キユーピーは食育活動の一環として、20年以上前から小学生を対象に夏休みの自由研究を募集しています。毎年届く作品に私たち従業員はたくさんの元気をもらっています。今年は募集するだけではなく、子どもたちが自由研究を楽しく進めるためのサポートを目的に「自由研究お助けガイド」を新設しました。どんな思いで制作したのか、携わった3人に聞きました。
「自由研究お助けガイド」
子どもたちの“もっと知りたい”を育む、食育コンテンツ『食生活アカデミー』
-キユーピーの自由研究は、もともと企業サイトの食育活動サイトで掲載・募集をしていましたが、2021年7月に新設した『食生活アカデミー』サイト内に移設をしました。『食生活アカデミー』を立ち上げたきっかけや目的は何だったのでしょうか。
広報・グループコミュニケーション室 野村 有貴(のむら ゆき)
野村:キユーピーはグループの長期ビジョンとして策定した「キユーピーグループ 2030ビジョン」の中で“子どもの笑顔のサポーター”を掲げ、未来を創る子どもたちの心と身体の健康を、食を通じて応援していくことを目指しています。そのビジョンに向けて、私の担当しているホームページでも何かできることはないかを考えました。そこで、企画したのが『食生活アカデミー』です。
子どもたちが将来にわたって心と身体の健康を維持し、生き生きと暮らすためには、食生活に関する良質な情報に触れることが大切です。『食生活アカデミー』では、学習指導要領や教科書(小学校家庭科、中学校技術・家庭(家庭分野))に掲載されている情報に基づきながら、子どもたちが食についてより楽しく学べる情報を、キユーピー独自の知見も交えながら発信しています。
『食生活アカデミー』開設から3年目を迎える今、見えてきたもの
-『食生活アカデミー』立ち上げから3年が経ちましたが、何か分かってきたことはありますか。
野村:立ち上げ後は、サイトの閲覧傾向などを検証しながら、季節や時流にあった、食にまつわる話題を取り入れるなど内容の充実を進めています。近年、学習にも取り入れられているSDGsについては「食」を切り口に身近な事例を分かりやすく解説しています。
昨年、小中学校の先生にお話を伺う機会がありました。その時に印象的だったのが「毎日のお昼を菓子パン一つで済ませる子もいて、栄養バランスが心配」「カレーライスがどんな食材からできているか知らない子がいて、もう少し食に興味をもってほしい」など、子どもたちの食生活を心配する声でした。話を伺った時期がコロナ下だったこともあり、黙食や調理実習の中止など、食に関する教育の機会が少なかったのも一因だと思いますが、子どもたちの食に対する意識が希薄になってきていると感じます。「もっと食に興味をも
ってもらえないか」と改めて強く感じた瞬間でした。
保護者にとって「自由研究」は、夏休みの悩みごとだと知ったから
-どうして「自由研究お助けガイド」を制作しようと思ったのですか。
野村:「キユーピーの自由研究」は、毎年夏休み期間中に作品を募集しています。テーマは食に関することであれば何でも受け付けています。その理由は子どもたちの好奇心や興味・関心を限定したくないからです。かつては、絵日記やイラストなども多く届いたのですが、ここ数年は、起承転結がしっかり組み立てられた大人顔負けの作品も多く見られます。作品の変化から、時代とともに学習の内容が進化していると感じます。一方で「自由研究はテーマ選びが大変」「子どもが一人で取り組めないから、保護者の助けが必要」といった保護者の皆さんの悩みをSNSなどで多く目にしていました。そこで、保護者の皆さんの夏休みのお悩み解決に一役買うことはできないかと考えたのが「自由研究お助けガイド」制作のきっかけです。キユーピーの研究開発本部で日々研究をしている従業員に協力してもらい、子どもたちが自主的に自由研究に取り組むためのサポートをするページを新設することにしました。
研究開発本部 大上 明日実(だいじょう あすみ)
大上:夏休みは、子どもたちが自ら考え、挑戦する機会を増やせる期間とも言えますが、
