2022年で1番売れたクルマはN-BOX! それでもホンダが手放しで喜べない理由とは?

WEB CARTOP
2023.01.23 06:20
この記事をまとめると
■2022年12月の車名別新車販売台数が発表された
■それに伴い2022年の年間新車販売台数も明らかに
■いずれもホンダN-BOXがトップだが、手放しでは喜べない状況だ
2022年もっとも売れたクルマはホンダN-BOX
  自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から軽自動車の2022年12月単月の車名(通称名)別新車販売台数が発表。それとともに2022暦年締め(2022年1月~12月)での年間新車販売台数も発表となっている。
  2022暦年締めで年間もっとも売れたのはホンダN-BOXとなった。N-BOXとトップ争いを行うことも多かったトヨタ・ヤリスは2位となり、以下3位トヨタ・カローラ、4位日産ノート、5位トヨタ・ルーミーとなっている。
  軽自動車のみでは2位となるタントは2022年10月の一部改良以降に猛烈なラストスパートを展開。届け出済み未使用軽自動車店にも、2022年10月以降に新規届け出された未使用中古車が多数展示されるほど、激しいものであったが、年間販売台数では、それまでの不振傾向が災いし、総合ランキングでは6位となっている。
  4位の日産ノートについては、ほかの売れ筋日産車が新規受注停止や新型へのバトンタッチの時期になっていたりして、なかなか思うような販売促進活動ができないなか、唯一納期もそれほどかからない人気車ということで受注が集中したことも大きいようだ。とくに3ナンバー車となるノート オーラは、エクストレイルの新規受注停止に困惑している購入希望者のなかから選ばれることもあり、ノートシリーズの販売台数を押し上げたようである。
  ホンダ・フリードが11位、ライバルトヨタ・シエンタが15位となっている。シエンタは2022年7月にフルモデルチェンジを実施し、その後は納期遅延にも悩まされながらも健闘しているのだが、シエンタより格段に早い納期を売りにしてフリードがシエンタに差をつける結果となったようである。
軽自動車販売ならではの難しさも
  N-BOXのトップというのは嬉しい反面、販売現場では深刻に受け止める声も多い。まずはN-BOXばかりが売れることになり、ほかの新型車の販売状況に少なからず悪影響を与えてしまっていることがある。とくにワリを食っているのがフィットとなるだろう。税制面で有利な軽自動車でしかもスーパーハイト系となるN-BOXでは、それだけでもフィットにはかなり不利に働いてしまう。
  また300万円もあればもっともぜいたくなN-BOXが買えるということで、多人数乗車もそれほどしないからとステップワゴンあたりからの乗り換えも目立っているようである。つまりより高収益が期待できるクルマがなかなか売れにくくなるという弊害があるようだ。
  また、軽自動車は納車後のアフターメンテナンスでなかなか利益を生んでくれないことがある。つまりディーラーでのメンテナンスを受けないというひとも多いのである。さらには、軽自動車ユーザーは軽自動車へ乗り換えるケースが圧倒的に多い。つまり、N-BOXを気に入って、その後ホンダユーザーを継続してもらえたとしても、ずっとN-BOXを乗り継ぐことになってしまうのである。
  トヨタは子会社であるダイハツの軽自動車の一部を“ピクシスシリーズ”として、ダイハツからOEM(相手先ブランド)供給してもらい販売している。しかし、ピクシスを売ったとしても販売実績として判断しないなど、軽自動車販売へ偏った販売にならないように配慮している。また、かつてはスバル360のような名車といえる軽自動車をラインアップしていたスバルは、すでにかなり以前から自社での軽自動車開発をやめ、ダイハツからのOEMに切り換え、登録車開発に集中することで今日の世界的な成功を実現した一助になっているともいわれている。軽自動車販売はまさに“パンドラの箱”を開けることにもなるのである。
  2022年12月単月の結果もN-BOXがトップとなっている。スズキとのブランド別での軽自動車販売を競争していたダイハツは見事2022暦年締めでも総合トップとなっている。その激しい闘いの爪痕をタントの2位が象徴しているように見える。
  登録車のみでのランキングをみると、トップ10のうちトヨタ車が7車入っている。これは、長引く納車遅延の解消のためもあり、生産体制をかなり強化した結果といっていいだろう。事実トップ10に入っている7車中で、カローラシリーズやシエンタ、ノア&ヴォクシーなどは、従来より半年ほど納車予定が早まっているケースも確認できた。シエンタはバックオーダーを何台消化したかを表しているが、ライバルホンダ・フリードの販売台数は純粋な販売台数に近いと言っていいほど短い納期がランキングに大きな影響を与えているのは間違いない。
  登録車ではカローラシリーズがトップとなっているが、これは2022年10月に改良を行ったセダン、ツーリング、スポーツの生産強化が行われた結果のようである。その一方で新規受注停止となっているカローラクロスの生産は完全に停まっていたとの情報も流れている。
  2023年も残念ながら、新車販売の世界は深刻な納期遅延を引きずって年が明けている。生産が本格的に回復したとしても、納車まで1年近く待つ予定の新車はそう珍しくない。膨大なバックオーダーの消化を考えれば早期にいまの深刻な納期遅延が解消されることは望めないだろう。ただ希望的憶測も含め、暦年での後半。つまり10月あたりからは本格的な回復への道筋ぐらいは是非消費者に示して欲しいと考える次第である。

