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本当に価値のあるテクノロジーとは
PR TIMES STORY
2026.10.29 20:13
コンパクト建設機械の高度化・知能化が進むなか、ヤンマーCEのCEOを務める工藤龍氏は、業界には性能そのものだけでなく、その先を見据える視点が必要だと考えている。真に問われるのは、機械の稼働期間全体を通じて、テクノロジーがどれだけのリターンをもたらすかということだ。
最近、工藤龍氏の友人が、二人とも完全には理解できないほど多くのテクノロジーを搭載した高級車を購入した。工藤氏が操作部の一つに手を伸ばすと、友人はすかさず制止した。「いやいや、触らないで!」
この話をすると、今でも工藤氏は笑う。しかし、Yanmar Compact Equipment(ヤンマーCE)のCEOとして、彼はそこに業界共通の課題も見いだしている。機械は今や、ほんの数年前なら驚異的と思われたほど高度な知能化や自動化を実現できるようになった。だが、機能が一つ増えたからといって、必ずしも機械が使いやすくなるわけではなく、価格が安くなることもほとんどない。
工藤氏にとって、コンパクト建設機械の本当のコストは、請求書に記載された金額だけでは測れない。機械を稼働させ、長年にわたって生産性を維持するために必要な費用、そして最初の所有者が手放す際にも、どれだけの価値が残っているかが重要なのだ。「最も重要なのは、総保有コスト(TCO)です」と彼は説明する。「お客様やパートナーがどれだけの費用を負担できるのか。そして、テクノロジーによってコストをどれだけ効果的に削減できるのか、ということです」
この考え方は、豊富な経験に裏打ちされている。日本の北海道で育った工藤氏は、両親が建設業を営み、事業を築いていく姿を見てきた。その後、米国の大手建設機械メーカーに21年間勤務し、機械設計から顧客サポートまで幅広い業務を経験した。設計者として、また顧客の立場に近い現場の視点からも機械を見てきた彼は、新しいテクノロジーの価値を、実際の現場で何をもたらすかによって判断している。
価値を生み出す機能を見極める
工藤氏は、業界がこれまで必ずしも機能の取捨選択を十分に行ってこなかったことを率直に認める。「以前は、お客様から要望があれば新しい機能を追加していました。しかし、その機能を求めるお客様もいれば、そうでないお客様もいます」と彼は話す。「この10年間、新しいテクノロジーが追加されるにつれて、価格は年ごとに、またモデルごとに上昇してきました。それはお客様にとって望ましいことではありません」
彼が考える解決策は、選択肢を増やすことだ。シンプルで手頃な価格の機械を必要とする顧客もいれば、より高度なテクノロジーによって恩恵を受ける顧客もいる。ただし、その機能が相応の価値を発揮し、機械の操作を難しくしないことが条件となる。「新しいテクノロジーを追加するのであれば、操作を複雑にしてはなりません」と彼は付け加える。「価格も妥当である必要があります」
追加コストは、機械の保有期間全体を通じて正当化されなければならない。それは、現在の作業効率の向上によっても、あるいは将来手放す際に残る価値によっても実現できる。
テクノロジーが真価を発揮する領域
現在、自動化の必要性が最も明確に表れている分野の一つが、熟練労働者の不足だ。ターナー&タウンゼントが発表した「2026年グローバル建設市場インテリジェンスレポート」によると、同社が調査対象とする112の市場のうち、70%を超える市場で技能人材の不足が確認されている。この結果は、メーカーが顧客から直接聞いている課題とも一致する。「お客様と話すと、最初に挙がる問題は人手不足です」と工藤氏は指摘する。「経験豊富な人材を採用するのは非常に難しいのです」
水平整地作業は、テクノロジーがどのように役立つかを示す好例だ。この作業では、ブーム、アーム、バケットを同時に操作する必要があり、経験の浅いオペレーターにとっては難しい場合がある。操作アシスト機能は、熟練者が持つ技能の一部を機械に組み込み、経験の浅いオペレーターがより早く戦力となることを支援する。同じ考え方は、直進走行や、繰り返し行う操作にも応用できる。
一方、完全自律運転となると、事情は異なる。小型建設機械は都市部や住宅地で稼働することが多く、そこでは細かな手作業による調整が依然として求められる。「完全自律型の機械は、従来の機械と比べて価格がほぼ5倍になります」と工藤氏は説明する。「そのため、コンパクト建設機械に本当に必要な自律化機能を慎重に選んでいます」
現時点では、テクノロジーによって難しい作業を容易にし、顧客が投資に見合うと判断できるコストで実現できる領域から、自動化を進めることに重点を置いている。
