後輪駆動は雪道が苦手……の通説は昔の話!? 苦手と言われてきた理由とイマドキの後輪駆動車の真実

2024.01.29 13:00
この記事をまとめると
■雪道を後輪駆動のクルマで走る行為に不安になる人は少なくない
■オーバーステアに悩まされるが現在は電子制御のおかげで走れるようになってきた
■だからと言って電子制御に頼るのではなく普段の運転から気をつけることが安全に走るコツ
後輪駆動はアクセルを踏むことでリヤが横に流れる可能性大
  雪道を走ることに不安を感じる人は少なくない。ましてやそれが後輪駆動だったらなおのことだ。
  後輪駆動の何が怖いって、それはもうオーバーステアにほかならない。アクセルを踏んでも前に進まずテールスライドして横を向きそうになるあの感覚は、慣れていないドライバーにとっては恐怖以外のなにものでもない。心得のある人なら逆にそれが後輪駆動の楽しみだったりするわけだが、一般的な多くの人にとっては、味わいたくないものであるのはいうまでもない。
  これが前輪駆動だと、アクセル操作が原因でテールスライドすることはないので、その点では恐怖はない。4輪駆動の場合は、後輪も駆動するのでテールスライドが多少は起こるが、前輪でひっぱってくれるので挙動は乱れにくく、後輪のみを駆動するクルマに比べると不安はずっと小さい。
  後輪駆動は発進時にスリップしやすく、そのとき左右にズレそうになる感覚も怖い。グリップの低い路面でアクセルを強く踏みすぎるとタイヤが空転してなかなか前に進んでくれないのは、むしろ前輪駆動のほうが起こりやすいのだが(※理由は後述)、後輪駆動だと前に進み出してからもオシリがムズムズくるのが不安だ。
  後輪駆動でも、エンジンを積んでいる場所によって特性は違ってきて、リヤが軽いFRのほうが、より空転が起こりやすい。リヤを重くしたほうがトラクションがかかるので、トランクに土嚢を積んで走ったとか、公道でやると違反だが、軽トラの荷台に人を載せてスタックから脱出したという話を耳にしたことがある。
  ミッドシップやRRだと重量物がクルマの中心近く~後ろ側にあるのでトラクションはかかりやすいのに対し、テールスライドしてしまうと慣性が大きく働いて、ひとたび横に流れはじめると、その動きがなかなか収まらない。そのままクルッとまわってスピンしやすくなってしまう。
  という感じで、雪道に後輪駆動は向いていない、という既成概念が出来上がったわけだが、じつはそれももう昔の話だ。いまではABSをはじめ、トラクションコントロールもあれば横滑り防止装置もある。この三種の神器があれば、後輪駆動でも雪道をけっこう走れてしまう。
上り坂ではむしろFFより強いことも
  なかでもとくに後輪駆動に有効なのが、トラクションコントロールだ。雪道で後輪を駆動することが要因となって起こるさまざまな現象に対して、アクセル操作が原因で起こるものをトラクションコントロールがあれば払拭することができる。アクセルを踏みすぎて後輪の空転を適宜抑えてくれるし、テールスライドすることがない。
  逆に、トラクションコントロールが効いてパワーをしぼったせいでスタックして進めなくなったようなときには、トラクションコントロールを切ってアクセルを踏み増せば脱出できる可能性が高まる。
  さらに、横滑り防止があれば、アクセル操作だけでなく何らかの原因でテールスライドしそうになっても、4輪のブレーキを個別に適宜つまんで、姿勢を安全な状態に立て直してくれる。また、ABSは駆動方式を問わず、タイヤがロックして舵が効かなくなることを防いでくれるし、かつてはかえって伸びるといわれた制動距離も、最近のものなら人間がコントロールするよりも短く止まれるケースが多い。
  逆に、前輪駆動に対して大きなメリットを感じるシチュエーションがある。それは上り坂だ。前輪駆動だと空転して登れないような勾配でも、後輪駆動ならなんとかなる。そもそもゼロ発進でも、クルマというのは発進時に荷重が後ろに移るので、トラクションがかかりやすくなる。逆に前輪駆動だと、トラクションが抜けやすくなるわけだ。
  最近、ヨーロッパ勢でもともと前輪駆動車が主体のメーカーでも、BEVでは後輪駆動を採用するケースが増えてきたのは、たとえ降雪地でも後輪駆動でも大丈夫というか、むしろメリットのほうが大きいと判断したという事情もあるのではないかと思っている。
  ただし、もちろん4WDには絶対にかなわない。後輪駆動で雪道をドライブすると、電制デバイスが作動していることを示すランプがひっきりなしに点灯しているのに気づく。基本的な特性として、後輪駆動は不安定になりやすい要素を持っていることには違いなく、それがトラクションコントロールや横滑り防止装置があるおかげで、ドライバーは気にせず乗れるようになっているだけ、という言い方もできる。
  いくら電制デバイスがあっても、タイヤのグリップの限界以上の性能を発揮させることはできないのだから、雪道を安全に走るには、まずはとにかくちゃんと止まれる車速で走るのは当然として、アクセルを強く踏むなど後輪駆動が苦手なことをできるだけしないよう心がけたい。

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