なぜ今、超高齢社会には「シニアの就労」と、そのための「アドバイザー」が必要なのか? 『日本産業ジェロントロジー協会』に協会設立のきっかけと、失敗・立て直しを聞く

2024.01.19 17:00
少子化と超高齢社会を同時に迎え、生産人口減少に悩む日本。シニア世代の労働力は、大きな生き残り策です。令和5年総務省統計局の発表によると、就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.6%と過去最高を占め、増加の一路をたどっています。高齢者就労とその能力活用は、有効な解決策です。とはいうものの、過去の知識や経験の活用方法、加齢を配慮した健康管理、成功体験に対するこだわりの払しょくなど、課題を抱えている企業が多いのが現状です。
その解決策として「社内アドバイザー」を提唱しているのが、日本産業ジェロントロジー協会代表理事の﨑山みゆきです。高齢者自身のみならず、職場マネージャーにまで視点を広げ、シニア人材マネジメントができる「アドバイザー養成講座」を立ち上げました。
今回は、動機と展開、また、予期せず訪れた、自身の身体障がいとの闘いと新型コロナによる講座のとん挫、そして、再度のチャレンジに踏み出した今について、インタビュー形式でご紹介します。
1 全国展開を目指した協会の設立と、資格講座の構築
Q:なぜ、高齢者が働くことに着目したのですか?


A:1980年後半に、会社員として働いていた時、定年が近くなると担当する仕事が減ってゆき、元気がなくなってゆく男性の高齢社員たちを見て「もったいないな…」「気の毒だな」と考えていました。もっと活躍の場があればいいのにと。当時、定年退職サラリーマンの間で、地域デビューという言葉が流行り、ボランティア参加やNPO参加がもてはやされていましたが、会社の能力は評価されません。この理由を研究するために、大学院に進んだほどです。


Q:協会設立に際して高齢者だけではなく、マネージャーにも視点を広げていますね。


A:これも会社員時代でした。40代の課長たちが50代後半の部下に、職場の仕事を与えない、叱らないという風潮に不満を感じていました。変な遠慮をしなくてもいいのにと。仕事をするのに年齢の上下は関係ありません。きちんとマネジメントすべきです。


Q:「産業ジェロントロジー」という語彙と、協会設立の動機をお聞かせください。


A:「ジェロントロジー」とは、加齢による心身の変化を学際的に研究する学問です。心理学・教育学・法律など、様々な分野があります。2001年、社会人大学院生時代に出会いました。教授法において「加齢変化」という視点を得たとき、これだ!と鳥肌が立ったほどの衝撃をうけ、世代間の違いを解くカギを手に入れました。
「産業ジェロントロジー」は、ジェロントロジーの成果を企業の人材マネジメントに活用するものです。例えば、歳を取ると、様々なことができなくなると考えがちですが「結晶性知能」という高齢期になってものびる能力もあります。方や疲労回復力は低下します。若年層とは異なる工夫が、必要になります。このようにジェロントロジーの知見を生かして、人材マネジメントをするのが「産業ジェロントロジー」です。
協会にした理由は、全国展開をしたいという夢からです。「各県庁所在地に支部設立」「一社に一人、産業ジェロントロジーアドバイザー」と意気込んでいました。


Q:なぜ、資格を作ったのですか?


A:理由は二つあります。一つ目は、学習の成果として名乗ること・名刺に書くことができるからです。日本において、資格はキャリアの勲章です。会員の中には、名刺の肩書きとして活用している方もいます。二つ目は、講座のカリキュラムを整えることによって、均一な教育ができるからです。
2 養成講座の展開を蝕んだ新型コロナと自身の障がい 
Q:養成講座の展開は、順調に運びましたか?


A:最初は順調でした。集合形式をとり都内で開催していましたが、関西・中部などからも受講生が来てくれました

ところが、新型コロナの影響で、全く開催ができなくなりました。そこで、イーラーニングに切り替えました。教育事業を手掛けている他の法人の仲間も、受講者が増えるね!と、期待してくれていました。
ところが、これが失敗でした。受講生が激減…。


Q:学習しやすいイーラーニングが失敗の原因ですか?


A:利便性が上がり、喜ばれると考えていました。ところが、受講者の方達は「高齢者雇用」という、今まで経験したことがない課題について、対面で皆の体温を感じながら、意見交換や勉強をしたかったのです。
事業の立て直しには、とても体力が必要です
しかし、この時期に予てからの心臓病が悪化し、全身脱力や意識障害を繰り返すようになり、結果として、身体障がい者になりました。
頑張りたいけれど身体が動かない。
患者会の先輩たちから「頑張ると死ぬ。やめろ」との言葉。
どうしたらいいのかと困惑し、協会を手放そうとまで思いつめました。
3 私を踏みとどまらせてくれた、会員の言葉 
Q:そこまでしても、続けたきっかけがあるのですか?


A:「先生と会わなかったら、うちの会社は高齢者雇用なんてしませんでしたよ」。
法人会員の専務の一言です。この言葉を聞いた時、自分のやってきた仕事の重さと、もう一度チャレンジしようというファイトがわきました。この会社は、若い管理職が「産業ジェロントロジーアドバイザー」の資格取得を通じて、高齢者に対する偏見・差別を払しょくし、働きやすい職場づくりを成功させました。SDGs認証も取りました。


 障がいについては、治ることはありません。やっと、以前の自分と違うということを受容できました。「やり方を工夫すること」で、今までと同じパフォーマンスを上げることを考えています。2024年の春には、しっかりと再スタートをします。


養成講座の失敗から、今一度、養成講座の再開を計画している代表理事の﨑山みゆき。ただ、オンライン教育への流れには逆らうことはできないのではないのでしょうか。チャレンジ中の「新しいやり方」に期待をしています。


一般社団法人日本産業ジェロントロジー協会
東京都文京区水道2-11-5
代表理事 崎山みゆき

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