「人生は思っているよりもずっとシンプルだ」美のトップランナーとして一時代を築いた藤原美智子の人生切り開き論

2025.07.09 18:30
常に時代の半歩先を読み、美を追求し続けてきた藤原美智子さん。
多くの雑誌や広告媒体のヘアメイクを手がけるだけでなく、これまで35冊の著書を出版し、雑誌の表紙を飾り、テレビにも出演するなど、その活躍は多岐にわたりました。
藤原さんが34歳のときに設立したヘアメイク事務所「ラ・ドンナ」は、千吉良恵子さん、小田切ヒロさんなど、名だたるアーティストを多数輩出。
64歳でヘア&メイクアップアーティストとしての活動に終止符を打った後も、その活躍はとどまるところを知りません。


ビューティ・ライフスタイルデザイナーとして、今なお走り続けている藤原さんの7年ぶりの新刊のタイトルは『何歳からでも輝ける秘訣』(主婦の友社)。
やわらかな体づくり、大人のメイク、ヘア、ファッションの結論、バランスのいい食事、シンプルな暮らしについて、具体的なメソッドを藤原さんらしい言葉で綴っています。


本のタイトルにもなっている“人が輝く”とはどういうことなのか、そして67歳になった藤原さんが「人生は思っているよりもずっとシンプルだ」とあとがきで語った真意について、お話を伺いました。
(取材・文 中野 さゆみ / 撮影 佐山 裕子)
撮影現場でモデルを見つめる藤原さん
ヘアメイクの現場で目の当たりにした“輝き”の正体
藤原さんは、かつてヘアメイクの現場で、何度も、何人もの、輝いている瞬間、そして輝きを失った瞬間を目の当たりにしてきた。
「モデルさんもタレントさんも、新人の頃ってみなさん不安げな感じなのね。そういう時って何故か、肌のツヤ感がないの。それが徐々に周りの人たちから認められてくると、自己肯定感が上がってくるようなの。そうすると不思議なんだけど、急に肌にツヤが出てきて、目にも輝きが出てくる。そうした目に星が入る瞬間を何度も見てきて確信しているのは、輝きの源泉って、その人の内面から湧き出る”自信”なのだということ」


ところが、その人の人生に浮き沈みがあると、自信の持ちようも変化し、途端に輝きを失ってしまうこともあるという。
「モデルさんやタレントさんで、人気が出て、このまま上にいくのかなぁと思っていたら、スキャンダルが起きたり、“もういいや、私なんて”って急に投げやりになってしまったりして、自信を失って、輝きが消えてしまう人もいっぱい見てきたの」


これまでの人生を振り返って、藤原さん自身が輝きを失っていた頃について伺ったところ、「27歳より少し前の頃」だと教えてくれた。
ちょうどその頃、「自分らしさ」が分からず模索していて、ときには他人をうらやむこともあったそうだ。
27歳の頃の藤原さん
「自分の芝生を青くすることを忘れてた」27歳の葛藤
「27歳より少し前の頃は、自分の芝生を青くすることを忘れてたのね。いいなあ、〇〇さんはすごい派手な作品を作れて、って。そういう派手なものは自分らしくないって無意識では分かっていたことだったのにね」
そのときには、すでに第一線で活躍するヘア&メイクアップアーティストとして雑誌の表紙や美容ページを手がけ、寝る間も惜しむほど多忙な日々を送っていた。


他人をうらやみながらも「自分らしさとは?」「自分らしい作品って?」「自分がキレイだと思う女性像ってなんだろう?」と自身に問い続けた結果、見つけた答えは「品性があって透明感がある女性」だった。そして、それが他者からの評価と一致していることに気づく。


「自分が作りたいものと、人から認められるものが一致していたんだと分かった瞬間、もう隣の芝生を羨むのはやめようって思ったの。私は私なりの品性や透明感というものを突き詰めようって腹をくくったの。そこから迷いがなくなった」


