積水ハウスグループ「グランドマスト」×研究チーム 高齢者のWell-beingを高める住まいとは?

2024.01.23 15:40
研究チームによる報告説明会の様子(グランドマスト勝どき)


65歳以上の高齢化率が29%を超え、超高齢社会が続く日本。団塊世代が75歳以上となり社会保障費の増大が懸念される「2025年問題」も間近に迫り、健康寿命を延ばす施策がますます求められています。そこで、積水ハウス不動産東京 グランドマストと千葉大学予防医学センター近藤克則研究室は共同研究契約を締結し、「シニア向け住宅における高齢者のWell-beingに寄与する要因の探索」に取組んでいます。その一環として、アンケート調査を行い、グランドマストご入居者様に向けて報告説明会を開催しました。


健康への意識や近居ニーズが高まり、自立型サ高住を選ぶ人が増えている


最初にグランドマストの概要とこの共同研究が始まった経緯をご紹介します。グランドマストは積水ハウスグループの自立型サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、2023年11月現在、東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・兵庫・京都・奈良の都市部に39の施設を展開しています。


居室や共用スペースはすべてバリアフリー設計。各居室には専用のキッチン・バス・トイレが備わっています。
一般的な賃貸物件と異なるのは、コンシェルジュサービスや安否状況把握サービスを提供していることです。また、希望者には食堂ラウンジにて食事の提供も行っており、ご入居者様同士の交流の場にもなっています。
グランドマスト勝どきの屋上庭園。ラジオ体操や、野菜を育てて収穫したりと、ご入居者のみなさまは思い思いに過ごされています


積水ハウス不動産東京株式会社 グランドマスト事業部長の宮本俊介は、「近年、こうした自立型サ高住への期待が急速に高まっている」と話します。


「国土交通省と厚生労働省は、高齢者の住まいの安心を確保するため、2011年からサ高住の設置を推進してきました。そこには“元気なうちに早めに安心な住宅に住み替え、健康寿命を延ばしていただく”という目的もあります。ただ実際には設置されるサ高住の多くが介護型で、“自立型はニーズが少ない”というのがこの業界の定説でした。しかし、コロナ禍を経て健康に対する意識や近居(親世代と子世代が近距離に住むこと)のニーズが高まり、自立型サ高住を選ぶ方が急速に増えています。


グランドマストのご入居者様はセカンドライフを満喫されていて、ご友人やご親戚に入居を勧めてくださる方も少なくありません。そうしたご様子を見るなかで、グランドマストのように都心に立地し、外出の楽しみがあり、かつ日常的に顔見知りの人と話す機会のある住宅で暮らす高齢者の健康・幸福度は高くなるのではないか、と考えるようになりました」。
積水ハウス不動産東京(株)グランドマスト事業部長 宮本俊介




この仮説に関心を示してくださったのが、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授でした。近藤教授は健康長寿社会をめざした予防政策の科学的な基盤をつくるため、全国40市町村・30万人の高齢者を対象にした日本老年学的評価研究(JAGES)を行っています。


今回は、“高齢者が暮らしているだけで健康・幸福になるシニア向け住宅”の要因を探ることを目的にアンケート調査*を実施しました。


グランドマストご入居者の方々は共食頻度が高く、よく笑う


2023年11月13日、東京都中央区にある「グランドマスト勝どき」の食堂ラウンジで共同研究の報告説明会を開催しました。千葉大学予防医学センターから解説に来てくださったのは、特任助教の河口謙二郎先生、井手一茂先生、特任研究員のLINGLING先生、王鶴群先生。グランドマスト勝どきからは10名のご入居者様が出席してくださいました。


「私たちは、“自然と健康になれるコミュニティづくり”をテーマにした研究に取り組んでいます。健康というと食事や運動に目を向けがちですが、実は環境も大きな要因のひとつです。たとえば、孤独・孤立は、1日に15本タバコを吸うのに匹敵するほど健康に悪影響を及ぼすということがわかっています。また、歩きやすい環境に住んでいる方は肥満になりにくいこと、緑が多い環境に住んでいる方はうつなどになりにくいこともわかっています。
環境には住まいも含まれます。家の中の温度差が高いと脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることはご存知の方も多いのではないでしょうか。住まいも心身の健康に影響を及ぼす大事な要素なのです。私たちもその重要性に着目するなかで、グランドマストさんにお声かけをいただき、Well-beingをテーマにして調査を行いました」元気な高齢者が1000人以上入居する自立型サ高住を対象とした調査は世界初で、我々にとっても有意義な調査になっています」(河口先生)


