【試乗】レクサスRZプロトは「いい意味で」bZ4X感なし! 五感に訴える上質さと自然な走りが圧巻

2023.03.17 17:00
この記事をまとめると
■トヨタbZ4Xとプラットフォームを共有するレクサスRZに試乗した
■電動化のインパクトよりも人が本当に気持ちいいと思える操る歓びを追求した設定が施されている
■テスト段階のステアバイワイヤも試したが若干の違和感のある設定でさらなる熟成の必要性を感じた
電動モデルでもクルマで走ることの気持ちよさは健在
  BEV専用モデルのレクサスRZがついに登場する。基本的にはトヨタのbZ4Xとプラットフォームを共用するため、どこまで新鮮に感じられるかは疑問だ。チョット上質にしたバッヂチューンではないのか? 実際のところを確認しようと、試乗コースとなった袖ヶ浦フォレストレースウェイに向かった。
  実車を目の当たりにすると、これが本当にbZ4Xの兄弟車なのかと思うほど力強いデザインに圧倒される。きっとそれは写真でも伝わるだろう。
  とくに目を引いたのがタイヤ&ホイールで、フロント235/50R20はbZ4Xと変わらないものの、リヤは255/45R20サイズを装着。ちなみにbZ4Xはフロントと同じである。おかげでドッシリとした見た目の安定感を手に入れている。どうせなら前後ともに太くしてしまえばとも感じられたが、じつはフロントに255を収めると衝突の要件に引っかかるらしく、採用とはならなかったそうだ。
  その前後異サイズのタイヤは見た目だけの話で採用した訳ではなさそうだ。走りのコンセプトを「The Natural」としたRZは、電動化をインパクトとするのではなく、あくまでも人が本当に気持ちいいと思える操る歓びを提供しようと躍起になっている。
  それは4駆システムの「DIRECT4」にも展開されているようで、今回は前後の駆動力配分にもこだわっているとのこと。ターンインの時には75:25、ターンアウトはそこからリヤに積極的に駆動力を配分しようとしている。フロントで引っ張りターンインをさせ、軽快なノーズの入りを狙っているらしい。
  今回は試験車両でその差を感じさせてもらったが、50:50に固定状態(テスト用のモード)ではドッシリとし過ぎてノーズの入りが悪いような感覚。本来の状態はアクセル一定のままステアリングを切り込むと前が引っ張られてスッキリとターンインして行くように思える。そこから派手にアクセルを踏むことが許されない環境だったため、リヤの蹴り出しについては理解できなかったが、事前の説明だとそこからリヤが蹴り出して行くそうなので、きっとリヤの255サイズが活きてくるのだろう。
  ちなみにこの設定、スノーモードがないために雪道が気になるところだが、そこはフロントのスリップとカメラからの情報によって低μ路判定を行い、50:50に近づけて走らせるそうだ。
話題のステアバイワイヤにはさらなる改善を望みたい
  話がのっけから細かくなってしまったが、ほぼ量産仕様となるクルマに乗り換え、再びRZを味わってみると、そのほかにも見どころは満載だった。走り出してまず感じられたことは、大袈裟ではあるが五感のすべてが上質に包まれた感覚だった。手に触れるステアリングの触感は新開発の高触感合皮を採用することで、言い方は悪いかもしれないがまるでモチ肌にでも触れたような感触。
  遮音、吸音にこだわった作り込みを行うことで得られた静粛性に、「ASC(Active Sound Control)」を加えた音は、普段なら鼻につくモーターやインバータの音を心地よく聞かせてくれるから驚いた。
  パワーユニットが発するトルクはインパクトを求めずアクセルにリニアに反応することを心がけている。また、シャシーは周波数感応型のショックアブソーバーを使い、剛性を高めたボディと低重心なプラットフォームの組み合わせによって、とてもフラットに駆け抜けてくれる。アクセルオフをしてもノーズダイブが少なく、安定感満載で減速して行くところも心地いい。「The Natural」をコンセプトと謳うのも頷ける。発進から旋回、そして停止に至るまで自然に流れる所作が納得できる仕上がりだった。
  けれども、ステアバイワイヤだけは正直に言ってまだまだ賛同できるレベルではなかった。振動、ワンダリングなどを発生させずに走れるというメリットがあると聞くが、やはり欲しいのはタイヤからのフィードバックであり、路面からのステアリングインフォメーションなのだ。それを排した作りが違和感をまず覚える。
  また、途中から一気に切れ込むようなセッティングも慣れが相当に必要だと感じた。とくにゆっくりと走るような街中想定のパイロンコースでは突然旋回して行く感じがあり、脳がついて行かない。本コースを少ない操舵角で走る際には違和感が少ないが、たとえばヘアピンコーナーのような場所では意図した以上にタイヤが切れ込むシーンがみられたり、そこから戻すときにもどこまで戻したら良いのか理解しにくかったりと、普通のクルマとはまるで違う。一般的なステアリングの場合、ゆっくり走るときには早くまわし、速く走るときにはゆっくりとまわす傾向だが、これは真逆だから違和感なのだろう。
  さらに、その操舵に対してサスペンションもコンベンショナルなものでは追いついている感覚が薄い。電子制御サスペンションなどと組み合わせればさらなる進化も期待できるか? そんなことが脳裏に浮かんだ。
  いずれにせよ、このシステムはまだまだ市場に投入する気がないようだ。設定に迷いがあると同時に、ステアリングを握る部分の角度についても、まだまだ検討が必要だとも感じているようだ。現状は垂直から18度中心に倒しこむことで、ロングドライブ中にも手を休めることが可能との判断があるそうだ。それ以上入れすぎるとクルマを操る感覚とは違うものになってしまい、逆に立てると大きなものを動かしている感覚になり軽快さがなくなるのだとか。
  どんな最適解を見つけて世に登場してくるのかは楽しみだが、期待するのは「The Natural」を外さないで欲しいということに尽きる。車体全体がやっていたように、数値やインパクトにこだわらず、五感に響く仕上がりを待っていたい。

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