この27歳という人生のタイミングについて、藤原さんは「ある種1つのエポック的な年齢」だという。
「27歳って、もう若くもない、だからといってベテランでもない、その中間。27歳になると、それまでの若くてハリのあった皮膚がちょっとゆるんできて、“あっ、この人ってこういう感じだったのね”って、見た目にも人間性があらわれてくる。それまでは皮膚のハリ感に埋もれていて見えていなかったその人らしさが、やっと出始めるのがこの頃なの」


藤原さんは当時を振り返り、
「27歳の頃に、自分らしさ、好きな方向性を自分できちんと認めてあげたこと。人の真似じゃなくて自分が作りたいと思える作品に、腹をくくって挑んだこと。当時の私を褒めてあげたいなと思います」
『何歳からでも輝ける秘訣』より
「自分らしさ」に悩む人へ
「自分らしさ」が分からずに悩んでいる人へのアドバイスを伺うと、「何でもそうだけど、体験しないと腑に落ちないのよね」と藤原さん。大切なことは「深く考えすぎず、まずは始めてみる」ことなのだそう。これは、『何歳からでも輝ける秘訣』にも書かれている。


もし何か「やりたい」と思うことがあるのなら、まずはトライしてみる。そして「やっぱり無理だ」と思ったら、また新たな挑戦をすればいいだけのこと。躇ちょしてばかりいては、今が人生でいちばん若い日を無駄にしてしまうだけなのですから。




「自分らしさ」を見つけたいときにおすすめなのは、「好き」を集めたスクラップブックを作ることだという。
「例えば、この人素敵!とか、こういう女性に憧れる、という写真を雑誌から切り抜いたり、スクショしたりして、スクラップブックもしくはノートアプリに貼り付けていくの。それを眺めてるうちに、“私の好きな感じって、こういうことなのね”とか、”そうか、私ってこういう女性に憧れているんだ”って気づくの」
その人が望んでいる“なりたい姿”や“好き”の要素は、実は「その人自身がすでに持っていることが多い」のだそうだ。もしもあなたが作ったスクラップブックと、現在のあなたの姿がかけ離れているとしたら、それは「ただ、方法がズレているだけ」なのだそう。


ヘアメイクやファッションなどはあくまで「具体的な方法のひとつ」であり、「なりたい自分を表現するための小道具に過ぎない」のだと藤原さんは言う。
「文字だけだとイメージしにくいでしょ?だから目で確認できる写真や絵を集めるの。見返すと“あぁ、私はこういうテイストが好きだったのね”って気づきやすくなる。そうすると、いつも選んでいるスカートのデザインが自分らしくなかったわ、ということに気づく。そうしたら、スカートを変えればいいだけ。そうして、自分の好きな姿と自分自身が一致していくと、自信が生まれてくる。ヘアメイクやファッションなどの方法論は、自分がどうなりたいかが具体的にイメージできていないと、使い切れないものなの。ただただ流行を追い続けていては、いつまで経っても自分の似合うものが分からない、なんてことになっちゃう」
自分の方向性に悩んだら10枚の紙に書きだす
では、人生の岐路に立たされたとき、あるいは、そこまでいかなくともモヤモヤして物事を決められないときは、どのようにして答えを導き出せば良いのだろう?
藤原さんのおすすめは、10枚の紙にモヤモヤを書き出すという方法だ。ポイントは、きっちり10枚書くこと、そして、ノートではなく、紙に書くことなのだそう。なぜ紙が良いのかというと「紙だったら、書いたものを机の上に並べて、いっぺんに全部見られるから」とのこと。


「大切なのは、自分の心の内と、書き出す文章を完全に一致させること。“あぁ、なんで今、不安なんだろう?”と思ったら、そのまま、“あぁ、なんで今、不安なんだろう?”って書くの」
自分の心の内をひたすら書き出していく作業なので、周りに人がいない場所で集中できるよう、時間に余裕のあるときが良いそうだ。


