気候危機とアートの対話をつむぐ年刊誌『ARON’S JOURNEY』創刊|ポッドキャスト配信もスタート

2025.07.23 14:12
NPO法人AIT
アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパンの1年間の活動をまとめた小冊子が7月14日「世界チンパンジーの日(*)」に刊行
『ARON'S JOURNEY』表紙・目次 デザイン:((STUDIO))

NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ(以下、AIT)は、気候危機とアートのアクションを考えるプロジェクト「アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(以下、ACCJ)」の活動をまとめた年刊誌『ARON’S JOURNEY(アーロンズ・ジャーニー)』を創刊しました。また、美術館関係者のための「ビゾ・グリーン・プロトコル」日本語訳版もACCJウェブサイトにて初公開。あわせて、ポッドキャストの配信を新たに開始し、継続的に開催してきた勉強会「Green Study Meeting」の最新レポートも公開しています。
私たちは今、かつてない猛暑の夏を迎えています。世界の平均気温は観測史上最高を更新し続け、これまでの暮らし方の見直しを迫られています。捉えどころがなく、ときに圧倒されそうになる「気候危機」という問いに対して、アートはどのように向き合うことができるのか。ACCJは、〈読む〉〈聴く〉〈語る〉という3つの入り口から、その可能性をひらいていきます。

*「世界チンパンジーの日」は、英国の野生チンパンジー研究の第一人者ジェーン・グドール博士が、アフリカのゴンベ(現在のタンザニア ゴンベ国立公園)へ、1960年に初めて降り立った日を記念して制定された。

年刊誌『ARON’S JOURNEY』
ーひとりでは抱えきれない大きな課題を、ともに考えるきっかけに
Aron Landahl 《Island》Stora Karlso Nature Reserve, 2012

『ARON’S JOURNEY』は、ACCJが2024年に行った勉強会やシンポジウム、特設ウェブサイトの立ち上げ、翻訳や情報発信といった活動をまとめた年刊誌です。さらに、プロジェクトを支えるメンバーによる対話や、活動の背景を綴ったテキストも収録。多様な眼差しが静かに交差する一冊となりました。
誌名の由来は、2019年にスウェーデンの芸術団体「IASPIS」との協働レジデンスプログラムを通じて来日したアーティスト、アーロン・ランダールがヨーロッパからシベリア大陸を鉄道とフェリーで横断し、東京にたどり着いた長い旅にあります。AITが20年行ってきたアーティスト・イン・レジデンスにおいて、飛行機を使わずに来日したのは彼が初めてでした。アーロンの旅は、環境の観点から日々の行動を選択することの意味、そしてアートと気候危機の関係を改めて問い直すきっかけとなりました。

本誌には、私たちの想像力をひらくアーロンの旅の記録写真やイラストのほか、AITのGreen Teamによる座談会、お薦めの書籍・映画・音楽なども掲載。「気候危機とアートのアクション」を個々の視点から捉え直し、小さな行動の積み重ねがやがて大きな変化を生むという希望に光を当てる内容です。
本誌が地球環境とアートに関する対話を生み出し、紡いでいくきっかけとなればという願いをこめて、「世界チンパンジーの日」である7月14日(月)にvol.1を発行します。『ARON’S JOURNEY』はウェブ上で無料公開しています。下記のURLよりぜひご覧ください。
媒体概要
媒体名: ARON’S JOURNEY ~ 気候危機とアートのアクション vol.1
発行日: 2025年7月14日(月)
配布方法: 限定800部、およびウェブサイトにて無料公開

美術館関係者のための「ビゾ・グリーン・プロトコル」日本語訳版を初公開
世界の主要美術館館長で構成された非営利の会議体「BIZOT(ビゾ)・グループ」による、美術館セクターにおける環境問題への対応基準の提案書「ビゾ・グリーン・プロトコル」の日本語翻訳版を、ビゾ会員である森美術館の協力を得てACCJウェブサイトにて公開しました。2014年に初版、2023年9月に更新版が発行され、米国、英国、豪州の美術館協会が支持しています。
また、付随資料として、美術館関係者が作品輸送のサステナブルな実践を採用するためのケーススタディやツールを提供するハンドブックや、美術館関係者がガイドラインをスムーズに採択するためのエビデンスとツール、ケーススタディを提供し、炭素排出削減の実現を手助けする資料の日本語訳版もウェブサイトにて閲覧できます。

日本語版制作:森美術館
レイアウト版制作:AIT ACCJ
(翻訳:河野晴子、デザイン:木下悠)
ACCJのポッドキャストを配信開始
ACCJの新たな情報発信の試みとして、Podcastシリーズの配信をスタートしました。気候危機とアートの接点に関心を寄せるすべての人々に向けて、さまざまな視点からヒントを探る番組です。環境や芸術ほか異なる専門知識をもつゲストを迎え、大きなテーマに対してアートができること、社会が抱える問いとどう向き合うかについて、ゆっくりと考える時間を届けていきます。