この費用対効果の計算は、市場によっても異なる。熟練労働者が不足し、人件費も高い地域では、自動化は経済的に大きなメリットをもたらし得る。一方、工藤氏の推計では、インドでは高機能な機械1台の価格が、20~30人を雇用する費用に相当する場合もある。同じテクノロジーであっても、機械がどこで、どのように使われるかによって、その価値は大きく変わるのだ。
機械より先にテクノロジーが古くなるとき
次の可能性は、テクノロジーの価値を長期にわたって維持することにある。小型建設機械は長期間の稼働を前提に設計されている一方、デジタルテクノロジーははるかに速いペースで進化する。その結果、機械本体と搭載テクノロジーが、異なる時間軸で進化するようになっている。
この問題が最も顕著に表れるのが中古市場だ。半自律機能や3Dガイダンスを搭載した大型機械は、新車時には高い価格で販売されることがある。しかし、中古になると、標準仕様の機械と大差ない価格でしか売れない場合もある。「中古として売却される頃には、そのテクノロジーはすでに古くなっています」と工藤氏は指摘する。
かつて4~5センチメートルの誤差範囲で機能していた自律運転技術は、新型機では現在、約10ミリメートルの精度を実現している。その一方で、旧型機にもまだ何年もの稼働期間が残されている可能性がある。性能が向上し続けるなか、以前は高価格を正当化していたテクノロジーが、次の所有者にとってはそれほど魅力的ではなくなることもある。
電動機械では、さらに別の課題が加わる。5年後、あるいは10年後には、バッテリー容量が新品時の約70%まで低下する可能性があり、中古市場ではバッテリーの状態がますます重要な判断材料となる。メーカーには、機械本体よりもテクノロジーの老朽化が早く進んだ場合に何が起こるかを、より早い段階から考えておくことが求められる。
「私たちは機械を買い戻し、バッテリーを交換したうえで、再生機として新しいお客様に販売する必要があるかもしれません」と工藤氏は話す。取り外された中古バッテリーについても、より負荷の小さい用途で再利用することで、本来の機械を動かす役割を終えた後も、その価値を引き出すことができる。
知識が力になる
ライフサイクル全体を見据えた考え方は、サポートにも当てはまる。機械の柔軟性と高度化が進むにつれて、顧客にはその性能を最大限に引き出すための知識が必要となる。
例えば日本では、チルトローテータやブレーカーなど、複数のアタッチメントを使い分けるオペレーターが増えている。「それらの使い方や、効率を最大限に高める方法を、必ずしも理解しているとは限りません」と工藤氏は付け加える。そのため、導入当初からサポートをテクノロジーの価値の一部として位置付け、オペレーターが機能を効果的に活用し、長期にわたって経済的に稼働させられるよう支援することが重要になる。
特に小規模な販売店やレンタル会社では、整備技術者の不足が深刻化している。こうした状況を踏まえ、工藤氏は、メーカーが自社で導入したテクノロジーの長期的な価値を守るために、より積極的な役割を果たす必要があると考えている。
例えばヤンマーCEでは、販売店の拠点に出向いてサービス研修を実施し始めているほか、一部のレンタル事業者とは、メーカーがメンテナンスを提供する仕組みについて協議を進めている。
価値こそが判断基準
こうした幅広い視点は、ヤンマーグループ全体の方針にも反映されている。グループの「中期計画2030」では、戦略的な重点項目の一つとして「Technology-Value Alignment(技術と価値の整合)」を掲げ、技術力を顧客のニーズにより密接に結び付けることを目指している。
高度なシステムが広く普及するにつれて、単に多くのテクノロジーを搭載していることは、差別化要因としての重要性を失っていくだろう。メーカーの競争力を左右するのは、機械の購入後、さらに所有者が変わった後も、そのシステムがコストに見合う価値を提供し続けられるかどうかだ。
「私たちは慎重に選択し、それぞれの機能が機械のライフサイクル全体を通じて、どのような真の価値をもたらすのかを考えなければなりません」と工藤氏は結論付ける。
ヤンマーCEにとって、それは販売店や顧客が、自社の事業にとってテクノロジーが最も大きなリターンを生み出す領域を見極め、その投資を長期的な業務効率や事業成果の向上につなげられるよう支援することでもある。
記載内容はリリース発表時点のものです。最新の情報とは内容が異なっている場合がありますのでご了承願います。
【報道関係者お問合せ先】
ヤンマーホールディングス株式会社
マーケティング部 コーポレートコミュニケーション部
E-mail:
>> koho@yanmar.com
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