やはり大人のサポートも必要になると思います。とはいえ、大人が一緒に考える時間を作るのはなかなか難しいのではないでしょうか。今回新設した「自由研究お助けガイド」が、子どもたちはもちろん、大人たちのサポート役にもなれたらうれしいです。
研究開発本部 奥田 悠介(おくだ ゆうすけ)
奥田:「自由研究お助けガイド」は基本的な『テーマを決めよう』『準備をしよう』『調査・実験をしよう』『結果をまとめよう』の4つのステップで構成されています。これは、大人になって仕事でも非常に役立つ内容だと思います。子どもの頃から経験しておくと将来にわたっていろいろなことが進めやすくなると思います。
みんな違ってみんないい、十人十色の自由研究
-子どもの頃はどのように自由研究に取り組んでいましたか。
奥田:私は8月末になって「どうしよう!」と慌てて取り組むタイプでした。時間がないととにかく提出することが目的になってしまい、計画も立てられず、テーマもすぐにできるものになっていました。そもそも研究は「深くよく調べ考えることで、知りたいことを明らかにしていくこと」だと今は分かっていますが、小学生の私はそれを理解できていなかったと思います。
大上:私は「困っている人を助けたい」という気持ちが昔から強く、そういったテーマを考えることが多かったです。その経験が大学や今の研究にも生かされています。
野村:私は、最初から「すごいことをしなくちゃ」と思っていたので、そのプレッシャーが大きく、母が最初から最後まで協力してくれていました。自分が親の立場になった今、母の協力はとてもありがたかったと思う反面、負担になっていたかもしれないと感じます。子どもの頃から主体的にできる力を身に付けていればよかったと感じています。
失敗も立派な経験。自由研究を通して自分の意見を伝えられる人に
-自由研究を通じて子どもたちに身に付けてほしい力は何でしょうか。取り組む時はどうな気持ちで臨むとよいですか。
奥田:しっかり計画を立てることを意識してほしいです。私は、香り・味・食感などのおいしさにつながる要素の研究をしています。日々繰り返し実験をしていますが、実験をするまでの計画が重要だと感じています。計画の段階で最終のゴールを決めておくと、そこに向けてどんな方法でやるのか、結果がどうなるかの仮説を組み立てやすくなり、全体の計画ができます。もし、計画通りにいかなかったり、分からないことがあれば、周りの大人たちや友達に相談したり、一緒に取り組んだりすることをおすすめします。自由研究に限らず、普段の生活でも疑問に思っていることがあれば、調べたり、考えたりしてください。それが、将来の「生きる力」につながっていきます。
大上:まずは身構えずにやりたいことをやってみてください。もう一つ大切にしてほしいのは「安全性」です。どうしても実験中は集中してしまうので、周りが見えなくなってしまうことが多いです。自分も周りも安全に取り組めることを前提に計画を立ててください。
最後に、失敗も立派な自由研究であることを、子どもも大人も理解していることが大事です。”失敗したけれど、これが次に生かせる”という気持ちをもっていろいろなことに挑戦してほしいです。
野村:これから仕事の半分以上がAIに置き換わると言われている中、検索して終わりではなく、自分の力で調べて、それに対してどう思ったかを伝えられる力を身に付けてほしいです。
主体的な学び、自分の考えや意見が述べられることが重要になると感じています。「自由研究のテーマを選んだ理由は何か」「なぜ、そうなったのか」など自分の言葉で伝えられるといいですね。
今年の夏休みは「自由研究お助けガイド」を活用して、子どもも大人も前向きに自由研究に取り組んでもらうことを期待しています。「キユーピーの自由研究」への応募もお待ちしています!
夏休みの親子の悩みごと解決の一助に。「キユーピーの自由研究」募集開始。新たに「自由研究お助けガイド」を公開
7月6日(木)から『食生活アカデミー』サイト内にて募集開始