだが、なぜライバルとなるホンダN-VANやダイハツ・アトレー/ハイゼットカーゴではなかったのかといえば、エブリイにはメーカー純正の2段ベッドキットが設定されていたことにある。
※写真はエブリイワゴン
  そもそも軽バンを選んだ理由は、「気ままな車中泊ドライブを軽バンという限られたスペースで楽しんでみたい」というものだった。そのうえで、「軽バンのプリミティブさを実感できるMTで乗りたい」、「せっかくなら商用車らしくFRがいいな」などの条件を当てはめていったところ、最終的には上記のとおり「純正アクセサリーとして用意されているアルミ&スチール製の丈夫な2段ベッドが設定されている」ことが決め手となった。
  軽バンのなかで、最大4名の大人が横になれるというのは、オンリーワンといえるもので、「替えが利かない」というクルマ選びの最重要条件に合致したことで、エブリイバンを購入することにしたのだ。
  過去の愛車歴を振り返ると、2000年頃に購入したホンダ・インサイト(初代)については、「オールアルミボディかつ、専用設計の3気筒エンジン+ハイブリッド。空力のために後輪をスパッツで覆ったフォルム」という他に類を見ない要素が購入を決断させてくれたと記憶している。
  ここまで振り切れていなくとも、これまで「このクルマでしか味わえない、楽しめない」部分を重視して愛車を選んできたと自負している。その理由はクルマを買ったあとで後悔したくないからだ。
試乗した瞬間に「肌に合う」モデルが存在する
  前述したインサイトのように飛びぬけて特徴的なクルマでない限り、たいていのクルマにはライバルモデルが存在している。自動車メディアでは、そうしたライバル同士の燃費や速さ、寸法に価格などをロジカルに比較して、どちらが優れていると評価しがちだが、そうした条件がクルマの魅力すべてをカバーしているとはいえない。数値では表現しづらい要素もあれば、スタイリングやボディカラーのように好みに左右される要素もある。
  もし、ライバル比較のなかで、どれか一車種にしかないオンリーワンの機能や要素があったとしたら、そもそも比較項目として成立しないともいえる。
  愛車選びにおいても、同様にカタログスペックを比較したり、ディーラー試乗などで乗り比べてみたり、シビアに交渉した価格によってコスパを計算してみたりといった比較をすることだろう。しかしながら、そうしたロジックで選んだクルマでも満足できないことがある。そうしたときに「あっちにすれば良かった」と思わないためには、自分の好みやニーズに合った「替えが利かない」要素を持っていることがポイントになると思う。
  そうした自分だけの評価ポイントとして、意識してほしいと思うのは「クルマとの相性」だ。機械と人間において「肌に合う・合わない」が存在するのは不思議なことだが、個人的には間違いなく「肌に合うクルマ」というのは存在している。
  自分の車歴でいえば、1990年代に乗っていたスズキ・ワゴンR(初代)はまるで体の一部のように扱えるという意味で肌に合うクルマだった。それと似た感覚は現在の愛車であるエブリイバンでも感じているのだが、不思議なのはスズキ車であれば相性がいい、とはいえないこと。2000年代に「泣く子も黙る79万円」のキャッチコピーで話題となった初代スイフトに乗っていたこともあるが、このクルマは最後まで馴染むことができなかった。
  そんな相性の良し悪しは乗った瞬間に感じることも珍しくない。
『コラムニストは取材しないジャーナリストである』を自分に当てはめると、『自動車コラムニストは試乗をしないモータージャーナリストである』となる。そのため、新車試乗をする機会は少なめなのだが、それでも過去に「新車試乗取材においてあまりにも肌に合うクルマだったので購入に至った」というモデルがあったりする。
  具体的には、ホンダのコンパクトミニバン「フリード(現行型・ガソリンエンジン車)」とトヨタ・クラウン(12代目ゼロクラウン、3.5リッターエンジン搭載車)は、まさに肌に合う感じがよすぎて買ったモデルだった。自分に相性がいいクルマというのは、けっしてカテゴリーや駆動方式、メーカーといった要素では判断できないのは、自分のことながらおもしろい。
  その意味では、皆さんが愛車を選ぶ際にも「スポーツカー以外はあり得ない」だとか「利便性からミニバン一択」と、対象を絞り過ぎないほうがいいと思う。広い視野でクルマを見ていくことで自分や家族にとって相性の良いモデルに出会えるかもしれない。

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