最新のエピソード
「気候科学者・江守正多 × AITロジャー・マクドナルド」対談
気候科学者の江守正多さんと、AITのロジャー・マクドナルドが語り合います。科学的知見を社会にどう伝えるか、そしてアートが果たしうる役割について、専門性と実感を交えて語られる対話です。
江守 正多
東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。1997年より国立環境研究所に勤務。国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長、気候変動リスク評価研究室長、地球システム領域副領域長を経て、2022年より東京大学未来ビジョン研究センター教授(総合文化研究科 客員教授)、国立環境研究所地球システム領域上級主席研究員(社会対話・協働推進室長)。気候変動に関する政府間パネル第5次、第6次評価報告書主執筆者。




Podcastは、

で配信中(Apple Podcastsにも配信予定)。今後も幅広いゲストを迎えて更新していきます。

番組概要
番組名:AIT Podcast「ARON’S JOURNEY」
企画・制作:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト] / アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)
更新頻度:不定期
Green Study Meeting Vol.6 
アーティスト・三原聡一郎さんを迎えた勉強会のレポートを公開
Photo by Isamu Sakamoto

AITが継続して開催している勉強会「Green Study Meeting」の最新レポートも公開されました。第6回目となる今回は、アーティストの三原聡一郎さんを迎えてのセッション。三原さんは、国際的なアート界の気候アクションネットワーク「GCC(Gallery Climate Coalition)」にも参加しており、表現と環境へのまなざしを交差させる実践を続けています。
AITの堀内奈穂子、ロジャー・マクドナルドとの対話を通じて、気候変動下における創造のあり方を共有する機会となりました。記事はウェブサイト上でお読みいただけます。
アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)について 
アートセクターの気候危機への意識向上と理解促進、また、その対策における有用なツールやリソースの発信、協働と支援の場を提供することで、アートセクター全体が地球環境に配慮した活動を構築することを目的としている。
運営:特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
Special Supporter(特別助成):公益財団法人石橋財団
Supporter(寄付):株式会社ハースト婦人画報社 / (個人寄付):渡 伸一郎
AITについて
特定非営利活動法人 Arts Initiative Tokyo(AIT)は、2001年に6名のキュレーターとアート・マネジャーによって設立(2002年法人化)。
現代アートを「学び、対話し、思考する」ための場を提供することを目的とし、約20年にわたり教育プログラムや国際交流、企業連携によるアート・プログラムの企画・運営を行う。2021年よりGCCに加盟、2023年から3年連続で「アクティヴ・メンバー」に認定。2024年7月、気候危機とアートのアクションを通して、サステイナブルなアートセクターの構築を目指すプロジェクト「アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)」を立ち上げ、環境意識の醸成と具体的行動の推進に取り組んでいる。

について:2030年までにアートセクターの温室効果ガス排出量を50%削減し、ゼロウェイストの推進を目標に掲げる非営利的な活動を行う国際団体。アクティヴ・メンバーシップ制度は、過去1年間の持続的な環境配慮の実践が認められた個人・団体に毎年与えられる。
AITの気候危機へのアクション実績と今後の予定(一部)
- 2025年7月 気候危機に対するアートセクターにおける応答についてのインタビューシリーズを開始予定
- 2025年6月・7月「気候危機とアートの勉強会」第7・8回開催(ブリティッシュ・カウンシル 神楽坂および、苗穂基地 札幌)
- 2025年4月 マガジンハウス『BRUTUS』特別編集「地球を思い、次世代に繋ぐ仕事集」にてロジャー・マクドナルドと片岡真実氏のインタビューを掲載
- 2025年4月「気候危機とアートの勉強会」第6回開催(TODAビルディング「APK ROOM」)
- 2024年7月27日 アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)開始、特設ウェブサイトを公開
- 2024年7月27日気候危機とアートのシンポジウム「アートセクターはどのようにアクションを起こせるか」開催(ヒルサイドプラザ、代官山)
- 2024年5月・7月 「気候危機とアートの勉強会」第4・5回開催(CADAN有楽町およびAITルーム)
- 2024年2月 「気候危機とアートの勉強会」第3回開催(森美術館、六本木)
- 2024年 GCCより2年連続で「アクティヴ・メンバー」に認定
- 2023年 GCCによる「非営利団体・公共団体のための、脱炭素アクションプラン」日本語版Ver.1リリース
- 2023年~ GCCより日本初の「アクティヴ・メンバー」に認定 ※3年連続
- 2021年~ 『ウェブ版美術手帖』「AITブログ」にて気候危機とアートに関するコラムとインタビュー連載・発信継続中
- 2021年~ Gallery Climate Coalition に加盟

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