まるでエラのようなフェンダーでついた名前が「サメブル」! いまや旧車界の「スター」610ブルーバードとは

2023.10.31 13:00
この記事をまとめると
■4代目日産ブルーバードには「サメブル」という愛称がついたグレードがあった
■フロントフェンダーにサメのエラのような装飾がされた「2000GT」シリーズを「サメブル」と呼んだ
■もともとの販売台数が少なく、いまでは高値で取引される人気モデルとなっている
すべての610系ブルーバードを「サメブル」というわけじゃない
  国産の旧車はいろいろありますが、人気があったり、特徴があって個性が強いので愛称で呼ばれるようになった車種がいくつかあります。「ハコスカ」しかり、「ブタケツ」や「ガメラ」しかり。多くは形が特徴的なため、図形や動物がモチーフになっているものが多いという印象ですが、そのなかでもちょっと異質な響きで一度聞いたら忘れられない愛称で呼ばれている車種があります。それが今回取り上げる「サメブル」です。サメがモチーフなのは名前からわかりますが、いったいどんな形をしているクルマがサメと呼ばれるのか? そしてその車種の特徴について話をしていきましょう。
■なぜ「サメブル」と呼ばれているのか?
  今回取り上げる「サメブル」と呼ばれる車種は、日産の「ブルーバード」です。「ブルーバード」という車種自体がいまはもう現行のラインアップからは外されてしまいましたので、若い人のなかには知らないというケースがあるかもしれませんが、この「サメブル」は、1971年発売という50年以上前の車種のため、いまは50代以上の人が知っているかどうかという大昔の車種です。ブルーバードとしては4代目(610系)になり、人気の高い「510ブル」の後継モデルです。
  じつは「サメブル」と呼ばれているのはその4代目ブルーバードのなかでも特別なグレードだけなのです。
  610系ブルーバードは先代の510系からクラスを上にシフトすることにともなってボディサイズが少し大きくなり、車名も「ブルーバードU」と「U」の文字が追加されました。ちなみに「U」の意味は「user(ユーザー)」と「you」のふたつを掛けて付けられたそうです。
  ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、ワゴン、バンの4種類が用意されていました。当初は先代の510系から引き続き、4気筒のL型エンジン搭載車のみでしたが、発売時期の中盤辺りにL型6気筒エンジンを搭載した「GTシリーズ」が追加されました。この「GTシリーズ」の愛称が「サメブル」なんです。
  4気筒モデルの顔つきは、これまでのほかの車種と同じくボディの前面の一面がくり抜かれて、そこにライトとグリル(網またはルーバー状の装飾フレーム)を収めるオーソドックスなデザインでしたが、この「GTシリーズ」は、ボディの面にライトとグリルを直接配置した斬新なデザインを採用しました。
  国産車としてはかなりインパクトのあるデザインでしたが、おそらく当時の日産車がお手本としていたアメ車の影響があると思われます。私見ですが、ポンティアックのGTOあたりがモチーフとしてデザイン案が練られたのではないかと想像しています。いまの車種で言うと、BMWのセダンのデザインに近いと言えば近いでしょうか?
  そして、その特徴的な顔つきに加えて、フロントフェンダーのサイドマーカーの脇とホイールアーチの後ろに、エアアウトレットを模したルーバー状の装飾が加えられました。これはおそらく、6気筒エンジンを搭載したことをアピールするために、ホイールべースが延長されたことで広くなったドアとホイールアーチの間のスペース(サイドスカットル部)に印象的な装飾を足したのだと思われます。
  そうして、その面に直接ライトとグリルを配置した特徴的な顔つきと、フェンダーに施されたサメやエイなどの「軟骨魚類」のエラを思わせる造形が相まって、「まるでサメのようなブルーバードだ」ということから、自然と「サメブル」とよばれるようになったようです。
もともと販売台数が少ないため入手は困難で相場も高め
■「サメブル」ってどんなクルマ?
「サメブル」の誕生の経緯とザックリとした特徴は先に書いたとおりですが、もう少し詳しく話してみましょう。
  まずボディです。元々4気筒エンジンを搭載するように設計されていたシャシーにあとから全長の長い6気筒エンジンを搭載することになったため、ノーズ部のみを延長して対応しました。ドアとフロントウインドウから後ろのパネルはほぼ4気筒モデルの2ドアハードトップと共通です。その結果、「ロングノーズ&ショートデッキ」のクーペ的なスタイルになり、スポーツカーの雰囲気に仕上がりました。
  エンジンは2種類の設定があり、どちらも2リッターのOHC直列6気筒なのは共通ですが、スタンダードの「2000GT」はシングルキャブ仕様で115馬力、上級グレードの「2000GT-X」はSUツインキャブ仕様で125馬力となっていました。
  足まわりはラリーで大活躍した先代の510系からそのまま引き継いだ、フロント:ストラット式/リヤ:セミトレーリングアーム式という構成です。旧車に詳しい人はうっすら気づいているかもしれませんが、ボディ、エンジン、足まわりと、ほぼ「ハコスカ」と同じ構成なんです。
  ただし、ハコスカは6気筒エンジンの搭載が前提の設計で、サメブルが4気筒エンジン搭載が前提の設計と成り立ちが違うため、実際に運転したときのフィーリングや特性は違うようです。以前に聞いたオーナーさんの話では、「ハコスカと乗り比べてみたら(サメブルは)すこし後ろに乗っている感じがした」とのことでした。おそらくノーズが重い重量配分のためにそう感じたのではないかと思います。
■510系と同じくラリーで活躍したの?
  先代の510系ブルーバードは、世界3大ラリーのなかでももっとも過酷なレースと言われている「サファリ・ラリー」などで優勝をしたことで、ラリーの世界大会で戦える高性能なモデルという評判を得ました。後継車種である610系も先代に引き続きラリー活動をおこない、同じく「サファリ・ラリー」でチーム優勝という好結果を残し、ラリーで強いという遺伝子を引き継いだことをアピールできました。しかし、このラリーに参戦していたモデルは、トップグレードの「GT」ではなく、4気筒モデルの「SSS」でした。
  あくまでもそのデータからの推測ですが、6気筒モデルは排気量が大きくパワーで有利な面はありましたが、エンジンの重量が大きく、重心も前寄りになってしまうことで、ハンドリングの面では4気筒に及ばないという判断がされたのではないかと考えられます。
■見たことないけど、入手できるの?
  そんな「サメブル」ですが、写真では見たことはあっても、実物を見たことはないという人が多いのではないでしょうか。それもそのはず、多くの旧車が集まる各地のイベントでも、この「サメブル」はかなりのレア度なんです。もしピカピカにレストアされた「サメブル」が展示されていたら、旧車マニアの人だかりができるでしょう。
  それでも旧車ブームが始まった当初は認知度が低かったこともあって「不人気車」という扱いだったのですが、レア度と、ほかに似たクルマがない特徴的なデザイン、そして改造パーツが豊富なL型6気筒エンジン搭載という点が徐々に注目されるようになり、いまでは人気がうなぎ登り。しかも数が少ないという条件が相まってけっこう高い額で取引されている様子です。

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