Well-beingとは、肉体的・精神的・社会的にすべてが満たされている状態のこと。わかりやすく「健康・幸福」と言われることもあります。今回の調査ではハーバード大学が開発したアプローチを採用し、「幸福感・満足度」「身体的・精神的健康」「人生の価値・目的」「経済・生活の安定」「密接な社会関係」の各質問項目について0〜10の数字を選んでもらうことでWell-beingを測定したといいます。


次に、研究員の王鶴群先生から今回のアンケート結果を解説していただきました。その一部を抜粋して紹介します。
グランドマスト入居前と入居後の変化を確認する質問では、4割以上のご入居者様が「規則正しい食事」「共食(誰かと一緒に食事をとること)」「外出」「睡眠」「歩く機会」「家族以外の人と話す機会」が増えたと回答していました。
Well-beingの評価項目は、すべての項目において平均値が6以上という結果になりました。「幸福感・満足度」「身体的・精神的健康」「人生の価値・目的」「経済・生活の安定」の項目では7以上です。2022年度に内閣府が行なった生活満足度調査における高齢層の生活満足度の平均は5.63。グランドマストご入居者様の生活満足度が一般よりも高いことがわかります。


アンケート調査からこのような結果が出た背景を「社会関係・グループ活動」から分析。アンケートから、ご入居者様の5割はグランドマスト内に友人・知人がいること、心配事や愚痴を言い合ったり、笑い合ったりする間柄に発展していると推測されることが要因ではないかという仮説が立てられました。
熱心に資料を読み込む報告説明会にご参加いただいたご入居者のみなさま
全体の説明を終えた後は、ご入居者のみなさまとのディスカッションの時間を設けました。複数人から手が挙がり、質問や感想が共有されました。なかには、「近藤先生の著書は以前から読んでいて、今回の調査結果の説明を楽しみにしていた。報告会に出席できなかった人にも資料を配るといいのでは」といった声も。そうした意見を受け、グランドマスト勝どき施設長の浅子立美は「今回の調査結果をより良い施設運営に活かしていきたいと思います」と締めくくりました。
多くの入居者様が、ご自身の体験や意見を共有してくださいました




一度の調査では、「元々Well-being値が高かった/低かった方がグランドマストにご入居された可能性」を排除できません。「グランドマストご入居による変化」をより正確に把握するため、今後もグランドマストでは調査を重ね、今回の数値がどのように変化するかを追っていく予定です。
説明報告会を終え、先生方は「調査に協力してくださった方々に直接結果を報告し、分析や仮説に対するフィードバックをいただくのはなかなかない機会。今後の論文執筆や学会発表に活かしたい」と感想を共有してくださいました。


事業部長の宮本は今回の調査結果と報告会の様子を受け、次のように総括しました。


「まず、100項目を超えるアンケートに対し、6.5割を超える入居者様がご協力くださったことに感銘を受けたと同時に感謝いたします。これは、知的好奇心や貢献意識の高さの表れだと思います。結果も、『グランドマストのご入居者様はご入居されていない方と比べて共食の頻度や笑う頻度が多い』など、現場での感触が数字で表れたと感じています。各地にあるグランドマストを訪問すると、食堂ラウンジでご入居者様同士がリラックスした様子で談笑されている光景を見かけますから。


高齢者の孤食は死亡リスクを高め、よく笑うことは認知症リスクを低下させるという研究があります。アクティブシニア世代の健康・幸福度が上がり健康寿命が延びれば、国の社会保障費も抑えられ、子世代、孫世代に財源を残すことができます。ご本人ご家族はもちろん、めぐりめぐって社会にもいい影響があるのです。今後も調査を重ね、“高齢者が暮らしているだけで健康・幸福になるシニア向け住宅”を追求していきたいと思います」。


*グランドマスト調査概要
調査期間:2023年2月27日〜3月20日
調査方法:全国のグランドマスト入居者を対象としたアンケートによる調査
調査内容:①性別・年齢・要介護度 ②入居後の変化 ③well-beingについて
有効回答数:1,108人(調査票回収率65.2%)


<関連リンク>
グランドマスト:
千葉大学予防医学センター近藤克則研究室:

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