「心を全部吐き出すことを意識する。そうでないと、心って、ただ単にいろいろなことをとりとめなく思っているだけだから、全然進んでいかないのよね」
4枚、5枚と、没頭して書き進めていくうちに「思い煩っていたことが解きほぐされていって、これまで考えもしなかったようなことがどんどん出てくるはず」


ここで、10枚までいかずに途中で辞めてしまうと、「もういいかって後ろ向きのままで終了しちゃうのよね」と藤原さん。
「要は、”よし!やるぞ!”って、やる気が出る段階になるまで書き出すということがポイントなの」
「人生は思っているよりもずっとシンプルだ」その真意とは
物事を複雑にとらえてしまって、なかなか行動にうつせないときに助けになるのは、『何歳からでも輝ける秘訣』のあとがきで藤原さんが語る「人生は思っているよりもずっとシンプルだ」という言葉だ。


27歳で自身の核である「品性があって透明感がある女性を作ること」を見出して以来、藤原さんはその核を貫き通してきた。
その核を貫き通すことは、ヘアメイクにとどまらず、メイクブラシの開発、著書の執筆、テレビ出演、講演、レストランのメニュー構成、ファッションブランドのデザイン、マンションのインテリアコーディネートなど、仕事の幅を広げてきた。60歳になる頃には、ヘア&メイクアップアーティストとしての肩書きに「ビューティ・ライフスタイルデザイナー」を加えていたという。


「私の人生って、ほとんど直感なのよね」と藤原さん。
ヘアメイクという職業を選択したこと、所属するヘアメイク事務所を選択したとき、自身のヘアメイク事務所を設立したときも、「直感」に従った決断だったそうだ。
「その直感が良かったか悪かったかは、後の自分の行動で決まると思う」
そう藤原さんは断言する。


そうした日々を振り返り思うのは、人生というのは、そのときどきを自分らしく一生懸命に生きていけばいいということです。
そこによいも悪いもなく、たとえ失敗だったと思うことでも、それが糧となるよう気持ちをシフトし、行動していくと、過去の失敗のほとんどはよい思い出となる。ある程度の時が過ぎて振り返ったとき、そのように思えるかどうかが大事であり、人生は思っているよりもずっとシンプルだということです。


この言葉こそが、『何歳からでも輝ける秘訣』を通して、藤原さんが読者に最も伝えたいことだったという。


まず、自分らしさの核を見つける。その核に沿って、選択し、行動する。あとは、その行動が自分の糧となるように、気持ちをシフトして、また次の行動にうつしていく。要するに、自分の人生を自分でコントロールする、ということだ。


「自分をコントロールするなんていうと、あんまりいい感じがしないかもしれないけど、人にはいろいろな要素があって、その人のどの要素を表に出すかというだけの話だと思うの。だから、自分が歩んで行きたい方向に自分をコントロールしていくことは大事なことだと思うのよね。人生は、川の流れと同じようにずっと同じところにとどまることはできないわけだから、そのときどきで自分のやりたいこと、できることをコントロールしながら、流れていきたいと私は思っているの。そして、これからの人生も、自分に素直にシンプルに生きていきたいなと思っているの」
新刊出版イベントに登壇する藤原さん


【著者情報】
藤原美智子(ふじわら・みちこ)
ビューティ・ライフスタイルデザイナー。多くの雑誌や広告撮影のヘアメイクで活躍後、2022年に引退。現在は、執筆、化粧品関連のアドバイザー、講演、TV出演等で幅広く活躍。食や健康、ファッション、ライフスタイル、内面の磨き方などを 提案している。『LIFE IS BEAUTY~美しく幸せに生きるための逆算思考』(集英社)、『新しい口紅は寝る前に試す』(講談社)、『美の宿るところ』(幻冬舎)ほか、多数の著書がある。2017年から、ライフスタイル全般から美しさを提案するブランド「MICHIKO.LIFE」のプロデューサーを務める。


【書誌情報】
タイトル:『何歳からでも輝ける秘訣』
著者:藤原美智子
定価:1870円(税込)
判型・ページ数:四六判・176ページ
ISBN:978-4-07-461215-4
発行:主婦の友社


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