あわせて読みたい

半導体不足も部品供給も改善の兆し! それでも「年単位」の新車の「納期遅延」が解消されないワケ
WEB CARTOP
新型ステップワゴンよりも売れるってナゼ? モデル末期なのに「フリード」が2022年ミニバンNo.1になれた謎
WEB CARTOP
料理家・和田明日香さんに聞く“異彩”を放つことの重要性。Honda ZR-V e:HEVと西伊豆ドライブ旅へ
antenna*
2022年自動車サブスクで人気の新車 3位「ハスラー」、2位「ミライース」、1位は?
ITmedia ビジネスオンライン
スイスポと400Rは4カ月で納車可!! 国産スポーツモデル7台の最前線とは!?
ベストカーWeb
【家族4名分の宿泊券が当たる】フォルクスワーゲン ID.4の試乗&宿泊体験プレゼント
antenna*
新車販売現場ではお客の反応が「いまひとつ」! 将来への不安と納期遅延が「新車購入」に及ぼす影響
WEB CARTOP
N-BOXは総合トップ! フリードはミニバン1位! この販売ランキングの結果はホンダ復調の兆しか?
WEB CARTOP
【愛犬家必見】ペットと行くドライブで役立つ最新&おすすめアイテム
Jeep®
ホンダブランドの「イメチェン」も影響! モデル末期でもバカ売れるする「フリード」の強さの秘密
WEB CARTOP
国産車の「短納期車」をディーラに確認! メーカーによっても車種によっても大きな差があった
WEB CARTOP
Jeep初のバッテリー式電気自動車 "アベンジャー"公開!
Jeep®
トヨタが工場稼働率をアップさせて納期を短縮……も買いたいクルマはそう簡単に手に入らない! 注文すらできない車種もある新車販売事情
WEB CARTOP
【スクープ】ヴァルファイアは存続! ルーミーは「別の後継車」にバトンタッチ!? トヨタ新型車のいまわかっている情報全部出し
WEB CARTOP
【料理家・和田明日香さん】Honda ZR-V e:HEVで巡る、自分らしさを磨く西伊豆ドライブ旅
antenna*
新車購入は「3月がお得」だったのは過去の話! 納期遅延がもたらした「値引き」の変化
WEB CARTOP
モテ要素満載。2022年に売れた日本車トップ10+1
FORZA STYLE
4/7締め切り【豪華ホテル宿泊券が6組に当たる】家族で楽しむフォルクスワーゲン ID.4試乗&宿泊体験
antenna*
2022年ミニバン販売NO.1は意外にもフリードだった!! オーナーが本音で語る「売れた理由」と「不満点」
ベストカーWeb
「切磋琢磨」こそがヒットの原動力!! 宿命のライバル列伝
ベストカーWeb
アメリカとイギリスの音楽は、同じ感情でも違うアプローチになる─Yaffle×亀田誠治が音楽談議
J-WAVE